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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
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救世主

「随分と慕われているようね」


スペチアーレは蓮に向かって言葉を向けた。特に嫌味はない、ただ見たままの感想を述べただけだ。


「まぁね~、俺の人柄だろうね~」


蓮は相も変わらず、お道化た口調でいる。その姿が嫌味になっていないところも蓮の恐ろしいところだろう。


「それにどうやって壁内にはいったのよ、貴方王に謀反を図ったんじゃないの?」

「それに関しては大丈夫だよ~、王はもう直死ぬから~」


蓮の口からとんでもないことが出現した。アシハラ国の頂点である王が死ぬと言うのだ驚くのが当然だろう、ただこの場で驚いていたのはスペチアーレただ一人だけだった。


「どういうことよ、国王が死ぬって?」


――昨日――


悪魔の軍勢に攻め込まれていたアシハラ国、そこに一筋の希望が現れた。白髪の男が悪魔を薙ぎ払いながらゆっくりと歩いてくる。男が歩けば、モーセの十戒の如く悪魔の軍勢の海が割れていく。絶望の淵に立たされていた国民にとっては正に神の使いに見えただろう。実際高潔の使徒である蓮は、神の使いと言っても過言ではないのだが。


他を圧倒する荒々しい強さはないが、洗練された美しい強さで国民を魅了する。ポテンシャルによる強さは緊張を与えるが、技術による強さは安らぎを与える。国民たちは、戦地に居るにも関わらず、まるで舞踊を鑑賞しているようだと、場違いに感じていた。


悪魔の軍勢は、わずかに蓮と戦ったが、すぐさま敗走していった。多くの悪魔を逃す結果となったが、国民の多くを救った蓮は、アシハラではもはや勇者を超えた英雄として扱われている。


有事の際、何も役に立たなかった王直属の兵士と高潔の使徒、そして勇者サナ。それに比べて颯爽と現れた蓮を崇めたくなるのも無理はない。


「私は高潔の使徒、小鳥遊蓮と言います。以前指名手配されていたムーン・ザ・リッパーは私です」


高潔の使徒による謀反の話は国民皆が知っていた。王を殺害しようとしたが失敗し、兵士を殺して逃げた大罪人だと・・・・。だが、国民たちは、命を救ってくれた救世主にそのような大罪を犯すような雰囲気は感じられなかった。助けられた故の錯覚かは分からない、ただ蓮が意味もなく大罪を犯す人などとは最早想像すらできないのだ。


国民はただただ蓮の言葉を待った。彼が罪を犯したのには何か理由があるのだと、きっと納得できる内容なのだと信じて・・・


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