異世界No.2―ノクターナル―31
まずは長らく更新が止まっていたことをお詫びいたします。悩まされていた頭痛も折り合いがつき、再開したいとおもいます。
何時ものごとく生暖かい目で見てもらえると助かります。
広く草が青く茂る草原を颯爽と駆け抜ける一頭の黒馬に跨がる黒猫(ホントは黒豹)は見事な手綱裁きで暴れ馬を操っている。
―――――そう、王宮お抱えの吟遊詩人に吟われちゃったノワールです。こんにちは。
上記の通りただ今ネロのストレス発散の為にとある貴族の保養地にお邪魔してます。
それは私がnot王位継承権、not王族の仲間入りを掲げて「私は無害ですよー」と聞かせ騒ぐ貴族達を宥めようとしていた。
が、ここで問題発生。
ネロにちょっかいを出した王子を皆さん覚えておいでだろうか?
彼奴がまたやらかしました。はい、まぁまたネロさんに近付きまして、家に帰れないネロさんの非常に低い沸点が爆発致しました。もう、好物のリンゴをちらつかせても治まらないレベルに。
日頃から凄い運動量のネロにとって一日中馬屋でじっとしているのはかなりのストレスになるらしくだからと言って凶暴な馬を放牧するのは反対だと言われ仕方なく(暴れたのは本人?も自覚している)大人しくしていたネロにとって泣きっ面に蜂、寝耳に水?
とまぁ、堪忍袋の緒が切れたのです。
ちょっかい出した王子はその切っ掛けに過ぎないが、引き金を引いたのは紛れもなく彼だ。自業自得。あれだけ怖い思いをした前回の反省は見られない。
我が儘王子かと思ったが周囲の反応はそうではなく、ただたんに「ああ、好奇心旺盛な王子の悪い癖」と認識されているようだ。
そして怒り治まらないネロに危機感を抱いた王妃様の提案で(だってあのままにしているともっと悪化するでしょby王妃)身元の確りした貴族の保養地にお邪魔することになったのだった。
「風が気持ちいいね」
「ぶるるっ」
私の声に答えるように嘶くネロは満足そうに地面を踏みしめ翔ぶように軽やかに走る。ネロは本当に乗る側としてはとても乗りやすい。乗り手の負担が少ないのだ。普段走る分は分からないが私が乗るときは負担を掛けないように配慮してくれているのかもしれない。
おっと、ネロに近づいた王子はどうなったかって?
お付きの人が羽交い締めにして引き剥がしました。二度の失態に謹慎処分を告げられて自室で大人しくしているだろう。好奇心旺盛な王子の事だ、部屋でじっとしている事は何よりも辛いことだろう。十分に反省してもらいたい。
それにしても尻尾を膨らませて怖がっていたのにまたやらかすとは、学習能力というものが無いのだろうか?それとも好奇心に負けたか。ま、どっちでもいいや。
どちらにしろ、何もなかったにしろ、いつかはこうしてネロを存分に走らせる必要があったのだからもうあの王子の事はどうでもいいな。
因みにその王子は第八王子であり、私より3歳歳上の立派な成人だ。この国でも成人は二十歳だ。もう少し慎重さを身につけて欲しい。
色んな事に遭遇して首を突っ込む私が言えた義理ではないが。
一走りしてネロから降りると後は自由に走らせる。時折止まっては此方を見るが気にするなと目配せしながら私はのんびりと草原に仰向けになりながら青空を眺める。やっと出来た自由を今の内に満喫しなくては。
多分ではあるが、また何かに巻き込まれる気がしてならない。
出来ることならニーア時代の時のような最後はごめん被る。あの時は無機物だったので痛覚がなかったし、ただブラックアウトしただけに終わったが、今回は生身なので揺るやらな死に様希望だ。痛いのはいつでも嫌なものだ。
大きなネロが小さく見えるほど遠くまで走れる程広大な牧草地に居るとこれまでのバタバタな出来事が嘘のように思えてくる。
「ノワールさん、もしかしてまだ怒ってらっしゃる?」
そう不安げに話し掛けてきたのは兄弟子だ。名前を覚える気はない。当て付けとか無しにしても私にとっては兄弟子だ。それ以外あり得ない。特に貴族に復帰?したのなら尚更名前なんて呼ばない。何故か私も知らんが呼ばない。いつまでも兄弟子のままだ。
「どっちがいい?」
「怒ってない方がそりゃ良いよ。」
私が何に対して怒っているか? 実は兄弟子は自分の国から私に取り入って自国の利益になるようにしてこいと言われていたらしく、私が放棄したことでパーになってしまったらしい。残念でしたね。
遠くでネロさんとおバカの叫び声が聴こえたが、私は何も聴こえない。聴こえないったら聴こえないのだ。(∩゜д゜)
私の耳が他よりも聴こえるが聴こえないのだぁ。
「――――まぁね、国だって君が協力してくれるなんて余り予想してなかったよ。全く協力してもらえないなんて思わなかったけど・・・ねぇノワールさん、何か叫び声が聞こえるんだけど?」
「ん?俺には何も聴こえない」
「あ、はい」
いっそのこと王位継承権破棄と王族の諸々の問題が片付くまでの間ここに居ても良いかなぁ?王族の仲間入りしないから顔見せとかで夜会とかにも参加する必要もないし。暇だからと言って何かするにも目をつけられたら面倒そうだし?
それじゃなくても毒を盛られても効果なかったことで興味持たれてるし。
あ、私は常時腹ペコの子供時代に色んな物を手当たり次第食べたから(クラウドや白神との繋がりが切れていた時代)いつの間にか毒耐性が付いてました。悪食にも程があるよね。でもお腹空いてたんだもの。腹ペコには勝てなかった。胃が強かった事もあって今でも元気です。(その所為か分からないが背が低いけどな)
王族の食事に毒が盛られてるってやっぱり怖いな王家のいざこざ。
だから私は極力何もしないのが早く帰るための――――
「たすけてぇぇぇ!!」
「ヒヒィィィン!!」
―――――はぁ、助けますか。
こうしてやっぱり平穏は訪れないのだった。
ネロよ、もう少し穏便におバカさんに対処してくれないだろうか?
あ、無理ですねそうですね。
自分でも何処まで書いていたか思い出すのに時間がかかりました。




