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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
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魔界冒険5

魔王城での戦闘は一幕終えた。サナたちは、城の中を歩き回っている。何度も悪魔と遭遇しているが、傷らしい傷は一つもない。修行の日々は、確実に力をもたらしていた。残った部屋は、玉座の間と2つの守護の間だけになった。


「上位悪魔が少なすぎる、幹部の最上位悪魔とも遭遇していない」


サナは、今までの戦闘に主戦力が多くいなかったことに気づいている。つまり、残りの部屋に過剰な戦力が残っているのを分かっているのだ。


もちろんサナたちに後どれほど部屋が残っているか、どれほどの強敵が残っているかは、分からない。スペチアーレの索敵能力を使うにも魔力を消費することになるため、使えない。


「いくぞ」


サナは、守護の間の扉を開けた。中には東の悪魔では無いものがいた。東の魔王からの援軍100体、それらの上位悪魔が待ち構えていたのだ。


「我々はフェニックス様直属の配下、命あってお前らを屠りにきた」


先頭に立つ悪魔が言葉を告げた。北の魔界に住むと言われる上位悪魔ガミジンだ。言葉を発した悪魔以外には、バルバトス、グシオン、レラジェ、ボティス、モラクスなど72柱に名を刻む上位悪魔が多くいた。


戦闘が始まると先ほどのようにはいかなかった。一体一体が強力な力を持った悪魔達だ。サナは問題なく撃退できているが、スペチアーレとフォードは、苦戦していた。


「サナ!撤退した方がいいぞ!」


フォードはすぐさま撤退を望んだ。しかしサナはその言葉を無視し続ける。100いた悪魔はまだ90は残っている。しかし、スペチアーレとフォードの傷はかなり増えている。戦闘陣形も崩れ、3人が個々で悪魔の軍勢を相手取ることになっていた。


「危ない!」


そんな時、命を刈り取らんとする一撃がスペチアーレに向かっていた。サナは思わず叫ぶ、、と同時にスペチアーレを庇った。傷一つなく玉のような肌に、血が滴る。サナのステータス故に傷程度で済んでいるが、サナ以外の者ならば絶命するほどの一撃だった。


???「まずい・・・、予定より早いが」


どこからか声が聞こえる。若い男性の声だった。


サナは、スペチアーレを抱えて、守護の間の片隅に避難した。スペチアーレは、今にも泣き出しそうな顔をしている。そんな、スペチアーレにサナは、拳を鳩尾目掛けて振るった。その瞬間、サナとスペチアーレが発光を始める。これは転移の前兆だ。


「なっ!待ちたまえ!」


フォードは焦りの言葉を口にする。今ここで、サナとスペチアーレが戦線を離脱したとなれば、自身の命はもはやないも同然だ。フォードは、サナたちの転移に便乗するため、駆け足でサナのもとへ走り出した。


「おっと~行かせないよ~」


フォードの行先を遮ったのは、一人の若い男だった。悪魔の中で、異質な見た目をしている男は、フォードを行かせまいと立ちはだかったのだ。


「お、お前は・・・」


サナは驚愕の目をしているフォードをしり目に、転移を完了させた。


サナの転移先は、光一つない暗闇の世界。この場所にあるのは、一つの大きな扉だけだった。


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