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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
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謎と打算

  サナは自身のレベルアップとステータスの向上に疑問を抱いていた。


レベルアップが余りにも速すぎる。向上心の固有スキルを獲得してから、既にレベルが2も上がっている。サナは「向上心」の力を獲得経験値上昇と定義づけることにした。だがステータスが上がっている理由が分からなった。ドラム村を出る際、敢えて嫌われることでステータスを上げたが、ここまで上がることは無いことを経験上分かったいる。この謎のステータス強化も最近発見したものであり、未だ解明できていない。


「まぁ、考えても分からないな」


スペチアーレとフォードは声が出なかった。上位悪魔、それも暴君と呼ばれる悪魔を一太刀で絶命させたのだ。異常な強さだ。ベアウルフの動きを封じるだけでも、困難だったことを振り返り、サナは異なる次元の強さを持っていることを改めて理解した。


「凄いな!サナ君」


フォードは、自身が音の無い声を漏らしていたと気づくと同時に、サナを賞賛する言葉を発した。別にサナを見直したというわけではない。フォードはサナの存在は使えると考えたのだ。サナの功績は、勇者一行の功績になる。さらなる名誉を欲するフォードにとってサナは都合がいいと感じのだ。


「急にどうした?気持ち悪いぞ」

「生でサナ君の実力を見て見直したのだよ」


サナは突然のフォードの対応の変わりぶりに不信感を抱いた。だがフォードはその疑念の目を無視して、偽りの笑顔とともに返した。


「あなた強くなりすぎじゃない?英雄杯の時とはまるで別人よ」

「レベルが上がっただけだ」


サナは嘘をついていない。自身にも分からないステータスの上昇、レベルアップとして片づけるのが一番論理的だ。


「ドラム村に戻ってベアウルフ討伐完了を伝える?」

「大丈夫だろう、ドラム村の人たちも、ベアウルフが消えたのをいずれ気づくだろう」


サナとしては、討伐したことを伝えて好感を持たれるのは避けたい。ベアウルフが住処を変えたと勘違いしてもらう方がサナにとっては都合が良いのだ。


「散歩も飽きたし、次の村を目指すか」


正規のルートに戻る為、歩き始めたサナたち。


スペチアーレは自身の気持ちを把握できていないが、打算の関係を構築した勇者一行は、一つのまとまりを持った。だが、いつまでこの関係が続かないことをサナだけは知っていた。



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