帰城
しばらくしてリューちゃんが戻って来たので城に帰ることにした。
新たな情報として、魔族が漁場を荒らしているという話だった。
よく聞いてみると、船の特長が昨日焼いた魔族達の船に似ている。思い出してみると、あの時の船は使い込んだくすんだ色だった。
なぜ、昨日攻め込もうとしたのだろう。
あの船が漁師の船だとすると、徴発したものだろう。もしかして今回の出撃は急に決定されたものではないだろうか?
魔族達の主戦力は六~八歳の少年兵だった、たとえば地球だったらその年齢でも自爆テロみたいな方法で戦力にすることが出来る。
魔族の技術水準がわからないので、何ともいえないが、あと二~三年待てば戦力としても充実する。昨日の様子では食料自給に問題があるとは思えない。
他に何か問題となることがあって出撃を急いだとすると、それは何だろう。
いや、あの戦力でも城を陥とすのは不可能ではないだろう。犠牲を厭わなければ。
城が、そして王がいなくなれば指揮系統が消滅する。組織的な反抗が出来なければ人族は、終わりだろう。もしかしたら新たな指導者が現れるかもしれないが、それまでに壊滅状態になる可能性が高い。
事実、昨日こちらから攻め込んでいなければどうなっていたか・・・
今日、再度侵攻して来る可能性があるため
にデルちゃんに警戒してもらっているが、今の所連絡はない。ナイフ四~五本がどの程度の戦力なのかはわからないが、昨日の戦闘で死んだのは魔族の成人四人、少年兵七人が飛爪二匹と共に、船のあった場所ではほとんど犠牲はなかった。船に乗って水上にいるときに攻撃していれば、敵戦力を減らせることはわかっていたがそれは嫌だった。
俺は日本人だった。
平和な国の平和ボケした脳天気な日本人だった。信長も三国志も大好きな、シューティングも落ちゲーも戦略系も楽しむ日本人だ、だからこそ平和が好きだった。
可能な限り犠牲を出さず、戦争を終わらせたかった。その後にどうなるかわかっていてもだ。だから水上で攻撃をしなかったのだ。
姉ちゃんは理解してもらえるだろう、姫様達には無理か・・・
答えがわかっている。模範解答がだ。
日本で行われているような教育を行えば、平和ボケするまで平和教育を行い、またそれが可能になるように、周囲の環境を整える。
遠い、遠すぎて答えまでたどり着く道が見えない。
空に赤い太陽があった。
リューちゃんの角が暖かい。
城が見えてきた。
懐かしい匂いがする。
不吉な記憶が蘇る。
城の横にある広場に十人程の兵士が座っている。そして、その側に寸胴鍋と姉ちゃん。
姉ちゃんがこっちを見て手を振っている。
顔を姉ちゃんに向け、手を振って笑って見せながら、眼だけを動かして何か打開策がないかと考える。
何も思いつかないまま着いてしまう。
「よう、おかえり。どうだ食ってくか?」
「いや、向こうで食べてきたから。」
兵士の皆さんが、こっちに助けを求めるように見ている。姉ちゃんの料理かぁ、不味いけど食べられなくもない味なのだ。
兵士の皆さんごめんなさい。
「食料事情が悪化していますので、残さず食べて下さいね。」
「お~ 姫様達もそう言ってた。」
まさか・・・
「食べたのか? 姫様達も?!」
「味見だけ、異世界の料理は口に合わなかったらしい。」
さすが王族、上手な断り方だ。
「よ~し、あと二杯がノルマな。」
人間は、どこまで残酷になれるのだろう。
「泣くなっ! 負けたら何でも言うことを聞くといったのは我々なのだ。
・・・喰うぞ!!」
兵士長の、たしか名をダオロといったはずだ。悲壮な声で言うと、食いはじめた。
姉ちゃんが、全員と闘って倒したそうだ。
「な~な~ 腹ごなしにちょっと闘ろうぜ。」
返事をする前に、踏み込んでくる。
慣れてはいるが、勝つのは・・・勝率一割以下。
こっちも踏み込んで、胸に顔を埋める。
スポーツブラの感触だ。
「うぅう~っ わかったっ わかったよっ!」
なにがわかったのかわからないまま、俺を抱き上げると、城の中へ。
「ふっふっふ たっぷり可愛がってやるぜ。」
「だめ、まだ明るいもの。」
「うるせぇ あたしに火ぃ付けたんだ ただですむと思うなよ。」
「あ~れ~」
姫様達が呆れた顔で見てた。ユシルちゃんはずっと俺の背中にいた。
このあとのことは・・・
まだ続きます。




