表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

120/123

120.精霊術士とみんなの歌

『諦めたら、あかん!!』


 一台のカメラを通して、空中に投影された映像。

 そこには、メロキュアさんの姿が映っていた。


「メロキュアさん……!!」

『ノエル、それに、極光の歌姫ディヴァインディーヴァのみんな!! 通信が遅なってすまんかったな!! せやけど、最高のタイミングや。これを見てみぃ!!』


 メロキュアさんの顔が投影されていた空中に、今度は、街の広場の様子が浮かび上がる。

 そこには、まるで、僕らのライブが開かれている時のように、たくさんの人々が集まっていた。

 みんなは、僕らが戦う様子が映された巨大な映像水晶(パルスフィア)を見守っている。


『みんな、あんたらの戦いをずっと応援しとる!!』

『負けちゃダメだ!! 極光の歌姫!!』

『ああ!! チェルシーちゃん!! あんたらなら、きっと勝てるはずだ!!』

『コロモちゃん!! みんな君のすっごい魔法を期待してるよ!!』

『聖女様!! いっつもダンスを頑張ってたあなたの辛抱強さ、見せてください!!』

『セシリア様~!! カッコよいところ、今日も見せて下さいませ!!』

『ノエルちゃー!! ぬいエルー!! がんばえー!!』


「みんな……」


 老若男女、これまで関わってきた全てのファンの人たちからの応援に、胸が熱くなっていく。

 そして、映像は教会の前へと移り変わる。

 そこには、僕らをここまで送り届けてくれた暁の翼(ウィングオブドーン)蒼鷹の爪(ファルコンズクロウ)のみんなの姿があった。

 教会での治療は上手くいったようで、皆、きちんと自分の足で立って、こちらに手をかざしていた。


『お前ら!! 暁の翼(おれたち)の努力、無駄にすんじゃねぇぞ!! あと、あわよくば、この戦いが終わったら、お茶してくれ!!』 

『エリゼ!! 元暁の翼として、頑張って!! セシリアも!!』


『ノエルさん!! チェルシアナお嬢様を聖塔の頂まで、連れて行ってあげて下さい!!』

『私たちが、叶えられなかった夢!! きっと、叶えてよぉ!!』


『ノエルちゃん!! さっさと聖塔なんて攻略しちまって、俺とデートしようぜ!! 待ってるからさ!!』

『極光の歌姫達!! お前達が俺に見せた光!! その強さがあれば、必ずたどり着ける!!』


『さあ、みんな、行くで!!』


 メロキュアさんの音頭で、音響水晶(メロスフィア)から僕らの歌のBGMが流れ始める。

 その瞬間、広場にいた人々の大合唱が、街に、そして、聖塔へと響き渡った。


「聴こえる……聴こえるよ。みんなの歌が……!!」

「ああ、なんて温かい……そして、力強い……!!」

「私達の歌……ううん、これはもう、みんなの歌なんですね!!」

「チェルさん」

「ええ」


 聖剣を手に、チェルが立ち上がる。

 そうして、彼女は歌い始めた。

 コロモが、エリゼが、セシリアさんが、それに合わせるように、一人一人立ち上がり、歌を紡ぐ。

 もちろん、僕も。

 聖塔の頂までも聴こえるような、圧倒的な大合唱。

 人々の歌と、僕らの歌が混ざり合い、そして、空へと昇っていく。

 聖塔のさらに上、遥か天空へと。


「ペル・サーイサ・オー」


 歌に乗せるように、僕は精霊語を呟いた。

 瞬間、歌を力に変えるかのように、アリエルが、強い輝きを放ち、天へと昇っていく。

 そして……。

 歌は風となり、粒子となり、それは、やがて、極光へと変わる。

 聖塔の頭上、ぽっかりと浮かんだ円形の空。

 そこには、翡翠色に輝くオーロラが浮かび上がっていた。

 柔らかく、温かな光に照らされた僕らの身体に、どんどん力が満ち満ちてくる。

 これは、絆の光。僕らが、アイドルとして繋いできた、人々のつながりの光だ。

 初めて、白の魔王の顔に驚愕が浮かぶ。


「さあ、ここからは」

「うん、僕らのライブステージだ!!」


 翡翠色の光をその身に受け、僕ら、極光の歌姫の最後のライブが、今、開始されようとしていた。

「面白かった」や「続きが気になる」等、少しでも感じて下さった方は、広告下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援していただけますととても励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ