魔王戦3
サナの持つ宝剣は、自身の魔力を宿し増幅させるものだ。使えない魔法は剣に宿すことが出来ない。つまりサナは闇の魔法を使えると言うことだ。
「とある知り合いに教えてもらった」
サナは、闇の魔法を知り合いに教えてもらったと素直に伝えた。これはブラフであろうと本当であろうとも戦闘に影響を与えない、つまりは本当のことなのだろう。
「人間に魔法を教える悪魔がいるとは思えんがな」
ドラークはサナの言葉に違和感を持っていた。悪魔は本来、人間と相容れない存在であり、ましてや魔法を教えるなど聞いたこともない。だが、闇の魔法は悪魔しか使えない魔法であり、サナの言葉は事実であると認めるしかなかった。
サナとドラークの戦闘は一時凍っていた。ドラークがどれだけ魔法を放とうともサナの闇の魔法でかき消される、逆にサナの闇の魔法もドラークの闇の魔法で相殺される。二人とも次なる手を考えていたのだ。
「あぁ、面倒くせぇ」
サナは硬直した闘いに嫌気がさしたようだ、攻撃にでる。少しギアを上げ、妖刀を振るった。
「まだ上がるのか」
だがドラークもサナの実力に合わせて力を上げる。またもや拮抗した剣戟、だがそれも次の瞬間には変わっていた。サナの剣が、ドラークの額に傷をつけたのだ。
「剣技では貴様が上か、さてどうしたものか」
ドラークはサナの剣技に追いつけず、攻撃を躱しきれなかった。顔には血管が多く集まっており、額の傷から流れる大量の血が顔を濡らしている。しかし未だにドラークには焦りの表情はない。
今度は、サナが剣を振るい続ける。避けきれず、傷を負っていくドラークだったが、サナの攻撃が止んだ。サナがもつ鬼王の妖刀が、朽ち崩れ落ちたのだ。宝剣には闇の魔力が宿っているため影響を受けないが、妖刀はドラークの漏れ出る闇の魔力に耐え切れず朽ちてしまったのだ。
「これで貴様の剣技も半減だ」
ドラークの反撃にあい、一本の剣が使い物にならなくなった。傷を負った魔王と武器を一つ失った勇者、戦況は対等であり続ける。




