表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
76/102

実態

蓮は目の前の人々が望んでいる言葉を送った。自身が大罪を犯した理由を・・・


「アシハラ国国王カマロ・ピニオンギャに召喚された時、私は取引を持ち掛けられました。王直属の部下となるか国外へ追放されるか。国民を多く救いたいという私の意志と、国王の邪な感情が読み取れたことから、私はあのような行動に出たのです」


含まれた意味には、『私は国民のために戦っている。国王は歪んだ感情を持っている』という二つのものである。滅私奉公を貫く神の使いと、悪の感情をもつ一国の王、立場上でも行動でも、信頼には差がついている。


「なぜ貴方は国王の感情を読み取れるのですか?」


最もな疑問だ。常人からすれば、相手の感情を読み取るなど出来るはずもない。証拠を伴わない証言など、ただの虚言なのだ。


「私は高潔の使徒として召喚されるとき、感情を読み取る目を承りました。その目を使えば、造作もないことです」


蓮は虚言を吐く、本来もらったスキルは不死身であるが、感情を読み取る目をもらったと偽ったのである。蓮の目は100%の確率で感情を見抜くことが出来る。だが、それを経験によって身に着けた後天的なものと言うよりも、神からの贈り物と言う方が、信憑性が段違いになる。


人々は納得の顔を浮かべている。それだけ神の力は信頼を得ているのだ。


「私はこれまで壁外で調査をしてきました。国王が派遣した勇者がどのような活動をしてきたのか、国王に対する不満などを。出てきてくれないか?」


複数の男たちが現れた。服に刻まれた紋様から、男たちの出身村が各々異なることが分かる。


『これまで来た勇者は自分たちを守ってくれない』『無償で物資を補給しなければ兵士が攻めてくると脅されている』『悪魔の数が毎年変わらないどころか増えている』出てくる言葉は、悪いことばかりだったが、表情と声から、それらがただの悪口ではなく懇願に聞こえた。


「私はアシハラ国国王であるカマロ・ピニオンギャを断罪するつもりです。そして壁内外の壁を無くすつもりです」


国民は難色を示すことなく蓮の言葉に肯定の態度をとった。それから話はトントン拍子で進んでいった。国王の断罪と家を失った人々の救助を話し合っているうち、蓮と国民は急速に距離を縮めていく。蓮の砕けた話し方が許容されるほどに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ