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異世界No.2―ノクターナル―22

 これにて連日投稿は終了します。

 山賊狩りの次の日の朝。私の眠りを妨害する騒音が眠っていた私の耳と少し痛い頭に響いた。

 頭が痛くなるなんて・・・ノワールになって以来一度もなかった気がする。空腹から来る腹痛は親友並みに付き合いが長いが、元来丈夫な体で不調をきたした事もなかった。久々の頭痛に吐き気もしてきた。そう言えば紅蓮コウレンの時も毒騒動以外では頭痛もなかった気がする。ニーア時の時はアンドロイドなので論外。余談だが男性型がアンドロイド、女性型はガノイドと区別されるらしいです。確か。



 おっと頭痛と騒音で起こされたイライラで明後日の方向に思考が飛んでいた。(それを現実逃避と人は言う)



 ドアを忙しなく叩く音に何事か怒鳴る野太い男の声。騒音被害で訴えても良いと思うレベルだ。朝っぱらから煩いったらない。


 開けたくないが無視できないので渋々開ける事に。店も開けないといけないし。勿論もうすぐ起きる時間でしたよ?けどね、自力で起きるのと騒がしさにイライラしながら起こされるのとでは気持ちのモチベーションが違うよね。これで難癖つけてきた輩ならキレるかもしれないけど、親方の手前ギルド連中には迷惑はもうかけたくないしなぁ。


 そしてドアを開けると


「本当にこの国に堂々と住み着く害獣が居るとはな」


「・・・・・」



 出会い頭にこの一言を放ったのは如何にも偉そうなおっさん。貴族の様な出で立ちだが、胡散臭さ(愛嬌もひょうきんもない)満載なおっさんは腕組みしながら私を見下しこう続けた。



「名工ガンツ氏の弟子と狂言を吐いてギルドを騙し店を出すとは。罪状は牢に入れてから聞こう・・・おい!この獣を連れていけ!」


「お言葉ですが、」


「黙れ獣が。人間と同じ空気を吸うのも気分を害するに値すると言うに、人の言葉を話すとは。おい!この害獣の口を閉じさせろ目障りだ」



 そう言うが早いか後ろに居たおっさんの護衛らしき目付きの悪い悪漢(だって見た目ホントに悪漢なんですもん)が棍棒を私目掛けて降り下ろされた。勿論魔物相手にしてる私には気絶出来るほどの威力はなかった。猪の突進をもろに受けた時の方が痛かった。アレは死んだ方がマシってレベルだね。

 が、動けなくなるには充分な威力はあった。痛いの嫌いだもん。

 まぁ、貴族さまに勝手に発言したのは悪いとは思うさ、けどさ、会って先ず害獣扱いするってのはどうなのさ。

 そう言えば人間と獣人は仲悪かったね。と言うか人間は他の種族とは仲が良い方が稀だった。民はそうでもない人たちが多いけどね。特に田舎はさ。都会は結構風当たりが強い。これが国の方針なのだろうか。


 ま、どうでも良いや。この腐った国の事なんて。



 そして朝御飯も食べる暇もなく私はギルドの牢屋に囚われたのだった。腹へったなぁ。





 そもそも何でギルドの牢屋に入れられたのだろうか。そして誰の思惑で牢屋に入れられたのだろうか。何となく思い当たる気もするが。

 それより、朝御飯無いのかな?刑務所だって三度の飯は出てくるってのに。おっと、そんなことを考えていたら顔馴染みのギルド員が牢屋の通路を歩いてきた。あ、このギルド員さんはこの間の隣の文句オヤジの対処をしてくれた人である。何だか顔色が悪いがどこか悪いのだろうか?あ、中間管理職特有の胃痛持ちだろうか?お疲れさまです。



「どうもギルド員さん」


「何明るく挨拶してるんですか!少しは慌ててくださいよ」



 と、のことです。いえね、お腹空いて暴れる力も気力も出てこないんですよこれが。

 そう言うとギルド員は肩を落としながら手に持っていたバスケットを差し出してきた。実は高性能な私の鼻が「食べ物を感知!」と訴えかけて来たので期待してました。

 バスケットの中身はパサパサのパンに甘辛く炒めたキャベツと薄い豚肉を炒めた具を挟んだ簡単なサンドイッチ?が多目に入っていた。とても美味しい気がする。空腹は最高の調味料である。



「モグモグ」


「文句の1つでも言わないんですか?」


「文句を言って何か解決しますか?」


「・・・・無理ですね今は」



 でしょうね。


 でもこのままで居ようとは思いませんよ。何よりお腹すきますし。



「手が無い訳ではないんですよ」


「モグモグ・・・ほうほう」


「・・・この話、乗りますか?」



 そうですねぇ、話しにもよりますかねぇ。





 そして私は牢屋から出たのであった。




 続くよ。






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