(ふんしょ!)
またまた評価が増えていて軽くビビりました。
今の気持ちは やったね!です。
新年から忙しくなりそうですが、暇をみては書いていきたいですね。
勝海は現在、穏やかな水の流れをしている川まで来ていた。
【パクッと大佐】の姿と無駄に高い俊敏度によって木にぶつかるかのような残像を残し木々を避け、しっちゃかめっちゃかに走りたどり着いたのがこの場所だった。ここに来てからは魔装化は解いており、川に近づき膝と手をついて川のせせらぎを一心に受け癒されていた。
「おぇ…オボロロロォ……」
癒しが台無しである。
死ぬ前は空腹で、しかもこの世界に来てから何も口にしてないので出てくるのは胃酸のみであった。
口の中が酸っぱくて気持ち悪くなってしまったのて川の水で口をゆすぎスッキリさせる。
「ふう……。腹へった…」
いつまでこうしていても仕方がないと無理矢理心を入れ替え立ち上がる。
この世界が『リトルフリーダムオンライン』と同様にスキルが扱えるならば【料理】も使えるはずだと思い、アイテムボックスから調理器具を取り出す。ついでについさっき手に入れたデビルゴートウルフの肉と塩や香辛料も取り出しておく。
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デビルゴートウルフの肉
評価2
説明:デビルゴートウルフから取れる肉。山羊と狼の肉が合わさりお互いの自己主張をこれでもかと言うくらい主張し、そのハーモニーが君の舌を飽きさせない。簡単に言うとくそ不味い。
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そんな酷い評価の肉を【料理】によって香ばしく焼いていく。
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デビルゴートウルフのステーキ
評価6
製作者:ウィンシー
説明:不味いはずの肉に奇跡を起こした!まぁまぁ食える!【料理】には勝てなかったよぉ……。
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「おぉ……。さっそく頂きます」
よく焼けて香辛料が効いたいい匂いが鼻孔をくすぐり勝海の吐き気が引っ込む。そしてもぐもぐと食べ始めた。
アイテムボックス内には他にもっと美味しい食材はある。しかし勝海は生き物を食べる感謝の念が強かった。それは前世界のひきこもり時代初期、人に遭いたくないが為と畑の肥料改善の為家で飼育していた家畜の豚や兎を自分の手で殺め、食べてきた。初めは生き物を殺す感覚に忌避の念が強かったが、食べると言うことは命を頂くと言うこと。せめて、この世界で最初に奪った命を食べるという自分なりに考えたことであった。どこの農家だよというツッコミは勘弁してもらいたい。
「ご馳走様でした」
空腹を満たしたことにより勝海の心に考えるだけの余裕ができた。
「まずはひきこも……住む場所の確保かぁ。……【生きる魔装〈パクッと大佐〉】!」
再び【パクッと大佐】に変身し近くの木に寄り木を挟み込む様に地面に手を置く。
ドドドドドッドドッドドドドドドドッ!!ズズズッ
(ふんしょ!)
ボコォ!!
原理は知らないが微振動により木の根が浮き上がり、後は力一杯引っこ抜く!そしてそのまま口の中へ入れようとする。が、根が邪魔で上手く口に収まらない。仕方なく根をポリポリ食べ、ついでに枝と葉もムシャムシャする。多少虫がいたが気にしない。
丸裸となった木を今度こそ口に収める。
この工程を繰り返し行い、ある程度の広さの土地と木材を得た。元々木材は腐るほどあるが、その殆どはエルフの森からクエストで頂いた世界樹の木や冥界にはえている木等の獲得に面倒くさいものばかりであったので、勝海はこの土地柄に合った木で家を建てることにした。
(家作りは初めてだ……)
アイテムボックスから加工済みの木材を取り出し【木工】の上位派生【土木の信念】を発動し最適な大きさの家の見取り図が現れ、それに従い家を組み建てていく。
作業に集中し時間を忘れ夜がふけていった……。
「な、なんか……、感動的だぁ……」
魔装化を解いて自分の作った家を達成感溢れる気持ちで眺めて見る。
家が完成した時にはもう周囲は真っ暗になっており月明かりと灯りの為の松明が木製の家を照らしていた。
上を見上げると月が二つ。
「やっぱり……、ここは、い、異世界……なんだぁ」
今まで少しでも「ここは地球の何処か」という気持ちがあったが、この二つの月という圧倒的存在によりどこかストンと納得のいくような感覚だった。
それと同時に自分の存在を『西条 勝海』ではなく『ウィンシー』として認識し『ウィンシー』として生きていくことに決めた瞬間でもあった。
ぐ~
「腹へった…」
家の完成を祝うため少し豪華に食事を作る。
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ワギュウラビットのソテー(サラダ付)
製作者:ウィンシー
評価92
説明:最高級食材、ワギュウラビットの肉から作られたソテー。その味は脳の処理を超え、気絶してしまうほど旨い。【気絶無効】をつけてから食べよう。――――そして、伝説が、始まる―――――
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ゴクリ……
「頂きま……ぅまぁぁぁ……ぃ!!」
今まで食べた料理が露と消えてしまうかのような味わいに、口の中から光が溢れた。(デビルゴートウルフの肉なんてゴミだな…ゴミ…)おい、食の感謝はどうした。
「御馳走様でした、ぁあ……」
余韻に浸りながら家へと入り、
「あ、ベットがない」
また外に出てベットをつくり、運ぶ際ドアにつっかかるもアイテムボックスへ収納という画期的手段により無事運び込め、ようやく就寝出来たのだった……。
こうして、なんともしまらないウィンシーの1日が終了した。
ここから彼のひっきーライフが始まるのですきっと。家も建てたし。
勝海からウィンシーへとネームチェンジする話が書けて良かったです。
彼が最初よりほんの少し明るくなっているのに気づいたでしょうか?一応理由はあります。その内その事も書いていきたいですな。
では、よいお年を。