穴道
星が瞬く夜の闇の中で、三人の男がそれぞれ木の枝を引きずって走っていた。
呆れた顔でそれを眺める男達がいた。
縛られて、口に草を丸めた物を入れられている、魔族の男が四人。
まだ真夜中少し前、今砂煙を立てても朝まで保たない。
魔族達は気付かなかったが、これは罠だ。
「お~い、そろそろ戻るぞ。」
第一陣を捕らえたら戻れと言う指示だった。
茂みの中に百人程の人族がいた。木々の中に紛れるように木の枝草の葉を服に貼り付けた、森林迷彩といわれるものだ。
四人の魔族を一人あたり二~三人で担ぐと、そのまま運んで行く。
エウラドと違いラフンには、豊かな森が有り隠れて住む事が可能だった。十年前一万の兵士が魔族と戦った、ではその時の戦いで全て死んだのか? 難民としてエウラドに行った者以外に、この地に残った者はいなかったのか?
勿論、魔族も残党狩りは行っただろうが、なにしろ魔族は人数が少ない。
デルちゃんに上空から監視してもらったとき、確認を頼んだのである。
確認したあと、接触した。
三つの集団があり、そのうち一つは地下都市まで造っていた。
協力を乞い、了承を得た。
エウラド次期王位継承者という地位と、リューちゃんの龍形態を見せると、わりと簡単に話が通じた。
地下10mに隠した食料は、彼等の地下都市に運んだ。
さらに今夜は四つに別れて、三つは人族女性の救出、そして残る一つは俺と共にラフン城に潜入して、魔族女性と子供の誘拐である。
陽動として砂煙を上げ、斥候を捕らえるのが第一段階、このときはおそらく魔族兵士が出て来ると予測していた。年齢的に斥候の出来る少年兵がいないと判断していた事と、魔族が人族を疑っているからだ。少しでも魔族軍を減らしておきたかったので捕らえ、次に武力行使を前提として来る少年兵達をかわすため捕虜を運搬する者と別れて、あらかじめ掘っておいた穴に入る。
この穴はラフン城の地下、魔族の繁殖部屋のすぐ下に繋がっている。
「陸!」
開いていた穴を閉じる。夜なので見つかる事は無いだろう。
先に行かせた者達には、先頭に光、最後尾に火をつけている。俺も行かなければ。
まだ続きます。




