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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
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伝記

大海の覇者、海神竜リヴァイアサン。大陸の覇者、陸神竜ヤマタノオロチ。大空の覇者、空神竜バハムート。世界の理から逸脱した怪物たち。食事、排泄、睡眠、更には老いすら凌駕した神と等しき存在だ。強さは神と等しく、それぞれが治める縄張りでは神すらも手に負えないほどの実力を有する。


海神竜リヴァイアサンの荒海伝説。太古の人々が残した伝記に描かれる姿は、思い描くドラゴンとは乖離していた。翼は進化をとげ、巨大なヒレのように変化しており、一搔きで潮の流れを創り出す。


人びとが丸太船を造り、網漁、釣りをしていた頃、リヴァイアサンの存在は知られていなかった。だが時が経ち、人々が新天地を求めて航海を始めた頃から、まことしやかに化け物が現れるという噂が流れだした。当初は誰も信じてはいなかったが、何年も同じ被害が続けば考えも変わり始める。人々は当時人間界最強と言われていた豪傑ヒロ・プリミティーボに調査を依頼し、航海日誌を付けさせた。ここからは航海日誌の内容である。


『600年4月1日、私は村人の依頼を受けリヴァイアサン調査のため、海に出た。船員は私と航海士、二人だけである。


600年4月3日、波が少し荒れている。航海士によると、空は晴れ、凪であるにも関わらず波が起きていると言うのは異常とのことだ。これもリヴァイアサンの力だからだろうか。


600年4月5日、雲一つない快晴、海は大荒れ。周期的ではなく、変則的に波が高くなる。まるで生物の動きに合わせているかのようだ。もし本当に、リヴァイアサンがこれほどの力を持っているとなれば私には勝ち目がないだろう。


600年4月7日、私達とは異なる船を発見。山の如く大きい船、人間界にはこれほどのものがあるとは思えない。声を掛けると魔王と名乗る者が4人姿を現した。リヴァイアサンによる事件は魔界でも起こっているらしく、魔王も調査に協力してくれるようだ。


600年4月11日、共に調査を始めることになった仲間たちと親交を深める。魔王と名乗った4人は、初めて魔界を統一した人物、つまり初代魔王たちであることが分かった。日常の所作からかなりの実力者であることが分かる。


600年4月15日、昼夜問わず、高波が押し寄せる。魔王の船でなければとうに遭難していただろう。リヴァイアサンがもうすぐそこまでいるのかもしれない。


600年4月16日、リヴァイアサンと遭遇。我々5人は死力を尽くし接敵したが、全く歯が立たず船を破壊され、我々は皆海に投げ出された。調査はここで終了するしかない、今はこの日誌だけを守り抜くことだけを考えよう。


600年4月18日、私の命もここまでだろう。この日誌が無事届くことを願う』


『ヒロ・プリミティーボの航海日誌』、別名『海神竜リヴァイアサンの荒海伝説』は、18日間の日誌ではあったが、これを読んだ人々は様々な情報を得た。魔界の存在、リヴァイアサンが実在したこと、そしてその強さ。以降、人々の航海と貿易の発展は大きく後退することになった。だがこの情報を、命を懸けて伝えたヒロ・プリミティーボは英雄とされ、以降彼の名前を取り、英雄、もとい勇者という肩書が誕生した。




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