ラヴェル 古風なメヌエット
演奏会パンフレットの曲紹介です。
スペインにほど近いフランスはバスク地方で生まれたラヴェルは、パリ音楽院のピアノ科へ進みます。14年間もパリ音楽院で学んだそうですが、結局卒業はしないまま。ここで有名なローマ大賞に5回挑戦しましたが、大賞を取る事はできませんでした。もっとも、後年ローマ賞の審査員を務めたりしています。40歳の時には志願して第一次世界大戦にトラック輸送の運転手として従軍しました。
古風なメヌエットは元々は20歳の時に作曲した独奏のピアノ曲でラヴェルの最初の出版作品です。オーケストラ用に編曲したのは、作曲から30年以上経ってから。ボレロなどの作品が作られた頃で、管弦楽の魔術師と言われた巧みな編曲ぶりを発揮しています。同じメヌエットでシャブリエという作曲家に『華やかなメヌエット』というピアノ曲があり、ラヴェルはそれをオーケストラ用に派手でカラフルに編曲しています。この曲はそれに比べると地味な感じがしますが、メヌエットという古典的な形式の中に新しい工夫が盛り込まれた作品で、決して古風ではないのです。冒頭から鋭くぶつかる和音や、最初のテーマが中間部で形を変えてメロディーの後ろでこっそり姿を見せるなど職人技が随所に盛り込まれています。
この曲をオーケストラ用に編曲した頃から病気がひどくなり作曲も進まなくなりこれ以降での作品はわずかに数曲あるのみ。手足が動かない・言葉が出てこない病気なのか、頭の中では曲が完成し音も聴こえているが書くことができないと嘆いていたそうな。脳の手術の予後が悪く1937年(昭和12年)に62歳で没しました。生涯独身でした。