表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
臧否の禍時   作者: まるサンカク四角
10/102

ジャック・オー・ランタン

 人々を優しく見守る太陽がサンサンと照りつけ、風に靡く柔らかな草原が生命を強く感じさせる。しかし、その大地の上に立つ二人は、死と絶望しか感じさせない。

  

 「テメェ、なんで俺のこと知ったんだ?人間に面を見せる時は、皆殺してっから、俺の事知ってる奴なんていねぇ筈なんなだがな」


 「さあな、だが、俺はお前を知ってる」


 「気味悪い人間だな…」


 ほんの少しの会話を終了させ、二人は戦闘態勢にはいる。サナは、先日手に入れた剣を抜き、切っ先をジャックに向けた。それに対し、ジャックは赤く光る火の玉を召喚した。


 「勇者の持つような剣じゃねえな」


 「悪魔が勇者を語るか、面白い話だな」


 「確かに、そうだな。実際、俺も勇者のことは知識としてしかしらねぇからな」


 ジャックは最上位悪魔であり、東の魔王の側近でもある。本来、このような村に姿を現すことなどまずない。そのため、勇者と対峙した事も勿論ないのだ。


 「テメェ、名前はなんてんだ?」


 「サナ…サナ・ターゲットだ」


 「サナか、、、テメェが俺の部下のヴァンパイアを殺したのか?」

 

 「お前の部下かどうかは知らないが、数日前に一人倒した」


 「そうか、やっぱりテメェだったか。しょうがねぇ、魔王様の命令だし、俺が直々にテメェを殺してやるよ」


 ジャックは、部下であるヴァンパイアの死を知り、自ら調査に向ったのだ。件のヴァンパイアは、ヴァンパイアの中でも飛び抜けた魔力を有していた。そのヴァンパイアが死んだとなれば、上位悪魔では立ち打ちできない。


 「それにしても不思議だな。どうやってお前はヴァンパイアの死を知った。あの時、周りを確認したが人っ子一人居なかった」


 「俺たち悪魔は、眷属にした奴の証が腕に刻まれてよー、それが消えるのは、そいつが死んだ時だけなんだよぉ」


 「なるほど、それでわかったのか」


 「まぁそんなことはどうでもいいだろぉ、さっさと殺り合おうぜ!」



 ジャックは、宙に浮かぶ無数の火の玉をサナに向かって投げ飛ばした。攻撃はそれ程速くはないが、手数が多く、避けるのは困難である。その為、サナは避けるのではなく受け流す事にした。

 

 「防御だけで精一杯かぁ!なぁ、サナ!」


 「お前こそ、災害とか言われてるが、大した攻撃をしてこないな」


 戦闘は続けながらも、憎まれ口を叩き合う二人。どちらも未だ余力を残しているようだ。ほんの少しの攻防の果てに、サナは攻めに転じた。一瞬でジャックの前に現れたサナは、剣を振り下ろし、ジャックの左腕を切り落とした。


 「ちっ!人間のくせに強ぇな」


 ジャックは悪態をつきながら、後退した。切り落とされた腕からは血が出ていない、もう、止血が済んだのだろうか。


 「俺様が切られるなんて数百年ぶりだ、、、だがよぉ、こんなもの傷でもなんでもねぇんだよ!」


 ジャックの左腕の切口から植物の根のようなものが生えてきた。その根は、形をどんどんと変え、元の腕のようになってしまった。


 「俺様に、傷をつけられるのは魔王様しかいねぇんだよ!」


 

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ