魔王戦2
「その鎧か」
ドラークは、サナに闇の魔力が通じない理由を考えていた。闇耐性を有していようとも完全な防御は不可能であり、固有スキルによるものか、装備によるものか、必然的に理由は二つしか想像ができない。そうなれば、当てずっぽうで聞くしかない。サナの反応を見ることでどちらかを特定しようとしているのだ。
「さぁな」
サナは顔色一つ変えずにいた。これでは判断できない。戦闘に於いてイレギュラーがおきることはデメリットでしかない。ドラークにとって闇の魔力が通じないのはこの上ないイレギュラーだった。だが、一つの可能性を信じて、火炎魔法を放った。
サナは、その魔法を横にそれることで回避した。だが、それがドラークに勝機を与えた。
「やはりそうか、闇の魔法を耐える防御力を有していながら、貴様は先ほど私の剣を防いでいた。更には今の火炎魔法を回避した。貴様の鎧は闇の魔力以外には耐久力がないな?」
ズバリその通りである。サナの装備している宝鎧は闇の魔力以外には耐性が一切なく、物理防御力も皆無だ。そこを気づかれてしまっては、戦闘に大きな支障がでる。ドラークも伊達に魔王を名乗っていない。洞察力もずば抜けている。
「・・・・・・・」
サナが言葉を返えさなかったことで、ドラークは仮説を確信に変えた。
「我の闇の魔法に対策をしていたことは褒めてやろう。だが、我が闇の魔力だけの魔王だと想定していたなら愚かなことよ。我は東の魔王ドラークなるぞ」
ドラークは声高らかにそう告げると、火炎魔法、水流魔法、氷結魔法、様々な属性の魔法攻撃を仕掛けていく。さすがは魔王といったところだろう、全ての魔法が強力な技だった。
サナは全ての攻撃を回避していく。被弾すればかなりの痛手となると知っているのだ。だが、宝鎧を解除するわけにもいかない。宝鎧を解除すれば、闇の魔法により一瞬で決着がついてしまう。ドラークの現在の攻撃には無力だが、戦況には大きな影響を与えているのだ。
「そらそらそらそらそら!どうした!防戦一方ではないか!」
ドラークは攻撃の手を緩めない。魔法の波が永遠と押し寄せてくる、波は激しさを増し、ある時すべての魔法が同時同所にサナに向かった。避けきれない、ドラークが勝利を確信した時、全ての魔法が消失した。
「な、なぜ貴様が闇の魔力を使える⁉」
サナは全ての魔法を腐敗させ、消し去ったようだ。本来人間が会得することのない闇の魔法、サナの切り札は後何枚あるのか、その残り次第でこの戦闘は大きく変わる。




