表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガーディアン  作者: 空井 純
6/6

ガーディアン

「安田さん。ヤマトちゃんはお元気」

そこに居たのは三輪さんで、エキゾチックな黒い瞳が、安田さんの表情の暗さをとらえる。

「ああ、あんたか。この前、お守りもらったのにさ、ヤマト病気になっちゃったよ。神様ってのも、気まぐれだね。でももう祈るしかないんで、家帰ってヤマトの病気が治るよう祈ることにしたよ」

一瞬三輪さんの口の端に僅かな笑みが現れて消え、眼に冷たい光が差した

「あのお守りは、良い飼い主さんしか守ってくれないんですよ」

 安田さんはぎょっとしたような表情を浮かべたが、小さくさびしそうな笑いを浮かべ、何も言わずに帰って行った。


 見開いた目で、三輪さんの全身をとらえながら雨宮が口を開く

「三輪さん。あなたはそのお守りを中村ミミコちゃんにもあげましたか」

 雨宮は声が震えているのを感じる。うなずかないでくれ、願いように三輪さんの整った顔をみつめる

「はい」

そこには満面の笑顔。雨宮はめまいに近いものを感じる

「なぜ」

声がかすれて上手く質問ができない

「私、動物たちのガーディアンになろうって思ったんです。動物は飼い主を選べない。良い飼い主さんでなければ、その子は不幸になるでしょう」

だから、と言葉を続ける

「私のシャオンちゃんの毛でね、沢山お守りを作ったの。私のようにワクチンも予防薬も健康チェックも何もかもしないような飼い主の犠牲になったシャオンちゃん。かわいそうなシャオンちゃん。だけど私と一緒にガーディアンになって生き続けてくれているのよ」

 三輪さんは、持っていた小さなカバンから、幾本もの白いニットで作られたようなミサンガやストラッブを取り出し、恍惚の表情を浮かべ雨宮に提示する。

「ワクチンを打っていない飼い主には死を、打っている飼い主にはブースターを」

「シャオンちゃんは。……パルボウイルス感染症で亡くなったんですね」

かすれる声を絞り出して問いただす。

「そうよ。わたしのせいで。だから同じ過ちは許せないの」

「先生の病院は素晴らしいわ。皆がちゃんと病気になる前に病院にくることを促している。だから私もここに来た。あのパラソルの下で、病気になる前からしっかり動物達を守ってあげないといけないってお話ししたの。皆に良い飼い主さんになってほしいって、シャオンと作ったお守りを用意して」

 フフフフフ、私、先生の仲間なのよと笑いながら、お守りをカバンにしまい、三輪さんは病院から出て行った。満足そうな表情を浮かべながら。


 その後、2匹の仔猫チビコちゃんとタラちゃんも救うことはできなかった。それぞれの飼い主さんが向かにえ来た。その携帯には例のストラップがあり、雨宮はそれを廃棄するよう伝えた。ヤマトは何とか危機を乗り越え、2週間後には退院することができた。

 三輪さんの件は、警察に届けた。動物愛護法違反に該当するのだろうか。三輪さんの自宅までは警察が訪ねてくれたようだが、既に引っ越しており行方はつかめなかった。後は警察に任せるしかないが、人に被害が及んでいないので、どこまで追求してくれるかはわからない。


 砂粒のようにこぼれていった命を思い、雨宮はひどい虚無感と、三輪さんへの憎悪を憐みの気持ちにかき乱され、強く疲労を感じた。

 原稿の締め切りも近づいている。

『私たちは、救えなかったたくさんの動物の命と、その命に向けられた人々の悲しみと祈りから生まれた予防獣医療を軽んじてはならない。その恩恵に感謝し、正しく普及していくことが、今を生きる私たちの使命であります。それは、我々獣医師だけで達成できる使命ではなく、飼い主の協力が必須であります。私たちは、双方とも動物を愛しそれを守るガーディアンでもあると自覚し、家庭と病院の両輪により、動物の健康を守っていく体制作りを深めていかなければならない。少なくとも筆者はそこに尽力するいことを、亡き我が愛猫クーに誓いたいと思う』

 そう結んだ。


説教くさい内容になってしまったでしょうか。シリアスに書いてみたく、私の筆力がないだけで、決して説教的な内容を書きたかったわけではありません。

難しいですね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ