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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
24/102

帰還命令

 食料を確保し、回復薬や使い捨ての装備を持てるだけ調達した。サナたちは、この村でやることはもうないと判断し、夕食をとるため宿に来ていた。一日の滞在と言うこともあり、今日は3人で食を済ませるようだ。


そんな時、伝書鳩がサナたちのもとへと飛来した。伝書鳩には金の装飾が施されており、アシハラ国からの手紙であることが分かる。


「国から直々に手紙とは」

「なんと書いているのだね」


サナは伝書鳩が届けた手紙を読み上げた。


『アシハラ城内にて出現した高潔の使徒が、謀反をおこし城内の兵士を30余り殺害、国王カマロ・ピニオンギャに怪我を負わせ逃亡。壁内の安全を確保するため、直ちに帰還し、高潔の使徒の討伐を命ずる』


「だそうだ」


サナは気だるげに読み上げた。国王の命などどうでもよいが勇者としての立場は使える。ここで命令を放棄すれば、称号は剥奪されることは火を見るより明らかだ。


「スペチアーレ、テレポートは使えるか?」

「もちろん使えるわ、ポイントも確保しているからすぐにでもアシハラに戻れるわ」


テレポートは瞬間移動に近い魔法だ。ただどこにでも自由に飛ぶことが出来るわけではない。事前に陣を描くことでそこに飛ぶことが出来るのだ。


「なら旅は一時延期だ、アシハラに戻るぞ」

「わかったわ、ただこちらに陣を描くまで少し待って」


こちらにも陣を描くことで、アシハラからこちらに一瞬で戻ることが可能になる。勿論スペチアーレは、サド村にも陣を用意していたが、サド村からドラム村まで数日かかってしまう。時間は少しかかってしまうが、こちらに陣を描いたほうが良いのは明らかだ。


十数分たった頃、陣は完成していた。


「できたわ、これでアシハラに戻っても問題ない」

「よし、すぐ飛んでくれ」


3人の周りを囲むように、地面が光りだした。テレポートが始まったようだ。数秒ほど時間が経過すると、3人は姿を消した。テレポートに成功したようだ。気づくと3人は、小さな部屋の中にいた。


「ここは、私の部屋よ。城内へのテレポートは禁止されているからここから向かうしかないわ」


城内へのテレポートは法律上禁止されている。それは国王の安全上必要なことだ。城内にテレポートできるようになれば、いつでも国王の命を奪うことが可能となってしまう。例え勇者であろうともこの法律は絶対なのである。


「いや、それは仕方のないことだろう」


フォードはスペチアーレに優しく話しかけた。


「それじゃあ、城に向かうぞ」


サナは、いつもの淡々とした口調で移動を促した。


幸いスペチアーレの家から城まで、距離はそれほど離れていない。数十分で城の前までつくことができた。


門兵に命令で帰還したことを告げ、入城の許可を申請した。話は通っていたらしく、すぐに入城の許可が下りた。兵士の案内の元、国王がまつ部屋の前についた。案内役の兵士が中に入り国王に報告をしているようだ、扉越しに部屋から声が漏れてくる。やがて声は止み、中から先ほどの兵士が出てきた、入室の許可が出たようだ。


「勇者さま、国王が入室を許可しました。中へお入りください」


サナたちは、国王の前で片膝をつき、言葉を待った。


「よくぞ戻ってきた。早速で悪いが、高潔の使徒ムーン・ザ・リッパーの討伐を命ずる」

「「「承知いたしました」」」

天が遣わした者との闘い、強敵であることは確かだ。緊張の糸が部屋の中には張り巡らされていた。


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