異世界No.2―ノクターナル―21
多分まだ続く連日投稿
さてさて、愉しい愉しい山賊狩りだよ皆さん。ま、楽しくはないんだけど、懐事情に関しては楽しいかな?
「先ずは見張りを速やかかつ、バレないように仕留めないと…」
「ここは弓ですか?」
「でも弓で仕損じると……」
「確実に仕留めないと助けを呼ばれますね」
「それに生かして捕まえたいし……賞金アップのために」
「「………」」
「まあ一理ありますね」
そうそう。お金は大事だよ。
賞金アップのために私たちは殺さずに捕まえたいと思っている。殺しはできる限り……最終手段だ。
生温い?お人好し?
したくないんだからいいでしょ?
「あ、閃いた…」
「隊長なにか秘策が?」
「隊長?」
「パニーニ……お前顔に似合わずノリがいいよな」
「………話ていいか?」
「どうぞどうぞ」
パニーニさんのノリがいいことも分かったのでさっさと山賊の見張りをどうにかしよう。
さて、どうしようか? 某ステルスゲームの様に背後に回って不意打ち……いや、ダメだな。壁を背にしているから……
となると……アレだね
「おもむろに弓を取り出したけどノワールさん?殺っちゃうの?」
「え?生け捕りじゃ…え?」
「ちょ、諦めんなよ!?」
失敬な。諦めた訳じゃないからね。それとこの会話は(と言うか最初から)小声でヒソヒソと話しています。
パニーニさんの言う通り私は背負っていた弓て手に取り矢を番える……狙いは……
「(あの茂みの中に隠れている岩!)」
動かない的何て簡単に当てられる様にはなった。アレにも当てられなかったら……そもそも弓なんて戦闘で使えないよね。
見張りの山賊は岩に矢が当たる音に誘き出され明かりのない草の茂みへ……あ、忘れてたけど今夜です。奇襲の基本は夜って親方言ってた。
ま、それはさておき。
誘き出された見張りの山賊はパニ兄弟にボッコボコ……にされて伸びてます。縄で縛ってその辺の見えない場所に放置しておく。声もでないように布で縛っておくのも忘れずに。
「成る程……音で誘きだして倒す…」
「脳筋のパニーノには思いもつきませんよね~」
「(二人とも脳筋だと思うけど)」
「ホラホラ、早く隠れ家に入るぞ」
「「はーい」」
「(どんどん兄さん達のキャラが壊れてく…)」
二人のキャラが壊れていくのは置いといて、何をしたかと言うとですね……わかる人は察しがついていると思うが、岩に当てた矢の音で……って話してるんだからわかるか。
やっててよかったステルスゲーム……あとオープンワールドなRPG……あれは隠密無双出来たからね。
現実では再現できそうもないけど……でも魔法でどうにかできそうな気もする。
「以外に頭いいんだ…」
「ナニカ?」
「イ、イエナンデモゴザイマセントモ…」
「一言多いんだよ君は」
「うんうん」
そしてボスである山賊長の膝に矢を放つ。アレだ、洒落じゃなく本当に膝に矢なんて受けたら立っていることもままならない。戦闘なんてまともにできるわけない。ってのが兄弟子の受け売りでした。
兄弟子、貴方の教えてくれた数々の戦闘知識は役に立ってます。
「膝に矢・・・」
「なんて残酷な」
「うわぁー・・・」
膝に矢を受ければ今も闘えないが、今後の戦士生命も絶たれたようなもの。特に只の人である山賊長なら再起不能かもしれない。でもさ、因果応報ってやつなんだ。賞金が懸かってるしね。
それにしても“只”の漢字ってとあるゲームで見たアイテムに見えるよね・・・・ほら、仕掛けると人を感知して爆発するアレ。 うん、関係なかった。
山賊長含め山賊全員を縄で縛って転がして隠れ家のガサ入れ・・・いえいえ、物色・・・うん、国でも認められているんだよ?山賊とか賊のアジトにある物は私物化しても良いって。勿論、賊だからって人権を侵害するような行為は認められていません。人身売買とかもっての他。それと虐待もダメですから。ほら、認めたら冒険者が犯罪者になっちゃいますしね。
人間って禁止されてないも何でそんなことするかなぁーな事も平気でやる人も出てきますからね。何処の薄い本だよって話ですね。
「・・・・・・(怒)」
って、何ですか山賊長。血だらけの痣だらけにならなかっただけマシでしょ?
ん?( -_・)??
捕まったら処刑されるかもしれない?死にたくない?
うん、そうかもね。でもさ、
あんた等それだけ人殺してきたんでしょ? え?ひもじい生活で仕方なく山賊してました?へぇ、で?だから何よ。
世の中そんな餓死しかかってる人は何万人も居るって。ま、こんなこと言っても仕方ないし残酷だけどさ・・・
「自分のしたことに責任は付き物だよね」
「うっ、耳が痛い・・」
山賊達を助ける事もないのでさっさとギルド員に引き渡し依頼金を受け取り家に帰る。その間パニールの何か言いたげな目線を背中に感じたが無視した。この世の中優しさだけで生きてはいけない。それも兄弟子の受け売り。だからこそ兄弟子や親方達は私を甘やかしてくれた。感謝してます。
が、心底お人好しでもないのでここは割りきた、ということにしている。そう、私だって気持ちの良いものではない。生かして捕まえたのだって私が自分の手を汚したくなかったからだ。相手を傷つける時点でもう手は汚しているようなものか。
そして何時もより味の感じない晩御飯を食べて従業員の三人が家に帰るのを見送り明日の朝も早いので早々に眠りに着いたのだった。
そして物語が動き出すのは次の日の朝早くのことだった。
私の運命や如何に




