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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
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魔王戦

玉座の間を開けるのではなく、粉砕したサナ。既に装備は、闇の魔力に絶対的な力をもつ宝鎧を身に着け、手には、宝剣と妖刀が握られていた。


「ふむ、ここまでこれたのは一人だけか。少々物足りないが、助言を聞いてよかったのう」


ドラークは、敵が一人しかいないことに概ね満足していた。北の魔王に多少の感謝を覚えるほどには。だが、ドラークは知らない、今目の前に立つ一人の男こそが、勇者一行の二人をはるかに凌ぐ化け物だということに。


「悪いが死んでもらう」


サナは目の前の魔王を相手に啖呵をきる。


「ふはははは、貴様一人で何が出来ると言うのだ?」


ドラークは思わず、笑い声をあげてしまった。魔王の中でも最強とされている自分が、一人の人間ごときに負けるわけがないと確信しているのだ。


サナは質問には答えず、攻撃を仕掛けることで答えた。だが、ドラークは腰に挿している魔剣を抜き、いとも容易く防いだ。


「ふむ、よい攻撃だ。前代の北の魔王であれば死んでいただろう」


ドラークが言う前代の北の魔王とは、タルタルーガ・ネグロという人物である。4大魔王の中で最弱であり、他の魔王から馬鹿にされていた魔王である。ただ、他の3魔王には劣るものの、確かな強さを持っていた。数百年間王であり続けるほどには・・・・


「だが、その程度では弱すぎる」


ドラークはサナの剣をはじき返し、切り返す。だが今のサナは二刀流だ、ドラークの攻撃を止めた。そのような攻防が何度も続く。二人とも余力を残しており、剣技では決着がつかないと感じたのか、ドラークは距離を大きくとった。


「ふむ、剣の腕は中々だ。ならばこれはどうだ」


ドラークは、闇の魔法を掌に創り出し、サナにぶつけた。闇の魔力弾は、サナに直撃すると、その場で炸裂した。あたり一帯はすべて腐敗し朽ちていく。通常の装備であれば、これで勝負は決していただろう。だが、今のサナの装備は闇の魔力を一切通さない。破壊しつくされた部屋とは違い、サナは無傷で立っていた。


「どういうことだ、なぜ朽ちない」


ドラークは自身の攻撃が通じなかったことに驚きを隠せないでいた。口からでた音は、完全に無意識のものだったが、サナはその言葉に返答した。


「準備していたのが、自分だけだと思うな」


魔王と勇者の決着はまだまだつきそうになかった。


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