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8 ~井戸の処遇~

 手元の石や磁石を投げつくし、少しずつ井戸に近づいた人間たちだったが、それでも、井戸に手の届かない位置までのことだった。

 抵抗する「にじいろ」たちを遠くへ投げ飛ばし、散らばる石をより井戸の近くへ投げ寄せ、綿ぼこりたちをも井戸に投げつけた。

 投げつけられた綿ぼこりたちは「にじいろ」と取っ組み合いになっているようだが、必死に戦っている最中でなければ、なにか可愛らしい小動物がもさもさ動いているようにしか見えない。

 それが、「にじいろ」がおぞましい叫び声をあげるので、外見の可愛らしさが余計に人間たちにとっては不気味さを感じさせるのであった。


 人間たちは井戸に近づけなくなると、綿ぼこりが引っ張ってきた「にじいろ」どもを踏みつけて、数を減らしていった。最後の「にじいろ」が見えなくなると、オーロラのように覆っていた虹が消え、巨大な葉の合間から薄暗くなりかけた空が少し見えるようになった。


 ついに井戸を覗くほどに近づく事が出来た人間たちは、映像やサンプルを取り、2体の綿ぼこりを井戸の中へ入れた。


 数体の綿ぼこりどもを残して、人間たちは森を離れた。


 翌5日の朝、朝食を運ぶ執事たちの後ろに、綿ぼこりをかごに入れて持つ老紳士がいた。老紳士がかごの中身をテーブルに並べていくと、ジェフリー氏は顔をしかめた。

 綿ぼこりと科学者モーリスは、井戸について分かった事と、これからどうするべきかを話した。モーリスの肩の上には綿ぼこりが1体のっかって、楽しそうに鼻歌を歌っていた。




 井戸は、埋められた。原因らしき隕石がどれなのか分からないほどに堆積物が溜まっていたのと、それを掘り返すことがあまりにも高くつくことから、アンブローズ氏もジェフリー氏も埋める事を了承した。

 綿ぼこりとモーリスの意見で、覆い隠すほどの量の強力な磁石で井戸を埋め、さらにおぞましい植物達を刈り取り、研究用に数箇所の大学研究所に送られた以外は全て時間をかけて乾燥し焼却することになった。それには何年も掛かるだろう。


 森を拓く事で、別のおぞましいものの存在が明らかになっていくが、それはまた別の話である。

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