廃村
ブロックにした土を重ねた家、エスキモーのイグルーに似ている。十軒程あるが、上あたりから崩れていて使えそうなものは・・・
とりあえず状態のよさそうな一軒に入ってみる。
ここから人が離れたのはいつだろう。
「夜までここにいるか、もう少し歩くか・・・
ねーちゃんはどっちがいい?」
「そっかー 今夜は二人きりだね・・・」
「よっし、がんばって歩くかぁ。」
砂漠の真ん中に放り出されてすぐ、姉さんは「水の匂いがする。」と言った。
歩いて歩いて歩いていくと、本当に川が見えてくる。広い川だ、川幅が1~2㎞あると思う。嫌な色と匂いの川だ。
紫の水と川辺にはカニの死骸、川の中に魚影が見えない。
かなり歩いたのに、さほど疲れていない。
川に沿って歩くと、村らしき家が見えてきたが、そこには誰もいなかった。
川を右に見ながら上流に歩く。
上流か下流に村か、町があるだろう。無くても川が目印になるから、砂漠でも迷わなくてすむ。
ほかに見るものもないので、川をみていたが眼が痛くなってくる。サングラスが欲しい。
陽が傾いてきたころ、壁に囲まれた町・・・城塞都市が見えてきた。