「うえたー」
こんばんわ。最近書けてなくてすみません。
皆さんの評価もうなぎ登り鯉のぼりです。
お汁粉を食べる際には気を付けましょう。餅は凶器でした。
今回はフェイさんから始まります。
でぇじょうぶだウィンシーも後半でる。
※1/13指摘された台詞を直しました。
「こんなに妖精が居るとはな…」
フェイは今、妖精が妙に沢山居る湖に来ていた。
(森全体の妖精が集まっているのだろうか……。こんな人里近い森にこれ程妖精が集まる物なのか?)
それほどに今見ている光景は異常とも言えるぐらい神秘的な光景だった。
湖の上で飛び回る、水に浮かんでだらけている、木の葉に乗りダンスを踊る。
まさにお祭り騒ぎだ。本来妖精とは、木の中や土の中に隠れて森に暮らし、たまに甘い物を求めて花の蜜を食べながら森を管理する小さな森の住民という認識だ。虫かよ、とは言わないでもらいたい。
(サディスを連れて来ても大丈夫だったかもな……)
軽く反省した後、辺りを調べるため歩き出す。すると妖精が集まって来た。
「おー、えるふー」「えるふーきたー」「おかしーくれー」「さっそくきたー」
妖精達は直ぐ様容姿の分からないフェイの正体を見破った。
森の賢者と言われ、身が細く長寿である種族。フェイは五百年以上生きたエルフだった。
長生きのエルフであることとフェイが高レベルであることは関係しているが、それが一番の理由ではない。
エルフは長寿ではあるがあまり戦闘は得意ではなく、レベルも上がりにくい。普通に暮らすエルフでは、五百年くらいではLv.200に到達できないのだ。
では何故フェイはLv.200になれたのか。
それはある探し物をする為に様々なダンジョンを駆け回ったからだ。死にそうになった事もある。だが昔にある男から教えて貰ったダンジョンの様々なノウハウにより何度も困難を乗り越えていった。
効率のいいレベルの上げ方、モンスターの特徴や弱点、ダンジョンの攻略のやり方、スキルの活用法。挙げるだけではキリがないくらい彼には色々な事を学んだ。
「此所にも無さそうだ」
いつもと様子が違う森だったので、探し物があるかもしれないと多少期待していたが結局はないようだ。
フェイはこれまでの行いで疲れが出たのか溜め息がでる。
少しだけ休もうと身体を覆うローブを脱ぎ他の着ている服も脱いでいく。今はこの妖精達の様に自由に泳ぎたい。
麗しい顔が現れ長い髪がエルフ特有の耳に掛かり少し膨らむ乳房を覆う、この事からフェイは女性であることが分かる。
周りには妖精しか居ないので、彼女は全て脱ぎ捨て湖をゆっくり泳いでいく。泳いでいると妖精達も一緒に泳いでくる。少し下手くそな泳ぎであるが、ちゃんとフェイについてこれている。……しかしよく見ると髪の毛を掴んでいた。どや顔が眩しい。
(妖精のお陰か、湖の水が綺麗で冷たく気持ちいい。最近はローブを着てばかりで暑かった……。……ん?アレは、もしや……!?)
数分泳いだだろうか、一本の木が見えた。その木は此所にあるはずのない木。
「何故こんな所に世界樹の木が……」
よく見ると周りに草が生えておらず、最近植えられた事が解る。
フェイが湖から出て木を観察していると、妖精が集まりだし次々と彼女に話かけてくる。
「それはねー、うえてもらったー」「うえたー」「うぃんしーがうえたー」「ウィンシーだとっ!?」
「「「「きゃー!?」」」」
彼女がいきなり叫んだので驚き隠れる妖精達。男性型の妖精でも女叫びである。
「す、済まない、驚かせてしまったな…。…その『うぃんしー』について教えてくれるか?」
隠れる妖精達はぽつぽつと『うぃんしー』の特徴を語り出す。
「うぃんしーはねーおかしー!」「おかしーくれたー」「きもくれたー」「つよいー」「こうねーぶんっでぼかんっなんだよー」「わるいやつをーぼんっー」「おおきさがかわるー」「ふくもかわるー」
そして、妖精達は最後にこう言うのだ。
「それでねーとってもこわがりなのー」
その言葉でフェイは確信した。自分の目標が此所にいると。
いきなりだが、彼女が探していたのは『世界を越える方法』。ダンジョンでそれらしい物はあったが天界や冥界に行くための道具であったり偽物であったりした。それでももし、その方法を見つけたとしてもまだ本当の探し物はその後からになる筈だった。
筈だったのだが。
「まさか向こうから来るとはな……」
今の彼女の顔は、歓喜と希望に満ちていた。
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フェイが全裸で泳いでいる頃、レイミーに見つかってしまったウィンシーはエルリーナの腕を掴んで固まっていた。
周りにはどのように見えるか、純白の可憐な少女の腕を無理矢理引こうとしている黒い騎士。しかも黒い靄で一層悪い奴に見える。
「おいっ!そこのお前!何をやってい「何大声を上げてるんですか!!!」えっ?!」
竜麻が怒鳴った事に遥が怒鳴る。里沙を除いた他三名は唖然と事を見守る。黒い騎士は未だ固まって動かない。目を離さず内緒話をするように小声で話し合う。
「い、いや……。あれ怪しいですし…」
「大きな声で彼に声をかけてはいけません……!」
かつてのウィンシーを知っている遥。ゲーム時代に魔法使いハルカとして彼女は彼と出会いその性格を知っていた。
「彼って…。遥さんあの怪しいの知ってるんですか……?」
「ええ、もし彼が敵に回ったらこのメンバーでは勝てないでしょう、幸い今は人数によってショックで固まったみたいです。本当なら目にも留まらないくらいの速さで逃げてしまいます」
「はぐれてしまったメタルなスライムですか……」
「ほぅ…そんな奴が俺よりつえーのか」
誰よりも強い。その事を聞いたサディスは目に戦意を浮かべる。
「はい、だから絶対に手を出さないで下さい……!」
「はっ!ヤだね!!」「なっ!?」
斧を構え黒い騎士に走りサディスは切りかかる!
ゲームの中だったら遥はサディスを止めれただろう。しかしこの世界に召喚されたのはただの少女遥。今の実力ではレベル差により無理矢理突破されてしまう。
斧が黒い騎士に近付く。彼の実力なら避けれるだろう、避けなくても彼の鎧は一級品だ、あんな斧では逆に壊されるに違いない、遥はそう考えた。
斧は抵抗なく鎧を切り裂き、黒い騎士は地面に倒れた。
「えっ?」
現実は遥の予想を裏切った。
混乱する遥に里沙が声をかける。
「ねーちゃん、逃げられたみたいだ…」
遥にしか聞こえない声でそう囁き、ウィンシーと一緒にいた少女に指をさす。
そこには少女は居らず、あるのは白い布に穴を開けて被せただけの案山子があった。御丁寧に『ハズレ』と書かれている。なんとも芸の細かい物だ。
遥はこの事に安堵すると同時に惜しい事をしたと感じた。
サディスも切り応えが予想以上に変だったのか騎士甲冑を持ち上げる。それと同時に甲冑は黒靄に変貌し跡形も無く消え去る。
「おいおい、何だこりゃぁ……。魔物だったのか今の?」
サディスが消え去る靄を見届け疑問を口に出した後、竜麻達も少女が案山子になっている事に気づいたようだ。
「一体全体何だったんだ……。教えてくれ、遥さん……」
「わかりました。あの黒い騎士はウィンシーさん。『リトルフリーダムオンライン』のプレイヤーの一人であり、ダンジョンに巣食う悪魔も海を支配する水龍も冥界に住む閻魔大王もこの世界の最高神でさえもソロで倒した人」
ウィンシーの廃次元な紹介に口の塞がらない里沙以外の一行
「そして極度に人見知りが激しい人です」
ウィンシー、ルパン○世ばりの逃亡です。
いっ、いったいいつの間に逃げ出したんだー。
気づいた人は心の中でコッソリほくそ笑んでてくださいね。
ウィンシーの明日はどっちだ!?