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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
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修行3

修行5日目終了後、居候先の聖堂



「あぁー、知識が追いつかないわ!」


スペチアーレが聖書を片手に嘆いていた。信仰系魔法の会得には、信仰対象を深く理解し、崇める心を持たなければならない。しかし、スペチアーレが信仰しようとしている神は、膨大だ。一つ一つの知識をつけ、更に信仰しようとすれば、時間がいくらあっても足りないのだ。


「なにを騒いでいる?」

「神様の資料が多すぎて、全部覚えられないのよ」


サナの問いに間髪入れずに、スペチアーレは怒鳴り返す。ストレスが相当溜まっているのだろう。


「はぁ、しょうがねぇな。助けてやるよ」

「なによ、効率のいい暗記法でも教えてくれのかしら?」


スペチアーレは、サナの言葉に多少の希望を抱いた。多少なのは、どれだけ効率が良かろうとも、大した助けにはならないと思っているからだろう。


「東の大陸の神で考えるから面倒臭いんだよ」

「どういう事かしら?」

「東西南北すべての土地で信仰されている神は実は同一なんだよ」

「???」


スペチアーレは、サナの説明に疑問を抱いた。全ての大陸で同じ神が信仰されているからと言ってなにか違いがあるのか。それがスペチアーレには理解出来なかったからだ。だが、サナは、スペチアーレの反応を無視して話を続ける。


「北の大陸には、神は一人しかいないとされている。だが、信仰対象は東の大陸と同じ神だ」

「どういうことよ、一人しかいないなら、神は違うんじゃないの?」

「いや同じだ。東の大陸では、神の様々な力に異なる名前を付けた。それが多神教の始まりだ」


サナの言っていることを要約すれば、全ての大陸の神は同一であるが、各々に住む人間が異なった捉え方をしたために起こった違いがあると言うことだ。


「つまり、北の大陸の神を理解し、信仰すれば、同じ魔法が使えるというわけだ」

「なんでそれを早く言わないのよ!無駄な時間を使ったじゃない」


サナが今までこの事実を教えてくれなかったことにスペチアーレアは怒ったが、サナはどこ吹く風である。


「聞かれなかったから」


サナの発言に、スペチアーレは憤りを感じたが、信仰系魔法の会得に可能性が見えたため、これ以上不満を口から出すことは無かった。


「でも、なぜ貴方が北の大陸の神について知っているの?それに他の大陸の神についても知ってるみたいだし、貴方信仰系の魔法は使えないんでしょ」

「知っているのと、信仰するのは違うからな。俺は神に祈れないんだよ。それよりホレ、北の聖典だ」


スペチアーレの質問に簡潔に答えたあと、サナは、聖典をスペチアーレに預けた。サナがなぜ聖典を持っているのか、この時スペチアーレは疑問を持たなかったようだ。素直に受け取り、修行が捗ると喜んでいた。




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