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十秒

 昨日捕虜にした三人の少年兵に会った。

 無駄だった。

 飢えた獣の眼でこちらを睨み、唸り声をあげて、近づくと噛まれそうになった。

 人族を敵と信じているのだろう。

 話をするには、暫く飯抜きにして、おとなしくさせてからだそうだ。

 倉庫にある死体を見に行く。

 臭いはじめていた。あとで川に流すそうだ。

 「ついてこなくてもいいのに。」

 「う~るせ! あたしがいないとすぐ自分一人で背負い込んで動けなくなるくせに。」

 姉というのは厄介な存在である。

 「これどう思う? 服が切り抜いてあるんだけど。」

 「ん~ファッションかな?」

 「俺もそう思う、肌の色に合わせてカットしてある。」

 肌が部分的に青い、地球人の場合混血になると肌の色はだいたい中間の色になるが、魔族と人族の場合モザイク状というのだろうか、四角を組み合わせた形に青くなっているのだ。

 「ほら、服は青い部分が外に見えるように切り抜いてある。服は黒いけどたぶん染料が手に入らなかったんじゃないかな。手に入っていれば青く染めてたと思う。」

 「お~ほんとだ。そ~ゆ~ファッションなんだ。」

 ファッションか、たしかに。

 「青い肌は魔族の証し、青い肌を見せることで魔族であることを主張してるんだと思う。選民思想を教育されてるんだ。」

 「センミンシソーがなにか知らないけど、それが嫌いなことはわかった。ピーマン前にしたときとおんなし顔してる。」

 「いくつの話だよ。俺ピーマン平気だからね。それと選民思想ぐらいおぼえておいてよ。」

 自国叉は自分の民族のみが最高、とまあここまではいいが、それ以外を不当に貶める差別的な思想のことである。他者の功績や能力を認める器が無い哀しい民族性である。

 「でもこれは状況証拠でしかないんだよな。」

 だが、捕虜の態度からも間違いない気がする。だとすると、とてつもなく厄介だ。

 「混血か・・・」

 本来、混血というのは生物学的にも民族学的にも素晴らしいことであるはずなのだ。

 しかし、戦略的となると・・・

 まだ確証があるわけではない。

 「お~い なんか悪い顔してるぞ~」

 「悪かったね、顔が悪くて。」

 「そっか~」

 いきなり抱きしめられた。

 やばい! なんかちょっと泣きそう。

 俺は姉ちゃんの胸でゆっくり十数えて、それから戦場に戻ろうと決意した。理由はそう、この胸を守るためなんてどうだろう。

 そして俺は・・・ やっぱあともう十秒。


 

 

 まだ続きます。


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