終話
精霊の女王ティターニア様が用意した鎧が最後の質問の根拠だった。
あからさまに女性用の鎧だったのだ、ビキニアーマーに近いもので大きさも姉ちゃんの体格に合ったものだったので間違いないだろう。
「どうして姉ちゃんを召還したんですか?」
大事な事だ、最悪の未来を避けるために。
「ん~ どうしてそ~思うのかな~ 君のほうを喚んだのかもしれないよ~」
白々しい。
俺はティターニア様が用意した鎧のほうに・・・
「ふっふっふ~ もう誰にも渡さないあなたは私のものよ~」
羽根付き瓜坊を抱えて壊れている姉ちゃんが痛 いや、居た。あれあの瓜坊大きさが変わるようだ、小さく、クレーンゲームのぬいぐるみ(中)ほどの大きさになって姉ちゃんの腕の中からつぶらな瞳を濡らして助けを求めている。
可哀想な瓜坊、そのまま姉ちゃんの生贄になっていて下さい。
それはともかく、ティターニア様の用意した鎧が女性用、それも姉ちゃん専用にしか見えないことを指摘する。
「あ~あ そ~の~こ~と~ それならほ~ら~」
・・・ティターニア様が黒白のゴスロリドレスを出した、ボンネット付きの・・・
「龍の牙や爪でも破れない、炎さえも防いでくれる特別製よお~」
お~ なんてすばらしい、デザイン以外は?!
「へ~ 」
瓜坊を抱えた姉ちゃんが、興味津々の眼でやってくる。瓜坊の色が変わっている、服を着ている・・・ゴスロリドレスだ。
ボンネットの下から暗い眼が覗いている。
何故だろう、お前もこっちに来て不幸になれと招いている気がする。
丁重にお断り申し上げます。
「精霊の女王様、ティターニア様、今すぐ元の世界に帰して下さい。」
「これ着てからにしない?」
「似合うと思うよかわいいし♡」
「サイズもぴったり。」
「愛してる♡ でも愛に刺激って必要だと思うの!」
「帰して下さい! 今すぐに!!」
「はいはい しょ~がないわね~ 」
気が付くと姉ちゃんの胸に顔を埋めていた。
入学式のあったあの日あの場所だ。
真新しい制服の匂いに涙が出そうだ。
「帰って来た」
肺から息が出るついでに言葉が出た。
「だな」
こうしていると異世界のことが夢だったかのようだ。
「ひいい~~~~っ!!!!!!」
いきなり道向こうで声がする。
おな中で別の高校に行った娘が二人。一人が声を上げた娘で、目線が俺の上・・・
「ちょっと ど~したのよ?!」
「見えないの?! あれよ!あれっ!!」
「あ~ うん 今度は何が見えるの?」
「うそっ! あんなにはっきり見えるのにっ!! ひぃい~~っ!!!」
俺の頭の上にいた精霊ちゃん達が声を上げた娘を、おもしろがって覗き込んでいる。
他に騒いでいる人がいない所をみると、見えているのは彼女だけのようだ。
そっか~ 知らなかった、彼女『見える人』だったんだ。
「殺したのね!!!」
いきなり胸座を掴まれる。状況が理解出来ない。
「あなたが殺したのよね! 彼女たちをっ!!!」
あ~ なるほど、精霊ちゃん達を俺が殺した女性達の怨霊だと思ってる訳ね。
「ひどいよ! ひどすぎるよ! やっぱり痴情のもつれ? ううん、やっぱりそれしかないわよね。 だからって六人も…六人も殺すなんて・・・」
泣き出す。
誤解なんだけど、どうやって誤解を解けばよいのかわからない。
「なにがどうなっているの?」
見当はついているが、確証はない。
いま俺達は、正確にいうなら俺と姉ちゃんと彼女達二人とリューちゃんとデルちゃんとユシルちゃんが居るこの場所は、切り立った崖の上でさらに遠くの湖の上には赤いドラゴンが飛んでいる。
「なに、それ・・・」
精霊ちゃん達を眼で追っている。
彼女にも見えるようになったようだ。
予測していたのに最悪の展開を避けられなかったようだ。
次、最後です。




