要望
「それはともかく、幾つか確かめておきたい事がある。」
「なにかしら~」
「召還陣を使って与えたのはやっぱすぐ取り上げられるようにかな?」
「うんうん、じつはそうなの~」
やはりそうか、いきなり喚びだした見ず知らずの相手に大きすぎる力を与えるのは危険だ、ティターニア様が望まない方向に向かおうとしたとき精霊ちゃん達の手で俺に与えた戦力を取り上げるつもりだったのだろう。
「最初っから姉ちゃんや俺を喚びだしたりせず自分ですれば良かったんじゃないの?」
「最初のころ、そ~してたんだけどね~
それだとうまくいかないんだよね~
あたしがてェだすとあっという間に壊れたり滅びたりするのよ~」
困ったわ~ とくねくね。
「人間を使うほうが上手くいく?」
「そ~そ~そ~なのよ~
それもぉ よその世界のひとのほうがうまくいくのよ~」
なるほど、執着やしがらみのないほうが公平な状況判断ができるのだろう。
人と精霊の女王では立場も寿命も感覚も違い過ぎてわからないのだろう。
俺が出来るだけ多くの人を助けたいと考えていたのも平和な日本から来た驕り(おごり)かもしれない。それでも、生きたいという人を出来るだけ生かしてあげたい。出来ないなら他の多くの人を生かす方向で、納得の出来る生き方を、あるいは死に方を用意したいと思った。
産まれて来た全ての命を生かすことは出来ないのがこの世界なのだ。デルちゃんと闇の精霊の影ちゃんの知識を借りて医療技術を導入したのはよいが、乳幼児死亡率が低くなると人口が増えて食糧自給がまにあわなくなる。
それに気づいて蛮森開発を行う事にした。 開発事業といえば聞こえは良いが、主目的は棄民だった。
棄民、口減らし、人員削減、計画的な人殺し・・・
俺が殺した人数は、魔族の女王が殺した人数より多い。
しかし、そうしなければ人族、魔族、魔族混じりによっていがみあい争いが起こっただろう。
蛮森を仮想敵とすることで、国をまとめることしか俺には出来なかった。
この世界の国民の平和と安定の為に最も役立つアイテムがコンドーさんだということを知ることになった。作る技術は育つまで時間がかかりそうだった。いちおう作り方はデルちゃんの中にあったので残してきたが・・・
「それで~ わたしのとこにきたってことは~ かえりたいってことかな~?」
俺は、姉ちゃんを一瞥すると大きく頷いた。既に話し合っていた。
この世界の未来についても、姉ちゃんが産んだ三人についても、二人の姫・・・いや、既に女王になっているフォリゼとリラタ、そして妊娠中のセアについても、姉ちゃんと俺が帰らなくても大丈夫なようにしたためてある。
この世界に俺はもう必要ない。
「そうだ、帰る前に一つきかせてほしい。」
あと二回です。




