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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
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魔界冒険7

どれだけ思いが強かろうと、どれだけ闘志を滾らせようと、圧倒的な力の差は居に返さず破壊していく。いま目の前で行われていることは、それを顕著に証明していた。


「おらっ!!!」


修羅の顔をした大魔王、いや勇者が、迫りくる悪魔達を粉々に蹂躙していた。向かってくる敵を切り伏せ、動けず倒れている敵の頭蓋を容赦なく踏み砕いた。叩き切られて噴水のように飛び散る血飛沫、頭蓋を踏み砕かれこぼれ出る脳味噌や体液、美しかった大理石の床は、今は生物から生成された血や体液で染まりきっていた。


「これは予想以上だね」


ベリアルは一方的に蹂躙される仲間を観ながらも、あっけらかんと言った。


「こうなることは分かっていただろ」


アスモデウスがベリアルに言葉を返した。


「まさか、ここまでとは思わなかったよ」


ベリアルが尚も表情を変えず答えたとき、一体の悪魔がベリアルに泣きついた。


「ベリアル様!我々では相手になりません!お力添えを!」


必死の形相でベリアルに頼み込む悪魔、さすがのベリアルもこれには表情を変えた。


「はぁ?お前らが勝てないことは知ってんだよ!命捨ててあいつの体力を削るぐらいはしろよ!」


ベリアルの表情は、般若のように歪んでいた。ベリアルを崇拝し命を賭して戦う悪魔に返した言葉は、卑劣な罵倒だった。


「そ、そんな・・・・」


ベリアルに敬意を払う悪魔達も、この言葉にはさすがに動きを止めてしまう。


「酷い言い方をしてごめんね、僕は君たちを信じているんだ」


ベリアルは表情を元の綺麗なものへと変え、支離滅裂な言葉を口にした。だが、ベリアルの恐ろしき所はここにある。矛盾した言葉にも説得力を持たせ、悪魔達の信頼を獲得する。おそらくベリアルがなにを言おうとも、悪魔達は無意識に従ってしまうだろう。


悪魔達は、悪魔に取りつかれたようにサナに追撃を開始する。自身が死にに行っていることを理解しながらも、なぜか体が、心がベリアルの言葉に従ってしまうのだ。


サナは、そんな哀れな者たちを、無慈悲に殺していく。怒れる王は、どこまでも無慈悲だ。数分後には、守護の間に立っている者は、サナと三皇の四人だけになっていた。


「使えねぇ奴らだ」


ベリアルは、自身の命令で死んだ仲間に唾を吐き捨てた。


「来るなら早くしろ、さっさとぶっ殺してやるからよ」


サナは、自身に対してイライラを募らせていた。その怒りを目の前の悪魔達にぶつけ続けている。


「「言われなくても行くよ(ぞ)」」


アスタロトとアスモデウスが声を揃えてサナに言い放つ。そこで黙っていたのはベリアルだけだった。ベリアルを除く二人はサナに向かって攻撃を開始する。最上位悪魔二体、今までの悪魔とは次元を隔す、そんな敵との戦闘が始まった。


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