城魔
ラフン城、旧ノト城が崩れてゆく。
陽が昇る前に布陣を完成して、攻めるぞと謂わんばかりに鳴り物を鳴らした。
すると、待っていたように城が崩れていった。
「全軍退却~!」
予定の行動だが、退却戦にならないように早めに行動する。
敵城内に三~四千の兵が居るのはデルちゃんで確認してあったが、こちらは見せ兵が千五百、伏兵が二千。俺が指揮している千五百は退却後伏兵と合流する事になっている。
伏兵の指揮官は姉ちゃんで、副官にノトの姫リラタと通信員にセアちゃんがいる。
少年兵が攻めてくれば地中に埋めた網で絡め取る。最初に砂煙を立てた時埋めておいたのだ。召還獣が攻めてくれば俺が迎え撃つ。
どうやら魔族は召還獣を呼ぶことにしたようだ。城内に集めた少年兵を生け贄にするのだろう。一度に大量の生け贄を捧げるという事は、巨大か強力な魔獣である可能性が高い広範囲を攻撃出来たり、高速移動したりするような魔獣でない事を祈りながら全力で逃げた。俺は殿を勤める。
ラフン城が立ち上がる。
城がゴーレムの上半身のように変わってゆく高さ50m両腕の端から端まで120mあるだろう。なぜ上半身だけなのかは解らないが、この後下半身が創られるのだろうか?
腕の上に魔族がいる、左右の腕にそれぞれ百人ほどいる。矢に魔力を乗せて射ってくる。
「光!」
オーロラをイメージして広範囲に光膜を張りそれを動かして狙いを狂わせる。精霊ちゃん達が大きくなったぶん威力も大きくなったようだ。
単なる乱反射ではなく、太陽光の反射を利用して魔族の眼を眩ませる。
リューちゃんの機動力を頼みに、高速移動して攪乱する。
『撤退状況はどう?』
セアちゃんに確認する。セアちゃんとは未だに繋がっているので視界を塞いでも問題無い。
撤退が完了したのを確認して、俺も離れる。
矢の射程圏から離れてしまえば、新たな展開が無い限り。戦闘は終わりである。
下半身が無い、つまり移動手段が無いのであれば、召還獣である以上制限時間があるはずだ。召還時に生け贄が必要なのはわかっているが、操縦時にもそれなりの負担があるはずだ。
長時間の操縦は出来ないし、再度召還する生け贄を用意する事も、もう出来ないだろう。
矢による攻撃が激しくなった。距離をとって様子をみる。
攻撃が止む。
三分の二をさらに距離をとらせて、休ませる。
少しずつ少しずつ、ゴーレムが崩れている。どのくらいで崩れ落ちるのか?
「なぁ~ も~あきたぁ~」
「うん、もう後寝てていいからね。」
一気に戦時の高揚感が萎えた。
まだ続きます。




