機兵
異世界で二日目の朝がきた。
・・・姉の胸に顔を埋めて眠っていた。
「おはよ♡」
微笑む姉に、動けなくなる俺。
「これで二日目か、うん大丈夫!
二日目も安心っていうし。」
お姉さま、それは乙女が言ってはいけない冗談です。
右側がなんだか重い。
スマートウエポンを装着したままだったが、感触が違っている。なにか不吉な確信めいたものを感じながら見ると、女の人がこっちを見ていた。眼が合った。
黒髪黒眼のいかにも日本人な女性で、喜ばしいことに裸ではない。水色のレオタードのようなものを着ている。レオタードと違うのは足首まで布?があって、あと文字がたくさん書いてある。文字の配置が不規則っぽいのに、妙に見慣れたかんじだ。
「お買い上げありがとうございます。
汎用型携帯装備◆■▼▶●★◀▶◆▲■▼●♦♥♥♥と申します。今後とも宜しくお願いいたします。なお来期のラインナップといたしまして、さらなる企業努力の結果により・・・・・・・・・・・・ 」
途中から意識的に聞くのを止めました。
新製品の宣伝を立体映像付きで解説されても、固有名詞の幾つかは日本語に変換できてないし、値段は全てオープン価格で格安なのだそうだが、兵器の値段は高いのが相場だし・・・
俺が説明を聞き流しているあいだに、寝ぼけてふにゃふにゃしている姫様に、精霊で水を用意させて顔を洗っていた女性陣。
しっかりというかちゃっかりというか。
「・・・名前の登録をお願いします。」
「あ、はいはい。何の名前?」
本気で聞き流してました。
「本機の呼称になります。出身地・惑星が特定できるものや、生年月日等個人情報の流出につながるものは避けて下さい。」
「ちょっとその前に質問、初期設定は終わったんだよね。」
「いいえ。回線接続が出来ませんでした。
辺境とはいえ接続可能域のはずなのですが。」
「もうひとつ、なんで女の子になってるの?」
「御使用者様の性欲処理のためです。本機を御使用になられた場合、性的興奮をなされることがありますので、本機によって処理することで犯罪の発生を未然に防ぐことが目的であります。
御安心下さい。御使用者様に合わせてハードモードになっております。」
うん、とりあえず君が羞恥プレイを得意としているのはよくわかった。
いくら性欲が売るほどあるという男子高校生でも、宇宙規模でハードというのはちょっと納得出来ない。
「ウルトラハードについてはオプションとなっております。」
地球人がそうなんだ、きっとそうだ。
「そっそ~か~ウルトラハードなのか~」
姉さん姉さん、決めつけないで下さい。
「名前って、君の呼称でいいんだよね?」
「はい、それで仮登録が終了となります。」
機体に大きく書いてあった文字、もちろん読めなかったが、最初の二文字が⊿(デルタ)とΨ(ミュー)に似ていたので。
「登録名デルタミューとする。」
「了解しました。」
これでよし。
「な~ここのこの文字Ψ(プサイ)って読むんじゃないか?」
え! あ! う!
「あ~~~~~~~~~~~っ!」
間違えたっ!!
いやあのその、寝ぼけてたからだ。うん。
「設定が終了しました。」
「あの、変更は・・・」
「できません。」
ですよね~
頭の上で精霊さんが腹を抱えて笑っていた。
波乱となる一日の平和な始まりであった。
え! まさか、そんな・・・
また女の子がふえました。
まだ続きます。




