前哨
忘れていた、花婿衣装という物もあったのだ。
赤を基調とした服だった。
「てきとーに決めるなよ、一生に一度の服なんだから。」
厭々相手をしているのがわかったのだろう。背後から声がする。
「おね~さんっつ!
少し、もう少しでいいですから恥じらいというものをですねぇ・・・」
頭に花冠を載せて、あとはブラとパンツ・・・サンダルも履いてる。
こうしてみると、とっても・・・筋肉質だ。
軽く眼を細めると、背中に手を伸ばしてブラのホックをはずす。
落ちそうになるブラを手で抑える。
にやっと笑う。
「姉さん、あんまり下らないことをしない。」
ごめん姉さん、俺そういうの慣れてるんだ。
「魔族って魔法が使えるんだ。」
「そう言われています。全ての魔族が魔法を使えるわけではないようですが、しかし、本当に恐ろしいのは魔獣なのです。」
「昨日の毛玉スライムみたいなやつか。」
「すらいむ? 毛羅のことですね、毛羅五匹と羽爪三匹で一万の兵士を壊滅させたのです。」
「ああいう、物理攻撃が効かない奴は化学的な方法がいい。油かけて火を点けるとか、水に落とすとか、人海戦術だと被害が拡大するだけだろう。羽爪っていうのは飛行型だよな、飛行高度はどのくらいなんだ。」
「あの、何を言ってるのかわからないですが、それはどこの言葉ですか?」
姫様が、こんなことだと夫婦生活が心配だわと、小さくつぶやく。
「羽爪って、矢が届くような高さを飛ぶのかってこと。」
「羽爪を倒したという者は居ません。矢を当てた者はいたそうですが、生き残っている者はいません。十年前の戦争では兵士の半数以上が死んだそうです。」
「人の兵が一万として、魔族の兵はどのくらいいたんだ?」
「正確にはわかりません。しかし、千とも、それ以下ともいわれています。」
戦力的に現在どうなっているだろう。十年で増やせるのは・・・
嫌な言葉が浮かんだ。使い捨ての少年兵。
魔獣と戦う方が、はるかに気楽だ。
「こちらの戦力は?」
「正規兵が234人予備兵が1752人です。」
ちょっとびっくり、即答できるってことはいずれ魔族が攻めてくると予測していた。
そしてそうなれば、この国、いや人族は終わりだと理解している。
俺が毛羅を倒したせいで妙な期待を持たせたのかもしれない。
しかし、戰は数である。1986人で勝てるのだろうか。
今日かどうかはわからないが、日没前に魔族は攻めてくるだろう。
まだ続きます。




