出立
現在では大勝利と呼ばれている魔族との戦争から十年が経った。貴族の兵役は七期目となり、あれからいろんなことがあった。
医療は発展し、農作物の収穫量は増えた。
蛮森の開発は手こずっているが、病理研究所とベースキャンプは稼動している。蛮森内部の建設は失敗したので近くの島に建てた。 貴族の兵役義務は好調である、何しろ三年間の兵役義務を果たさないと継承権を失うので皆必至だ。
思った以上に上手くいっているのが奴隷制度である。
戦争中に魔族から奪った糧食では三国(エウラド、ノト、ゼセン)の国民を次の収穫期まで養うのは難しかった。また、捕虜にした少年兵の再教育も必要だったが、充分な食事も無しに教育するのは難しい、衣食足りて礼節を知るというが、衣食を与えられる環境でないと、礼節つまり教育を効果的に行うのは難しいということだ。
そこで少年兵や魔族を奴隷として販売する事にした。処刑したり餓死させるよりは良いと判断したのだ。勿論奴隷に対して暴力や暴行の禁止、睡眠・食事・寝床を与えることを法で定めたが守られるとは限らない。奴隷でない市民が満足な食事を得られない状況なのだ。
ただ、このとき奴隷に関してもう一つ新たな法を定めた。魔族及び魔族混じりの者は王位継承権五位以内の者のみが売買する事を許され、また魔族及び魔族混じりの者については人別を把握し人別帳を作成する事。また、魔族及び魔族混じりの者を王家に属さないものが販売する事を禁ずる。これに反した者は私財を没収とする。
つまり、奴隷を販売出来る者を限定し、しかも手続きの手間が時間が経つほど難しくなるうえに、高位継承権を持つ者に限定する事によって奴隷販売はリスクが高くなるようにした。下手をすれば継承権の剥奪があるような奴隷販売には手をださなくなるだろう。
魔族及び魔族混じりの扱いを厳しくするのは彼等が反乱を起こす可能性があるからであるという大義名分が存在している。
さらに民間の奴隷販売についてだが、魔族及び魔族混じりでなければ自由となっているのだが奴隷として売られた者や売られそうになった者が青い塗料を身体に塗って魔族混じりだと主張する事態が続出した。
戦争前には人別帳など無いし、本人叉は本人の親が収容所から逃げたのだと主張すれば確認の方法など無い。しかも法律上魔族及び魔族混じりは、売った者も買った者も等しく私財没収なのだ。
おかげで奴隷販売は誰もしない。闇でする者もいるが摘発されることが多い。なにしろ摘発すれば丸儲けなのだ。
やれやれ、せっかく合法にしたのに。
あとは、俺の近況についてだが、姉ちゃんは三人目を産んだ、女男女で三人『和恵』『仁志』『満覇』と名付けた。フォリゼとリラタは二人づつセアちゃんは一人で全員男を出産している。セアちゃんにはまだ一人お腹にいる。
精霊ちゃん達は毎日2㎝づつ大きくなっていたがエッチすると止まるとのことだったので150~160㎝になっている。
あと俺と姉ちゃんとユシルとリューとデルタミューは見た目の変化が殆ど無い。そういえば半年前デルタミューの初期設定が完了した。なんでもデルタミューを召還した時に通信用の回線をパンクさせてしまったらしいが、この星が辺境だったので修復に時間がかかったそうだ。回線をパンクさせるほどのエネルギープラス企業側の落ち度ということで色を付けてくれるといわれたので、姉ちゃん用の戦闘用スーツと移動用の装備をもらった。
それを使って今日は旅に出る。
まだ続きます。




