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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
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キム村

今回も村の周辺には悪魔はほとんどとしていなかった。偶然ではなく、蓮という男の仕業なのだろう。


「物資を集めたら用はない。さっさと寝よう」


サナたちは、それぞれに分かれて物資を集める。スペチアーレとフォードはムーキ村のこともあり、飯屋には寄らず、宿屋で夕飯を済ませている。


「俺は勇者サナだ。ステーキを一つくれ」


サナは飯屋にいた。それも多くの人が集まる人気のお店に来ていた。目的は一つ、キム村の人たちに嫌われるためだ。その為に、勇者と名乗り、この店で一番高い飯を注文した。


「役に立たないくせに飯だけは上等だな」

「なんで役立たずに、高級料理を無料でやらねぇといけねぇんだよ」

「蓮様を見習ってほしいわ」


店のなかで、起こる小さな陰口。サナにはもちろん聞こえているが、無視を決め込む。


「あと一番高い酒をくれ」


サナは、さらに酒を注文した。陰口はどんどんと蔓延していく。


「飯はまずいが、酒だけはいけるな~勇者になってよかったぜ~」


サナは酔ってもいないのに、酔っぱらいのような動きと口調にする。これだけ、不遜な態度を取っておけば、サナの悪い噂は瞬く間にキム村全土に広まるだろう。目的を達したと判断したサナは、千鳥足で飯屋をでた。飯屋が見えなくなると、歩調をただし、宿屋に戻っていった。


勇者の酷評は瞬く間に広がり、翌朝には、キム村のほぼ全員がサナを嫌っていた。


サナは、蓮の行動をも利用して、自身の糧としたのだ。キム村にすぐに向かわなかった理由も嫌われやすくするためだ。怠慢な勇者と救世主の蓮を対比させることができるのだ。



翌朝、いつものように正門に集合していたサナたちは、蓮の話をしていた。


「蓮さんは、もうこの村にはいなかったわ」

「私の方もそれ以上の情報は得られなかった」


スペチアーレとフォードは、蓮についての報告をしていた。


「俺の方もそれ以上は得られなかった」


サナも同じ内容の報告をした。


「まぁ、いずれ会えるだろ」


サナはこれ以上この話は無駄だと感じ、強引に終わらせた。


「さぁ、マガトキ村に向かうぞ」


遥か彼方に雲が厚く重なる場所がある。そこが、次なる村マガトキ村の場所だ。サナを除く二人は、不安を感じながらもマガトキ村に向かって足を進めた。冷えた風は、不穏なものを感じさせる。向かう先が危険な場所であることを、知らせるようだった。


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