↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
84/123

084.精霊術士と3つの条件

 かつて、最強の冒険者パーティーと呼ばれた"漆黒の十字軍《ブラッククルセイダーズ》"。

 彼らは、かの7つの特級ダンジョンの全てを攻略し、いよいよ聖塔へとチャレンジをした。

 入念な準備を整え、挑戦した聖塔の攻略、しかし、彼らはその頂までたどり着くことができなかった。


「うちらが攻略できたのは全60層のうちの50層まで。そこには、大きな壁があったんや」

「大きな壁?」

「ああ。少なくとも、当時のうちら……いや、どんなパーティーにも、それは超えられそうもない壁やった」


 その壁のせいで、残る10層の攻略を断念せねばならなかったメロキュアさん達。

 やがて、剣聖ユリアと守護騎士ジニアスが結ばれ、2人が子どもを授かると、パーティーは解散という流れになったそうだ。

 メロキュアさんにも、他にやりたいことがあり、族長への就任の話も出ていたクーリエさんも含めて、解散するにはこのタイミングしかないだろうということだった。


「もっとも、カングゥには悪いことしたかもしれんけど」

「未練が無かったと言えば嘘になりますがね。とはいえ、十分過ぎるほどに、みんなからは、充実した時間をいただけましたので」

「そう? そやったらええけど」

「それよりも、話の続きを」

「あー、すまん」


 さて、メロキュアさん達は、50層で攻略を断念したものの、得たものもあった。

 それは、50層のボスを倒したときに現れた宝箱に入っていたものだ。

 純粋水晶(ピュアスフィア)というらしい。魔力によって、様々な機能を付与することができる万能水晶。

 このユニークアイテムを持ち帰り、解析したことで、メロキュアさんは、人々の生活を大きく変えるとある魔道具を作り出した。


「もしかして、映像水晶(パルスフィア)……ですか?」

「そうや。あれは、うちが開発した」


 映像水晶が普及し出したのは10年ほど前。

 ちょうど、メロキュアさん達が攻略を断念した時期とも符合する。でたらめではないだろう。

 まさか、映像水晶を作った本人に会えるなんて、思っても見なかった。

 映像水晶だけじゃない。おそらく、音響水晶(メロスフィア)や魔力通信機などを開発したのも、彼女に違いない。

 王都の研究施設の室長だとは聞いていたが、それも納得できるほど、ものすごい功績だ。


「うちが映像水晶(パルスフィア)や音響水晶(メロスフィア)を作ったんは、いろんな理由があるけども、その一つは聖塔攻略への布石や。いずれ、再び、聖塔の頂に挑戦する者が現れたとき、必要になるものやと踏んだからや。だから、うちは、その場では素直に冒険者から身を退いた」

「どういう……ことですか?」

「これ以上を話すのは、こっちとしてもリスクを伴う。それほど、聖塔の存在そのものに関わる事実やからや」

「な、なんだか、話がよくわからなくなってきました……」

「もしかして、その壁っていうのは、あの冒険日誌にも書いていた。"女神からの試し"というものですか?」


 攻略勝負の後、カングゥさんから受け取った冒険日誌。

 そこの50層の記述には、ボスの詳細についてのことしか書かれてはいなかった。

 しかし、その次のページ、日誌の最後には、こう書かれていたのだ。


『"女神からの試し"は何者にも超えることはできない。だから、我々は、聖塔の攻略を断念した』


 と。


「グゥ……。もしかして、あれ、すでに渡したんか?」

「ええ、僕から見れば、彼らは十分聖塔に挑戦する実力があると見えたものですから」

「……ふぅ、そやったら話は早い。その"女神からの試し"の詳細と攻略法、うちは、この10年で、それなりの結論に至った。それを君らに伝えてもええ」

「ほ、本当ですか!?」


 聖塔の50層以降に存在するという大きな試練、そして、その試練を乗り越えるために、大賢者が10年をかけて考え出した攻略法。

 もし、その事実を知ることができたならば、聖塔の完全攻略への道が大きく開けるのは間違いない。


「ただし、条件がある」


 メロキュアさんが、僕らの前で、3本の指を立てた。


「これからうちが提示する3つの条件、それを全て飲み込むことができたなら、うちは自分の全てをかけて、あんたらの聖塔攻略に手を貸す」

「そ、その条件って……」

「1つ目は、あんたらの冒険者とは別の顔、アイドル活動を続けることや」


 アイドル活動を続けること。それが聖塔攻略とどうつながるだろうか……?

 疑問は残るが、そもそも、僕らは、アイドル活動を止める気などないので、この条件は簡単に満たせる。


「言われるまでもないわ」

「2つ目は、特級ダンジョンの1つ、天空の架橋を攻略すること」


 天空の架橋……チェルが候補に挙げた3つの特級ダンジョンのうちの1つだ。

 確か、攻略にかなりの時間を要するダンジョンだったはず。

 リスクはあるが、元々候補だったこともあり、この条件を飲むことも問題はないだろう。


「それも、飲めるわ」

「3つ目、この条件が最も難しい」

「前置きはいいから、教えて」

「最後の条件……それは、とあるアイテムを手に入れ、こちらに引き渡すことや」

「そのとあるアイテムって……」


 メロキュアは、一度深く目を閉じると、カッと見開きながら言った。


「そのアイテムの名は、"人魚の肉"。不老不死を齎す、究極のアイテムの1つや!!」

「面白かった」や「続きが気になる」等、少しでも感じて下さった方は、広告下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけますととても励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。