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故郷

 残酷な表現があります。

 龍形態のリューちゃんに乗って南に向かって飛んでいる。

 一緒に乗っているのは姉ちゃんと魔族の女王といつの間にか背中にいるユシルちゃんと精霊ちゃん達、そういえば俺がこの世界に来て十日になるのか、精霊ちゃん達も20㎝を越え・・・むぐっ・・・

 いきなりユシルちゃんがキスしてきた、エルフのユシルちゃんには接触している相手の心を読めるらしい。俺がユシルちゃんを思い浮かべると、こういった行動をするようになった。

 「なにをしているのかね君たち!?」

 頭蓋骨がBGMバック・グラウンド・ミュージックを奏でる。

 ミュージシャンは姉ちゃんで楽器は俺の頭蓋骨、苦痛という音色が響く。

 とっても痛いです。

 「痛いよ姉ちゃん。」

 「誰かさんが鼻の下伸ばしてるからだよん。」

 「男ってそ~ゆ~もん な の さ

・・・・・・・・・痛い痛い痛いイタイ 」

 「そろそろ男である前に父親としての自覚持ってもいいと思うよ。」

 「ハイ、そのように心掛けたいと思います。ですので今後ともよろしくお願いします。」

 しばらく俺の顔を見ていたが、俺の鼻を弾くと『につ』と笑う。

 なぜだろう、とっても怖い。

 そろそろ南に大陸が見えてきた、マッハに近い速さで飛んでいるおかげだろう。

 ちらりと魔族の女王をみる。

 「故郷なんだろ。」

 「あの日『プラ』が消えるまではな。」

 プラがなにか解らないが、おそらくエネルギーの一種だろう。あらかじめ、あの町の様子はみておいた。

 「貴様は文明人なのか?」

 「ま~ね」

 「ならばなぜあんな出来損ないの為に、命を懸ける?」

 「創ったのはナトアじゃなくて御先祖様だろ、たとえどんな生まれでも命は命だからね~ 廃棄したのか逃げ出したのかは知らないけど、独自の文明を築いたことは認めて欲しいよね~」

 「我等の模倣・・・いや、それよりどうしてそのことを・・・」

 「は? いや、そっちこそ何で解らないなんて思えるの?」

 ナトアさんが魔族の女王となったのは、娘と共に夫の前で犯され、夫も娘もその時に殺されたからだと言っていた。彼女の身体にも十年前の打撲痕があり、乳房と女性器には石が埋まっていた。焼けた石を押しつけられたのが、そのままそこに残っているのだそうだ。

 人族にとって魔族がどんな存在なのか?

 魔族は人族をどう考えているか?

 そして、交配条件についても考えてみれはだいたい見当がつく。

 道理で簡単に殺す訳だ。

 この都市も概要は知っていた。

 デルタミューが昨日、先行して情報収集していたのだ。

 デルタミューの案内で大型店の前に来る。

 大きくて分厚いガラス?が二重になった自動ドアがある。閉まったまま動かなくなっている。地球の日本では停電になれば開くようになっているはずのドアが、人を中に呑んだまま動かなくなっている。

 ドアとドアの間にいた人はまだ幸運だったかもしれない。二重ドアの奥にいた人のうち何人かには争った・・・恐らく共喰いをした形跡がある。

 「この中に私の息子が居る。」

 俺は彼女が過去を話すとき、同情しない。 仮にも最高権力者だったのだ、同情や憐憫で動いてはいけないのだ。いや、同情や憐憫で動くと見せて、計算打算で動くのが王の責務というものだ。

 それが彼女に対する礼儀だと思う。

 「おまえはいったいなんだ?」

 「それに答えて何の意味がある?」

 ただの高校生だと言ってもわからないだろう。

 「ナトア」

 (さん)と付けそうになってしまう。

 「貴女をここに残してゆく。」

 「なんだ? 女一人殺す事も出来ないのか意気地の無い奴だ。」

 「殺されるより辛いことだってある。」

 誰もいない、砂ではなく土があるぶんエウラドより豊かかもしれないが、それだけ。

 人が、少なくとも文明人が生きてゆける環境では無い。

 「そ・・・   」

 彼女がなにか言おうとしてやめる。

 うなだれて、動きを止める。

 俺は姉ちゃんとデルちゃんの腰に手を回して、その場を離れた。


 まだ続きます。

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