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異世界No.1―アテナ―6

 人間嫌いな部分が物凄く出ています。一人だと結構こんな性格です。



 頭の中で声が響いた。クラウドは私の頭の中に存在する独立思考プログラムといえる存在だ。


 なので、私が寝ていても(ロボなので頭は完全には眠らない)会話が出来るらしい。今知ったよ。


《マスター。ご無事で何よりです。白さんから色々聞きましたよ。》


(………私にはプライバシーは無いのか……)


《マスター……我ら無機物にプライバシーを主張する権利は無いのですよ。人間のようなことを……いえ、私も元の人格は人間でしたね。》



 なんとも人格のある機械には住みづらい世界か。



 ところで、何の用かとクラウドに答えると、


《この家の住人が起こしていますよ。マスター、周囲との接触に気が付かないのは危険です。感覚器官と索敵機能は切らないでください。》


(あ、あぁ、ごめん。そこまで考えている余裕がなかった……)


《私とマスターはいわば一蓮托生です。貴方が破損すれば私もただではすみません。気を付けてください。》



 クラウドの真っ当な指摘を受けつつ、意識を浮上させた。






「………起きてぇ!………おーい、もっしもーし……起きない……ねぇ…」



 起きた瞬間耳元で大声を出された。いや、今まで起きなかったのが不思議なくらい呼ばれていたのだろう。感覚を全て切っていた訳じゃないのに……どこか機能不全でも起こしたか?それとも強制シャットダウンか?



 ま、それよりも今は起きよう……いつまでも怒鳴られていたら鼓膜が割れる。



「うるさい……」


「あ!起きた……はぁ、どんだけ寝汚いのよ……」



“どんだけ寝汚いのジン”

“だってさ、布団から中々出れないだろ……なあ?”

“シュンに同意を求めない!”



「…………」


「どうしたの?」



 少し前世での出来事を思い出した。そうか、ジン(藍苺)も変わらないのか。


 懐かしさと苦しさが胸を締め付けた。けれど今は思い出に浸っている場合ではない。心配し出したお孫さんに大丈夫と答えてベットから立ち上がった。どうやら晩御飯が出来たので呼びに来たようだ。



「今日のご飯は何でしょね~♪」


「………」


 彼女が転生の様には見えない。ごく普通の少女にしか見えない。それだけ演技力が良いのだろうか?



「どうして助けた?」


「え?…そりゃもちろん、シナリオに無い……」


「ん?」


「なっ、何でもない独り言~…」



 高性能な私の耳は確かに捉えた。


 今、シナリオって言った?しかもシナリオに無いって? もしや、この世界が何を元にしているのか分かっているの?


 もしかして……ゲームとかラノベとか……うわぁ……ファンタジー的な世界だからもしやと思ってたけど……私と同じような境遇かい。



(ねえ白神よ。もしかしてさ……この世界は…)

『ファンタジーな世界は数多くある。この世界は元々ゲームに憧れた神が作り出し放置していたもの。未熟者がそれを自分色に上書きしたに過ぎん。因にお前はゲームシナリオには存在していない。』



 て、事はだ。この世界は私達の世界よりも、ゲームシナリオに忠実に動くってことで良いの?



『だな。あの世界よりもゲームのシナリオに忠実だ。言っただろう、彼女は主人公の役割を担っていると。』

(もっと分かりやすくいってほしかった。頭があんまり良くないんだよ私。もう少し噛み砕いて言ってよ。)

『それはすまん。』



 彼女は慌てて話を違う方向に持っていこうとしていたので、私が興味なさげに納得した様にすれば安心したかのように引き攣った笑顔でリビングに案内した。



 それから直ぐにリビングに着き、晩御飯が出された。どうやらメニューは薄めのシチューに件の固いパン。それと、私に気を使ってかワインらしき物が入った木製の……水差しでいいのかな?が置かれていた。


 薄めとはいえ、とても温まるような懐かしい味がした。これがお袋の味と言うものだろう。今度はパンをしっかり浸けて食べた。備蓄されたエネルギーも随分貯まったようで動きも滑らかに動けていた。


「……」


「………」

「………」


「あの……」


 お爺さんと孫がじっと私を観察していた。何だろう……ホントに。



「二人ともやめな。」

「しかし、こいつ……」

「……」

「ニーアさんに敵意はないだろう。全く、爺馬鹿になって判断能力まで鈍っちまったのかい。」


 何だか夫婦喧嘩になりそうな予感。少し居心地悪そうにしているとお婆さんが謝ってきた。


「ごめんね。この人、メリルには甘くて……。この子の未来が掛かってるもんだからつい、疑心暗鬼になっちまって……全くもう!」


「はい?」



 展開についていけない私がいた。どういうことだってばよ?



「言っても差し支えないだろ?」

「だ、駄目だろ!メリルがっ!」

「でも、お婆ちゃんが信用してもいいと言うなら……ホントに敵意はない、かも……」


「え?」



 ごめんなさい、説明求む。ついていけないよ。何が何だか……訳がわからないよ……


 三人は少し話し合いどうやら私に何かを打ち明けることにしたようだ。



「実はね……この子は前世の記憶を持っているんだよ。」


「………」



 あ、いきなりのカミングアウト……もう少し警戒しようよお婆さん。私が誰かに言いふらしでもしたらどうすんのよ?


「信じなくとも別にかまいやしないよ。けどね、この子は前世でこの世界の行く末を見ているのさ。それを奴等が知ったら……」

「だから、それを考えて俺はだなぁ…」

「あたしの予知が外れた試しがあったかい?まだ耄碌尽きてないよ。」

「お婆ちゃん……」



 お爺さんに掴み掛からんと憤慨するお婆ちゃんを諌めながら孫は私に視線を向けた。



「お婆ちゃんが言っていることは本当だけど、この世界はどこかおかしいのよ……現に貴方が存在することが……あ、ごめんなさい。えっと、傷つけようとしている訳じゃ……」


「俺の存在は異質?」



 私の問いかけに静かに頷いた。なるほどね。私が助けられたのは、主人公の周りに居なかったイレギュラーの存在を怪しんだから……。けど、どうも打算だけで動くタイプじゃないみたいだね。


「えっと……何から話そうかな……う~ん。」



 ここまで話されたら私もアンドロイドだと打ち明けようか?



(どう思う?)

『アンドロイドだと言うことは打ち明けても構わん。だが、お前も転生者であることは話すな。』

(了解……)



「実は、私も話さなければいけない事がある。」


「え?」

「「………」」



 信用してもいいと言っていたお婆さんまでもまるで睨んでいるように凝視していた。



「実は……」










 夕食も食べ終わり、話続けて数十分。




「なんだい。アンドロイドってだけかい。あぁ~疑って悪かったよ。」

「なるほどな。だからそんなに顔が整ってるのか…納得した。」


 納得顔で頷いている二人とどうも腑に落ちない様子の孫。まぁ、未だに怪しさ満載だよね。


「名前は自分で付けた。知識はデータとして記録されてたから。」


 へぇ~と言って感心していた。てか、ひとつ疑問に思う、アンドロイドって普通に納得されたけど……そんなに普及してるの?一般的なの?



「一般的って訳じゃないよ。ただ、貴族連中や豪商位は連れてるだろうね……」

「殆どが愛玩用だしな。後は労働用くらいか。」

「一時期……と言ってもかなり昔に戦争用に作られてたみたいだけど……最近はとんと聞かないね。」



 結構一般的に知られているらしい。安心していいのか今一わからないけど、一先ずは安心した。物珍しいのには変わらないだろうけど。


「それにしても、研究所から逃げてきたなんて……ん?」

「どうしたのお婆ちゃん」

「何か視えたか?」


 どうやらこのお婆さんは予知能力があるらしい。流石ファンタジーな世界。きっとある程度何でもありなんだろう。


「……まさかとは思うが……メリルや、お前が言っていた幼馴染みとニーアは会ってるかもしれないね。というよりも、確実に会ってるね。」

「え゛!?」


「幼馴染みってどんな奴?」



 孫もといメリルの証言では、幼馴染みは金髪碧眼……絵に描いた王子さまそのものらしい。最後にヘタレとも付け足した。私は納得した。


「リタって女に尻に敷かれてる奴なら俺が凍結されてた研究所に侵入してきたぞ。胡散臭かったから逃げたけど。」


「その時に川に落ちたのね。」


「そ、何年か知らないがずっと凍結されてたんだ。エネルギーも底をついていたしな。我ながら間抜けだよ。」


 説明すると、やはりあの男メリルの幼馴染みであった。主人公って柄じゃ無さそうだったけど……どちらかと言えば、主人公のライバルとかにいそうな奴。


 そう話す私にお爺さんは唐突に聞いてきた。



「ちょいと聞きたいんだが……何のシリーズだ?」

「シリーズ?」

「あぁ、シリーズね。」


「製造名の事か?」



 あぁ、と頷き聞いてきた。メリルは理解できてない。頭にハテナが咲き乱れている。


「フェアリー…」


「フェアリー!?」

「フェアリーってのは愛玩用の最高級じゃないか……何でまた凍結なんかに……」



 それは私が異例のスペックで作られた戦闘用アンドロイドだからではないか?


 あーでもないこーでもないと私を置いてけぼりにして話し合う三人にお茶を飲みながら呆れていた。


 何にって、私を信用しすぎていることに…だよ。詐欺にあったりしないだろうか心配になるレベルだよこの人たち。


《マスター、警告! 索敵範囲に何者かが侵入しました。数はおよそ6人程……》

(………ここら辺に監視カメラは無いからクラウドに見てもらうこともできないか……だからといって白神に頼りきるのも……他力本願過ぎて……)

『紅蓮。こういう時は何でも利用しろ。これは私が無理に頼んだことだ。手を貸すのは当たり前だ。本人が言っているんだ、利用しろ。』


 ごもっともなのか分からないが一応頷いておいた。


 白神の報告によると、接近している団体さんは武装してはいるが、私達に敵意ある者ではなく、むしろ好意的な連中らしい。


『彼らはメリルの両親とその仲間達だからな。』

(……最初にいってほしかった。)

《全くです。》


 クラウドと一緒に愚痴をたれる。道理で白神が呑気にしてると思った。なるほどねぇ……危険なんて無かったわけか。


(なら、別に三人に言わなくてもいいか。)

『そうだな。優秀すぎる索敵能力をここで暴露ぜすとも良いだろう。』

《それでは私は索敵を続けます。》



 尚も話続けている三人の呑気ぶりに呆れながらも見守った。ここだけ平和だ。



「にしても、ニーアはまだ一歳にも満たないんだね。」

「教えることは多そうだな。」

「知識に偏りがあるみたいだしねぇ。これから苦労しないように教えないと。」


 等と私には有りがたいことを話していた。データも随分と古いのか間違っているところもあるようだ。私の記録では今から50年前の日付で止まっていた。凍結されていたので、勿論更新はされてない。古いデータを更新するいい機会だ。







 程なくして10人程の団体さんがこの家に訪れた。メリルは声を聞くと飛び出してった。出迎えにでも言ったのだろう。私は動くことなくその場に留まった。知らない人間が居たら不振に思うだろう。メリル達に説明を任せた。



 それに、人間らしい事をすれば不振に思うかもしれない。



「事情は聞いたよ。メリルが拾ってきたんだって?」


「こんばんは?



 一番に私が残ったリビングに入ってきたのは一見チャラそうな色男……私はそうは思わないけど、世間一般で言われているだろう。彼は私の挨拶を無視して近づいてきた。


 チャラそうな外見とは裏腹にものすごい剣幕で睨まれた……なるほどな、大人気ないやら……嫉妬か。


「どちら様で?」


「………お前がメリルが拾った男か……ホントに男か?」


 こいつは話を聞かないのか?それとも耳は付いているが機能してないのか? 私も維持になっていたのは否めないが、こいつも大概失礼だと思う。


「おい、どうにか言えよ。」


「……どうにか」


「……っ(怒)」


 怒っているのが手に取るようにわかる。少々お馬鹿な事をしているとメリルやお婆さん達がゾロゾロと入ってきた。


「その子はまだ一歳にも満たないんだ。多少の事は多目に見てやんな。」

「苛めないでよラルフ!」

「苛めてねぇよ!」

「苛めてたじゃない!」


「痴話喧嘩?」


「幼馴染みだからね。夫婦漫才とも言うよ」

「「言わない!」」


「ね?」


「うん。夫婦漫才だね。」



 なんだリア充か。何だかんだとリア充なのかメリルよ。ま、本人がよければ良いけどさ。藍苺に会えない私からしたら……末長く生きて孫に囲まれて老衰でちね………ハァ……。



 二人が言い争いと言う名のじゃれ合いをしていると、中年期に差し掛かった辺りの夫婦?が現れた。多分メリルの父親と母親だろう。とてもよく似ている。


 メリルは母親似のようだ。美形の分類に入るが威圧感の無い美形だ。所謂なごみ系の顔立ちだね。


 この二人も人が良さそうだ……大丈夫かのこ一家……。



「いやいや、ラルフがとんだ迷惑をかけたな。話は婆さんから聞いてる。メリルの拾い癖も遂にここまで到達したか!ハッハッハッ!」

「お父さん!そんなことみんなの前で言わなくてもいいじゃない!」


「まあまあメリルちゃん、その辺にしといてやんなよ~。」

「そうだよ。女将さんからハヤブサが届いた時、大層な血相で今すぐ帰るって言ってターゲットを五分で仕留めたんだから……」

「そうそう。お陰さまでアタシらの出番は無かったよ。ま、その分怪我もないけどさ!」


「またか。」

「お前が変なの拾ってくるからだろ。たっく。」


「とかなんとか言って、誰かさんもかなり慌ててたけどねぇ~。」


 ほうほう。なるほどねぇ…。心配だったわけだ、ラルフは。メリルがそんなに好きかそうさそうか。お幸せに……けっ!



「不機嫌な理由はメリルが心配だったのか……心配するな、機械だから色恋沙汰は専門外だ。」


「だっ!違っ………もういいっ!!」


「違ったのか?」


「別に、嫌いな訳じゃない……さ」

「……恩人の娘だもの、兄弟みたいなもんでしょ? それに、私よりボンキュンボンな女性が好みっていってたもんねぇ~」


「………馬鹿。墓穴掘ってるぞ。」


「お前には言われたくない!」


 機械でも分かるのだよ。いくら鈍くても中味は人間だからね……人の色恋沙汰は蜜の味……らしい。


 でもホントにお馬鹿さん。そんなことで維持張ってると……どこぞの馬の骨に取られるぞ。


「もうその辺にしとけ。さて、自己紹介がまだたったな。俺はここら一帯を活動拠点にしている傭兵だ。主な仕事はモンスターの退治だな。で、こっちの美人は俺のかみさん。手ぇ出すなよ。この後ろに屯ってるのが仲間だ。おい!挨拶しなぁ!」


 やっぱり彼はメリルの父親らしい。モンスターを狩る傭兵だとか。人が良さそうに見えて結構豪快な人のようだ。悪いことが出来ないような人なのかもしれない。にぃーっと笑いながら仲間に掛け合った。



「ハイ!一番。俺はワッツ! ハンマーが武器だ。メンバーの中で三番目に力持ちだ!ヨロシクな?」


 その名前にハンマー……物忘れが激しくないといいのだが……。彼は赤みの強い茶髪にブラウンの目でニコニコ笑顔で自己紹介をした。一番に名乗り出る辺り、お調子者でムードメーカー的な存在なのだろうか?もしかすると猪突猛進かも。年の頃は二十歳後半あたり。


「二番……ルーベンス。得意なのは魔術……」


 静かに告げたのはメンバーの中でも細い彼だった。その名前からどうしても赤いイメージが強い私だが、彼は茶色に茶髪に近い金髪にハシバミ色の目だった。得意な属性は炎だろうか……


「えっと…四番手~。アタシはマキナ。ヨロシクな優男。」


 豪快に笑いながら自己紹介をした彼女は一番日本人に近いアジア系の顔立ちと長めの黒髪と焦げ茶色の目だった。親近感がわく。けれど、優男と呼ばれるのはちょっと嫌かも……


 得物は槍のようで狭いリビングの端に立て掛けてあった。ご丁寧にもそれを取りに行って「アタシの得物はこれね♪」と言っていた。戦闘狂かもしれない。


「………ふん!…俺はラルフ。」


 テメェの事は認めてねぇよと言いたげな……現に目はそう言っている気がする。メリルが好きな転生者じゃない方の幼馴染み。腰に携えているのは重そうな両刃の剣だろう。これを扱うなら相当な腕力が有るのだろう。


「そして私がメリルの母です♪ 得意なのは支援魔術。それから、なにかしら?」


 天然記念物並に天然が入ってそうなメリルの母は名乗らずただ、メリルの母とだけ答えた……そう言えば父親の方も名乗ってなかった。


 まあ、あちらにもあちらなりの考えが有るのだろう。私に口出しする権利はない。


「それにしても……お義母さんの占いは当たるのかしら?」


「何言ってんだい。あんたら二人の出会いも私が予知して出会ったんだろうが。まだ腕は落ちちゃいないよ。」

「そうだったのお母さん……」

「俺との出会いもそうだって言ってなかったか?」


 お婆さんは凄腕の予言者なのだそうだ。昔は美人で気立てが良い器量良しだったそうで、モテにモテたらしい。お爺さんに惚れたら……狙いを定めて仕留めた……と言っていた。


 女傑なんですね分かります。


「おいおいお袋……話が長いぞ。ほれ、坊主が遠い目で黄昏そうだぞ。」

「お義母さんが高名な予言者だってことはわかりましたから……」


「話しが長いよなぁ……年寄りって……」



「結論は?」


「そりゃ…もちろん。」


「「「大歓迎!」」」

「だそうだよ。」


「ふん!」


「………何が目的? 面倒事にも限度があるだろ。背負うにしても、今回の事は……大きすぎる。背負ったが最後、押し潰されるぞ。良いのか?」


 いくら白神が近くで見守れと言っていても実際に被害を被るのはこいつらだ。それなりの覚悟をしてもらいたい。後からどうの言われるのは嫌だ……。



「だったら今すぐにでも出ていけよ。」


「そうだな。腹も膨れたし、一宿一飯の恩は返したかったが……それもそうだ。お世話になりました。じゃ。」



 椅子から立ち上がり玄関に向かおうとする。すると傭兵達が動き出口を塞ごうとする。


「退いてくれるか? 勿論この事は他言無用だ。こっちとしても秘密は守るよ。こちらの身が危なくなるからな。退いてくれるか。」


 威圧感を込め言い放つ。悪いけど、後宮に居たときに送り込まれてきた刺客の方が怖かったよ。あっちは命を取りに来るからね、コイツらと錬度も場数も違う。威圧はしても威圧されることはない。その程度の殺気に呑まれる程純粋でもなくなったのだ私は。



 命を守るためなら……殺すことも躊躇しない。









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