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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
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魔界冒険2

 一つの集落に転がる死体の数々、全て悪魔のものだった。だが、今回の討伐にサナは一切参加していない。理由は彼らが敵意を示さなかったからだ。魔王城の最短ルートでたまたま遭遇した悪魔、こちらが勇者であるとも認識していない。そんな悪魔たちに、フォードがいきなり攻撃を仕掛けたのだ。その後に待ち受ける展開は、呼吸が無意識に出来るように、それだけ自然に広がった。


フォードの攻撃に対抗するため、悪魔達が反撃をする。当然フォードの仲間と認識されているサナとスペチアーレにも攻撃は飛来する。サナは自身に向かってくる悪魔を気絶させ、戦線から離脱させる。スペチアーレとフォードは、迷うことなく命を刈り取っていく。その結果が悪魔の死体が転がる、地獄と化したのだ。


「ふぅ、レベルが上がったよ。やはり雑魚悪魔でもこれだけ倒せばいい経験値になるな」

「今更多少レベルを上げる必要はなかっただろ。体力を温存するほうが賢明だった」


フォードは、自身のレベルが上がったことに満足気だったが、サナがフォードの行動を暗に批判した。


「ならば、ここで一日過ごせばいいだろう。これだけ悪魔を倒したのだ。しばらくは悪魔も現れないと思うがね」


フォードに反省の色は見られない。それどころかサナに反論した。フォードには、死なない自信があるのだ。サナと魔王討伐を約束したあの日、危険が迫ればテレポートで逃げると約束していたからだ。とんとん拍子で魔王討伐を成せば、名声は上がる。逃げたとしても、最大レベルに近いフォードは、来期の武闘杯優勝は確実だろう。フォードにとってどちらに転んでもメリットしかないのだ。


「いや、いい。このまま魔王城へ向かうぞ」


サナは呆れの声を漏らしたが、切り替えて先を促した。


今まで遭遇した悪魔は中位悪魔以下の弱小悪魔しかいなかった。明らかにおかしいことだ。上位悪魔も、最上位悪魔も気配すら感じない。まるで、勇者が来るのを待ち構えているかのようだ。いや事実、北の魔界の上位悪魔以上の者は、今魔王城に召集されている。勇者が来ることを知らないのは、戦力にならない中級悪魔以下の者だけだ。


魔王城まで後5日、北の大陸始まって以来の初めての魔王との全面戦争。この戦いは世界を大きなうねりとともに変えるだろう。


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