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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
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デメリット

 サナの目の前には、上位悪魔である鬼王の死体が転がっていた。周りにはオーガの死体も多くある。ここはオーガの根城のようだ。


「これで、発見されている悪魔の巣は全部潰したな」


サナは、血濡れた顔を拭きながらつぶやいた。もちろんサナの血ではなく鬼王の返り血だ。


「目的は達したのだし、キム村に向かいましょう」

「気持ちはわかるが、服が血だらけだ。お前も女だろ、川で体と服を洗おう」

「サナが気を使うなんて気味悪いわね、ふふふ」


スペチアーレは、キム村を出るころからサナを名前で呼ぶようになっていた。そしてまた、サナもスペチアーレを気にかけていた。二人の関係は、徐々に改善してきている。


3人は近くの川で、食事と風呂に入った。順番はスペチアーレ、フォード、サナの順であり、現在はサナが川で体を洗っている。


「ちっ、スペチアーレをどうするか・・・」


サナの固有スキル、嫌われ者には欠点がある。嫌われることで力を増す能力だが、逆に好感を得られると、能力が大幅に削られるのだ。


嫌われることで増す強さが1とすると、好感を得られることで減る強さは10000000だ。好感を持たれることは、自身の強さを著しく下げるのだ。今のスペチアーレの気持ちは中立といったところだろう。中立であれば、強さに変動は起こらない。


ここで、ふとサナは考えた。サド村で出会った、少女エリーのことだ。彼女は、見る限りでは自身に嫌悪感は持っていなかった思う。しかし自身のステータスは、弱体化した感覚は無く、むしろ上がったと感じるほどだった。


「やっぱり、人間は分からないな・・・」


エリーはサナのことが嫌いだった。揃っている証拠だけを見るとそう結論付けるしかない。サド村で感じた幸福は、真実を知り気泡のように弾けた。川の水に水滴が落ちる。濡れた髪から滴り落ちたものか、目から溢れたものか、顔を伏せていたためどちらかは分からなかった。


「明日には着きそうだな」

「そうだね、キム村でも滞在は一日のみかね?」

「その予定だ。キム村にも大した装備はないだろうからな」


昼食を取りながら、言葉をいくつか交わしていく。内容は大したことない世間話をしただけで、意味のあるもではなかった。


昼食を終えたサナたちはキム村に向かって歩き出した。最後の村まであと少しだ。


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