表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪別れ道のモフモフ王  作者: 蘇 陶華
5/9

約束の花嫁

「たまたま、ここに来たのに、どういう事でしょう?」

母親が、混乱していた。叔父さんが、山で、遭難して、遺体で見つかった。本来なら生きて帰ってくる筈だったが、村の人達は、大神さんの警告だと陰で言い合っていた。ここ百年位、ペンダントが現れる事もなかった。だから、お婆ちゃんの言うことも、どこからどこまでが、本当なのかは、わからないけど、ペンダントがしっかりと首に、くっついて離れないのは、真実だった。そして、何よりも、気持ちが悪いのは、石の中に瞳のような、片目が見える事だった。

「そんな話、聞いた事はない。」

父親は、そういうと黙り込んでしまった。

「まさか、今になってこんな事が起きるなんて」

お婆ちゃんも、当惑していた。山岳師としての夫や長男を失って今度は、孫が災難に見舞われるなんて、そんな女性は、滅多にいないだろう。重苦しい時間が、のしかかり時間だけが過ぎていく。明日、迎えに来るよ言っても、一体、いつなのか。黙って、なんとなく、居間に座り込み時間だけが過ぎていく。次第に、周りの闇が、消えかかり、陽が登ろうとした時に異変が訪れた。いろんな事があって疲れたのか?深い眠りに襲われた。体が、後ろに倒れてしまう錯覚があり、眠ってはいけないと、お婆ちゃんに声をかけようとしてハッとした。

「お婆ちゃん?」

お婆ちゃんは、深く項垂れ、眠りについていた。

「嘘でしょう?パパ?ママ?」

3人共、深く眠りについている。

「ちょっと、待って?嘘でしょう?」

胸がドクンと鼓動を打つ。その瞬間、ペンダントが弾け飛び、青い光が弾け飛んだ。

「やっとだ・・・」

光の中から、現れたのは、片目の大きな傷を持つ、1人の髪の長い青年だった。

「やっと、見つけた」

光の中から、現れたのは、肩から、長い毛皮のローブを身につけ、背中まで、灰色の髪を垂らした青年だった。耳は、人間の耳よりも先が細く尖り、耳元には、光り輝くアクセサリーが下がっている。

「やっと、見つけた。何年振りかな」

「もしかしてあなたは?」

「僕は、あなたの伴侶」

「おばあちゃんの話は、真実だったの?」

「噂してたの?それなら話は、早い!行くよ」

青年は、桂華の右手を掴み、部屋から出ようとした。

「待って!何処に行くの?」

「新居さ。いずれ、ここに居れなくなる。僕は、次の跡取りを探さないなきゃいけない。僕のお役目だからね」

「新居?」

大神さんは、狼と聞く。山の中の住居となると、

「ごめんなさい。山には、行けない」

「う・・・ん。そうなると、困るんだな。山に来た娘さん達から探さなきゃならないんだけど、そう、適した娘達が、いるとは限らないし・・・何人が、生き残るかは、僕には、わからない」

「他の人が、死んじゃうって事?」

「そうならないように、最初に適した人を選んでいるんだけどね」

大神さんという人の形をした狼は、片目のない顔で、優しく微笑んだ。

「君なら、立派な僕の後継を産んでくれると思うよ」

「産んで?って」

桂華は、思わず顔が赤くなった。

「そ・・・その後は、殺されるって?」

「う・・・ん。そおいう場合も、あるかな。子供が、間違えて襲っちゃう場合もあるかも」

「とにかく、あいつに邪魔される前に来て」

狼は、桂華の返事を待つ間もなく、まるで、自分の獲物を抱えるかの様に、抱え上げた。

「拒否する事はできないんだ。君の家族の事は、心配ないよ。しっかりと、約束を守ってくれればね」

そう言うと誰かに後を追われているのか、慌てて、桂華を背負い直し、屋外へと飛び出した。

「やっと見つけたから大事にするよ」

若い狼の青年は、山間の密とした空間に帯び出してった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ