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臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
20/102

方針

「すまないね、君たちの服を汚してしまった」


フォードは、心から申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にした。特にスペチアーレは女性だ。血が染みついた服など着ていたくはないだろう。


「いえ、大丈夫です。それに近くに川が流れているので問題ないかと」


汚れた身体と服は、近くに流れる川で洗うこと出来る、さした問題ではないだろう。


「とりあえず、川に行くか」


サナは川で身綺麗を整えることに決めたようだ。二人に川へ行くことを提案した。


「えぇ、行きましょう」

「そうだね、飲み水にはまだ余裕があるが、ついでに組んでおこう」


二人もサナの提案に同意した。川に行くことは決定したようだ。3人は川に向かって歩き出した。サナを除く二人は、川で体を洗えることに喜びを感じていたようだ、明るい顔を浮かべていた。ただ、サナは逆に拳を握りしめ、険しい顔をしていた。


「これほどの実力を有していながら、無視してきた」、今目の前で、フォードの実力を知り確信に変わった。


3人は、関係は未だ歪だ。まるで、同じ空間に存在していないと錯覚させるほどに・・・

一人は怒りを、一人は尊敬を、一人は怠惰を、それぞれ抱えながら行動する彼らは、ピースの合わないパズルのようだ。彼らのパズルが完成することはあるのか、今は誰も知ることが出来ない・・・


川に付いたことで、3人はそれぞれ違うことに着手した。スペチアーレは、自身の体と服を洗うため、川の中に行った。サナとフォードは、それぞれ、水汲みと昼食の準備を整えていた。水汲みはお互いのプライバシーを守る為、水浴び場より上流で汲むことなる、当然食事の準備も離れたところで行わなければならない。


それぞれが作業をローテーションしていき、最後にサナが水浴びを終わったころには、全ての作業は終了していた。


「これからの方針を決める、オークの根城のように未だ討伐されていない悪魔は未だ多くいる。俺たちは出来るだけ多くの悪魔を討伐しながら村を巡っていくぞ」

「それでは時間が足りない。英雄ぶるのは結構だが、不可能だ」

「時間なんてものは、今までの慣例だろ、本来決まった期日は無いはずだ」

「確かにそうではあるが、国民から頂いたお金を無駄に使うわけには・・・」

「村人の被害を減らすことが無駄だと言いたいのか?」

「違うが・・・」

「なら決定だ、スペチアーレ、お前も文句あるか?」

「いえ、私はないわ」


今までの勇者は、壁外調査という名目でろくに活動することもなく壁内に帰還していた。国王もそれは当然承知していた。そもそも、アシハラにおける勇者の存在とは、ただの象徴でしかない。外の情報が常に不足している壁内の国民を欺くためのものでしかないのだ。壁外は、勇者のおかげで平穏が保たれていると錯覚させるため、国王は壁外の住民にも慈悲を与える慈悲深い王であると認識させれるためのものなのだ。


勇者の意味とは、国王の意味とは、その当然の役目を放棄し欲望に溺れてきたのが、歴代のアシハラなのである。


主線は次なる村、ドラム村向けながらも、脇道に逸れることを決めたところで、昼食が終えた。



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