先制
残酷な描写があります。
太陽が昼間の四分の三を過ぎる。
河原には草が生えていて、それをわざわざ刈って広場にしている。川向こうは、畑はないが森はあった。難民が来る前のエウラドもこんなだったのだろう。
四角い編み駕篭そばに十四人、四人はあからさまな魔族であとの十人は子供、セアちゃんより幼い、六~七歳だろうか?
魔族四人は青く塗った革鎧を着ているが、武器は一人だけ棒のような物(たぶん鞭)を持っている・・・いや、革鎧に短剣が仕込んである。あれで防御も兼ねているのだろう。
子供達は安っぽい貫頭衣のみだ。
「て~~~~~~~っ!」
弓兵二人に歩兵十八人プラス俺達。
それがこちらの戦力である。
少数精鋭で隠密行動を目的としている。
奇襲を予測していなかったようで、魔族二人が倒れた。あとの二人は子供を楯にした。比喩的な意味ではなく、子供の首筋を掴んで物理的な楯としているのだ。
矢があたって暴れるのが気に入らなかったのだろう、子供を刺しておとなしくさせていた。子供の手足から力が失われてだらっと伸びる。
すると、それぞれの頭上に三枚重ねの魔法陣が描かれ、巨大な羽根の巨大なニワトリが出てくる。あれが羽爪だろう。
赤い鶏冠の下の眼が、とても凶暴そうだ。
子供を投げ捨てると羽爪の上に乗る。
部隊には、可能な限り殺害をしないよう要請しているが、優先順位は低い。
足元にいる子供を蹴散らし踏み潰して羽爪が駆ける。全高五メートル全幅二十八メートル全長九メートルのニワトリが二羽、舞い上がろうとしている。
乗っている魔族は、片手を鶏の背に、片手は胸の前でナイフを握っている。ぼんやりと光を帯びているのは羽爪を操っているためだろう。
俺は角を握って、リューちゃんの化身を解いた。
一羽を魔族ごと一呑みにしたが、もう一羽が空へと飛び立つ。
青い空に白い翼が映える。
追う。
翼をはばたかせて、高度を稼ごうとするが上昇速度は、こちらが速い。
ニワトリなのだから、飛ぶより地上を走ったほうが速かったかもしれない。
俺を狙う蹴爪を喰わえると、そのまま呑み込む。さすがリューちゃん、桃色の龍になると、ちょっとでかいニワトリなど敵じゃない。
地上では子供が取り押さえられていた。
腕や指を折られている者もいるようだが、これは戦争なのだ。
陽動部隊に対しては、こちらの被害は軽微だった。
ここは任せて、下流の上陸部隊へ向かう。
カヌーが二十艘、これは一艘をリューちゃんに喰わえてもらってあとは焼く。
上流にとんぼ返りで、カヌーを渡すと、生き残った子供は三人。
子供と味方はリューちゃんの背に、死体はカヌーに乗せてロープで引っ張る。
先制攻撃によって勝利だったが、地力で勝ってるわけじゃない。
リューちゃんにしても今後は対策をしてくるだろう。
こちらとしては、至急次の策を打つことにしよう。
ありがとうございます。
まだ続きます。




