召還
いきなり攻撃された。
額を六連発である。
「て~っつ!!」
魔法陣の描かれた布を持ったら、そこに力が満ちたような感触があって、何かが飛び出してきた。
コブができてるかなぁと、額をさすりながら見回すと、女の子が六・・・人?
身長3㎝の赤青白黒茶緑の色のスタイルのいい女の子が浮かんでいる。羽はないが妖精だろうか?
そういえば妖精の単位計数は柱だったはずだ。
先ほどから(ひゃあひゃあ)とうるさいのは妖精の声のようだが、何言ってるかわからない。
布はほかにもあるので、なんとなく手をのばす。
軽い眩暈。
「なんだありゃ?」
ねーちゃんが空を見てる。
空に龍がいた。薄紅色の羽根が無くて髭がある年賀状に描かれるような、和風の龍で30mぐらい。
ゆったりとその身を翻すと、小さくなって女の子になる。
カタカナのヲの字に似た銀色の角を二本薄紅色の髪の中から生やした、小学生ぐらいの全裸の女の子が、無表情でこっちを見てる。
そのままこちらに歩いてくる。
自分でも気づかないうちに、座り込んでいた。
左右の手の下にまた別の魔法陣。
銀色の髪で紫の眼で肌の白いモデル体型の全裸女性と眼が合う。
「キャ~~~~~~~~~~~~~~ッ!」
豊かな胸と股関を手で隠して、尻餅をついている。俺を性犯罪者と確信した眼で見ている。
早口に何か言っている、言葉は解らないが罵倒されているのはわかる。
「ちょちょっと落ち着いて、ね!」
「てめーは向こう向いてろ!」
ゴキリ!!
くっ首がぁ~!!
制服のブレザーを、全裸の女性に着せる。
さらに、俺のブレザーを剥ぎ取って角の生えた子に着せる。
助かったぁ~ 少し残念。
「スケベ」
言葉のヤイバが痛いです。
うちの姉は、家の中では無防備なくせに、俺がエッチな本を見ていると怒る。
あれ、ワイシャツ越しの背中に感触がある。
振り返ると、もう一人居た。エルフだ。
全身が薄い緑色で、耳が尖っていて細身で全裸の女の子が、いつのまにか俺の背中に居た。
緑の肌は目立つのに、なぜか影が薄い。
!
冷たい眼のオネエサマが仁王立ちだった。
「キミさぁ、ど~ゆ~ことかなあぁ?!
いいわけがあったらゆってごらん。
聞くだけはきぃたげるから。」
「不可抗力です!」
「有罪」
刑の執行を阻んだのは、妖精達だった。
彼女達も裸だったが、3㎝の少女に着せる服なんて無い。
龍やエルフがいるファンタジーなんだから美少女のキスで言葉がわかるような魔法はないのだろうか?
黒い妖精が、俺の手の甲に乗る。そのまま手の中に入ってしまう。
頭の中に辞書のイメージ。
言葉を思い浮かべると、訳語が浮かんでくる。
妖精さんにカタコトで質問してみる。
無意味でした。
相手が何を言ってるか異世界初心者には解らない。
こちらの言葉は訳せても、相手の言葉を自動翻訳はしてくれないらしい。単語帳片手に言葉を覚えろと・・・
困っているとこんどは白い妖精さんが、俺の頭の中をくぐり抜け、白い糸を引っ張り出した。
しばらく辺りを見回すと、俺にぶつかってきた子が物陰からこっちを見ていた。
あの子、まだいたんだ・・・
白い妖精さんは、その子に飛んでいく。
慌てて逃げようとするが、妖精さんの方が速い。頭の中に入る。
すると、まわりの声が意味のあるものにかわる。
あの子を通して、言葉が理解できるようになったようだ。
とりあえず、会話の基本は自己紹介から。