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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
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天賦

  マガトキ村に近づくにつれて、悪魔の出現率と強さが増していった。遭遇した悪魔は、ほぼすべてが中位悪魔であり、上位悪魔も一度遭遇した。旅の危険度は段違いである。だがメリットもあった。悪魔が強くなるということは、経験値も上がると言うことだ。


「レベルの上昇が早いな」

「そうね、もう2もレベルが上がったわ」

「私は、既に高レベルなので上りが遅いようだ」


サナは同じ期間でレベルが4上がり、フォードはまだレベルアップしていなかった。現在、サナのレベルは60、スペチアーレは45、フォードは70だ。


スペチアーレとフォードには25のレベル差がある。しかし、二人の実力はほぼ同列だ。この事実から、スペチアーレの天賦の才がうかがい知れる。だが、そのスペチアーレですら、サナには、能力が大きく劣る。15のレベル差を加味したとしても、天と地ほどの差だ。サナの強さの根本である「嫌われ者」は、天賦と言うより、呪いのような力であるが・・・


「マガトキ村には、今まで以上に強い悪魔が多く出る、そこで鍛えればレベルもすぐ上がるだろ」


マガトキ村周辺には、日々多くの悪魔が出現する。下級悪魔から上級悪魔まで様々だ。禍時を利用して人間界に表れる悪魔は、ほとんどが生存競争に敗れた下級悪魔、罪を犯し追放された上級悪魔や中級悪魔などだ。人間界でも魔界でも、厄介者や弱者は外に追いやられることは一緒のようだ。まるで、人間も悪魔も同じ存在のように感じる。


「そうではあるが・・・、マガトキ村には如何ほど滞在するのだ?」

「一か月ぐらいだ」

「一か月だと⁉それでは来期の偵察日を過ぎてしまうぞ!」

「問題ない、国王に魔王討伐を進言した時、許可は取っている。国王にとって村の安全より魔王討伐の方が優先なんだろ」


勇者に選ばれた者は、凡そ2か月に一回の壁外調査を義務付けられている。ここに至るまでにサナたちは半月ほど過ぎており、マガトキ村での一か月、魔界への遠征を考えると、来期の偵察には到底間に合わないのだ。


「それに俺たちが魔界へ入れば、人間界に悪魔がくる暇もないだろ」


たしかに魔界に勇者が来たと知られれば、一時は悪魔の出現率も下がるだろう。しかし、魔王が敗れ、魔界の統治者が不在となれば、悪魔達は統率が失われるだろう。そうなれば魔界は次期魔王を狙う群雄割拠な無法地帯となることは目に見えている。それに伴って、人間界へ避難する多くの悪魔達が表れることも・・・


「俺たちは魔王討伐だけを考えて行動すればいいんだよ」


マガトキ村まで後数刻、修行でどこまで力を伸ばせるか、魔王討伐はそこにかかっている。



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