表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
57/102

魔界冒険8

放たれる魔力弾、隕石のような拳から繰り出されるパンチ、それらを躱しながらサナは反撃する。上位悪魔をゆうに凌ぐ速さ、威力があろうとも今のサナには全く通じない。自身の攻撃が通用しないことにいら立ちを感じながらも、攻撃の手を休めない。


「ベリアル!お前も手伝え!」


アスモデウスがベリアルにも参加するように怒鳴るが、ベリアルはただ空虚に言葉を返すだけだ。


「僕はあいつの隙を探っている。勝つためなんだ、協力してくれないか」


ベリアルの魅惑の言葉は、同格の三皇相手でも通じる。釈然としないが、それでもなぜか納得してしまう。アスモデウスもアスタロトもベリアルの言葉に納得し、二人で攻め続ける。


「しゃらくさい」


サナはアスモデウスの腕を切り落とし、続いてアスタロトの足を切り落とした。アスモデウスは自身の鍛え抜かれた腕を豆腐でも切るようにいともたやすく切られたことで、正気を取り戻した。アスタロトも同様だ。正気に戻ったことで再度ベリアルに協力を要請した。


「ベリアル!戯言は言わずに協力しろ!」

「これ以上隙を探っても意味はない!」


アスモデウスにもアスタロトにも、もはやベリアルの言葉は意味をなさない。踏みにじられた自尊心とベリアルへの怒りで無効化しているのだ。


「しょうがないね・・・・勇者サナ、僕を君の配下に加えてくれないかい?」


ベリアルの発した言葉の内容に、アスモデウスもアスタロトも頭が真っ白になった。我々はドラーク様より三皇の地位を譲りうけた者、責務を放棄するなどありえない、ましてや裏切りなどあっていいはずがない。


「何を言っている!我々はドラーク様のため命を投げ捨ててでも闘いつづけなければいけない!」


アスタロトは真っ白の頭のなか、唯一浮かび上がった言葉を激昂しながら告げた。だが、ベリアルの心には響かない。


「僕は死にたくないんだ。君たち馬鹿とは違ってね。君たちも降参して命乞いをした方がいいよ」


ベリアルは考え直すどころか、裏切りを誘った。


「我々はドラーク様を裏切らん!何があろうとも戦う!」


サナは、ベリアルに対して反論するアスモデウスの頭を両断した。縦にズレ落ちるアスモデウスはそのことにまだ気づいておらず、未だに言葉を紡ごうとしていた。


「・・・・・・・・・・」


喉事一刀両断されたため、声を発することが出来ていない。アスモデウスは何かを伝えようとしながら絶命した。地に伏し、命も落とした今も、何かの言葉を発しようと口を動かし続けていた。


「くそ!死ねぇぇぇ!」


アスタロトは、ここで服従ではなく、抵抗を貫いた。悪魔ながら尊敬に値する精神を持っていた。だが、今のサナには関係ない。アスモデウスの時と同じように、攻撃を避け一刀両断した。


「いや~、お強いですね」


ベリアルは共にドラークに仕えていたアスタロト、アスモデウスに目もくれず、サナを褒めたたえた。


「俺の部下になりたいと言っていたな。お前は使えそうだ、いいだろう」


サナは、またもや無の空間に向かって声を掛けた。その瞬間、転移門が再度出現する。サナはベリアルに転移するよう伝えた。ベリアルもそれに素直に従い、転移していく。


三皇との闘いは、蹂躙、裏切りを経て異質に決着を迎えた。残りは、フォードのいる守護の間と魔王が待つ玉座の間だけになった。サナがとる行動は一つ、フォードを見捨てて魔王を討伐することだ。サナは玉座の間に向かって足を進めて行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ