異世界No.1―アテナ―4
気が付けば逆お気に入り件数が……15件に!!
ヒヤッホー!?!
人気の先人さま達には遠く及びませんが何だか嬉しいですね♪
温めの玄米茶をずず~っと飲んで一言。
「面倒事は何処に行ってもあるもんだな。お前限定で。」
「私だって遠慮したいよ。」
猫舌の嫁さんの湯呑みにお代わりの熱々なお茶を注ぐ。それをクッキーに夢中になってた嫁さんは気付かず……
「アッチィ!!!(゜ロ゜;」
「ズズ~……そお?」
「お前は熱耐性ついてんだろ……俺は所謂倍加がついてんだよ、熱の!!」
「単なる猫舌でしょ。ほら、氷でも出して舌でも冷やしたら?」
「それ、下手したら舌にくっ付くだろ氷が。」
「ほら、倍加が熱なら氷は無効じゃないの?」
「あ、そうか……って!んなわきゃないだろ!?」
「はいはい。話の続きね~。」
嫁さんは怒りで握った拳がわなわなしていた。殴っても良いけど、おやつ無しになるよ。それでもいいの?
「くっ!卑怯な……」
「ま、茶番はこの辺にして話続けるよ。」
「ん?茶番はもういいのか?」
「飽きた。」
「確かに…」
茶番にも飽きたので話の続きね。
「何か音が聞こえる?」
「もしかして外が近いのかな……」
「そうかもね。もしくは……敵とか?」
小麦畑で音がするなんて、収穫してるか敵が巡回してるかのどちらかじゃない?
(クラウド……どうなの?何か見える?)
《音の発生源は不明……しかし、この音の正体は恐らくは……トラックのような大きな物でしょう。》
『そこは私が教えよう。』
(いつになく頼もしいな白神。)
『いつもは頼りないと言いたいのか……まぁ…否定はしないが。さて、音の正体だが、どうやらトラットが止まっている様だ。それと……何やら掘削している。身なりからして軍……と言いたいが、民間人に毛が生えた程の練度の様だ。詰まりは……」
素人と言ってもいいと。成る程……だからこんなにも音が反響してここまで聞こえてくるのか……でも何で掘削何かしてるんだ?
考えたくないが……この施設に侵入でもしようってのかな?無謀だろ。どれ程掘る気だよ。施設に着くに前に穴が崩れて埋まるだろうに……。
「何かを削ってる……のか?」
「ちょっと!冗談じゃなくエレベーターがヤバイんじゃないの!?」
「下手何かしたら……吊ってるワイヤーが切れて……墜ちるね。死ぬわな。」
私は死なない程頑丈なら良いのだけど…。
コイツらは……助けられないな。ま、切れなきゃ言い訳なんだけど。
《上で行われている掘削でワイヤーが切れる確率……20%…。ワイヤーが劣化しているなら後30%上がります。》
(そっかぁ……出来れば聞きたくなかったなぁ。聞いちゃったから仕方無いけどさぁ。)
『自棄になるな。希望はあるだろ。』
希望ねぇ……。希望は悪魔の名前だろ。パンドラの箱に最後に残っていた悪魔の……。ま、私のバックには悪魔じゃなくて本物の神様?が付いているんだけどね。でも神ってのはいざという時は助けてくれないものだからさぁ……夢なんか見ないよ。
『荒んでいるな……』
《マスターは神を信じていないのですか?》
(居るのは白神で証明されたからね。信じていないわけじゃないよ……けど、所詮は他人だからね。助けてもらおうなんて端から思ってないのさ。)
信じるよりも、信じない方が楽だし……信用するには時間がかかる。特に私は人の何倍も掛けないと信用出来ない。弱虫なんだよ……私。
時折…キッン…と音をたて始めたエレベーターに侵入者二人は蒼白になっていった。まぁ、表示盤の数字が5階を指している辺りから不安そうにはしていたけど……ここから落ちれば潰れたトマトよりも酷い有り様になるのは必須。どうにも出来ないのだから腹ぁ括ってどっりし構えてなよ。
はっきり言って、逃げるためのエネルギーを確保するために色々な機能を停止させるのに忙しいから構ってる暇がない。
そうそう、説明していなかったね。今の私のエネルギーは底を尽きそうなかなりヤバめの状態だ。冗談じゃなく……。
そこで私は無い頭を使って考えた。スマホのアプリで節電のなかったっけ?あれで確か……使っていないアプリを停止させていた……ハズ。よく覚えていない。細かいことは忘れてしまったが、要は節電すればかき集めたエネルギーで逃げられるんじゃないかと思い付いたのだ。そこ、セコいとか言うな。こっちは必死だ。
「何か音が大きくなって……」
「老朽化してないよねこのエレベーター」
「さあ? 使うのは初めてだからなんとも……」
「何よ!役に立たない奴ね!!もう少し気の利いた事が言えないの!?」
「リタやめなよ」
「生憎と噛みついてくる奴に親切にするほど心が広くないからなぁ。……さて、もう着くぞ。」
《マスターの言う通り、着きました、一階……非常口、小麦畑前です。因みに……まだドアを開かないようにしています。マスターの合図で開きますからご自分のタイミングで行ってください。》
『さぁ正念場だ。紅蓮、気を引き閉めて行けよ。』
言われなくとも。
「ついたんだよね……一階……」
「と、扉が……開かない?」
(おお、テンパってるねぇ…。)
横目に侵入者を見て逃げる算段をつける。さて、テンパってる今が頃合いかな。
「開けてみようか?」
「出来るならさっさとしなさいよ!!」
「落ち、落ち着いて……」
「アンタそれしか言わないじゃないのよ!」
「はいはい、開けるから退いててね。危ないよ。」
開けるにしても、外の状態が分からない…。クラウドに頼んで外の映像をリアルタイムで中継してもらった。
するとそこには……
(うあぁぁぁ……。開けたくない。一気に開けたくなくなったぁ。)
外には筋骨隆々の暑苦しい男どもがうじゃうじゃ……私ってそういう男が大嫌いなんだよね……男は基本嫌いなんだけど。ジン以外。父さんは男としてみてないから論外。
(白神……目眩ましでも仕掛けてよ。見たくない。)
『よし!任せろ!私もあぁ言う暑苦しいのは好かんのだ。』
《とても個人的な事ですね。私も否定しませんけど。》
クラウドまで言い始めたよ。言っちゃ悪いけど、分かるの?
《私は実在した人間の人格を基に作られました。ですのでそういう感情もあります。》
そうなんだぁ。
と、話がずれずれだ。戻そう。
(で、白神が目眩まししてくれるんでしょ?)
『あぁ。お前には見えるような特殊なものをな。だから全力で逃げろ。』
(出来ればエネルギー源もどうにかしてほしいくらいだよ。)
《そうですね。マスターに残されたエネルギーは極僅かです。考えて行動してください。ガス欠で動けなくなったらアウトです。》
心の中で二人に頷いた。そして意識をエレベーターの扉に集中してロックを解除した。まるで私がこじ開けたかの様に見せて。
「あ、開いたぁ……」
「良かった……っ!!!」
気を抜いた二人を無視して扉から飛び出した。出ればマッチョどもが暑苦しくも扉の前を囲んでいた。本当に暑苦しい……
「ん!?」
「何だ!」
「隊長!美人が飛び出してきました!」
「よし、確保!!」
「叔父さん!?」
「ちょっ!やっぱり逃げたの!!待ちなさいよ!!?」
およそ1個小隊……なのだろうか。15程のマッチョが確保とか、何とかほざいていた。侵入者の男の方が隊長と知り合いらしい。叔父さん……こいつも将来あぁなるのか?
侵入者の男が叔父さんと呼び隊長と見られる髭マッチョに駆け寄ろうとしていた。私はというと……
「さらわないでくれない?」
「痛っ!!」
「てめぇ何しやがる!」
「喰っちまうぞゴラァ!?」
「初対面で触られたら嫌でしょ。違うの?見た目怖いし~」
「俺達の何処が恐いんだよ!」
「そう言うところが嫌われんゃないの?」
そら見ろ。侵入者の女だってそう言ってるよ。
それじゃそろそろ逃げますかね。
(白神、準備は?)
『出来てるぞ。今だ!!』
光が辺りを包む。だが不思議なことに眩しくなく、私にはちゃんと辺りが見えていた。本当にこんなことが出来たのか……神ってスゴいね。今さらだけど。
「ギャェェ…」
「目が目がァァァ……」
「世界の終わりだァァァ…」
「おかぁちゃぁぁーん!!」
「ちょっと!何の!?!」
「わ、分からない。危ないから動かないで!」
「ちっ!てめぇら!不審者を確保しろ!」
「無理です!見えません!!」
混乱する奴らを足音をたてず退散する。所々腕を掴んでこようと躍起になっているマッチョを他のマッチョにぶつけたり……まぁ、楽に切り抜けた。
時折「どこ触ってやがる!」とか怒号が聞こえたけど知らんな。
そんなわけで、難なくマッチョどもから逃げたのだった。
が、しかしだ。現実ってのは上手く行かないもんで……
「げっ!」
農業用の深めの用水路に落ちてしまったのだった。単に私がドジっただけなんだけど。更に運の悪いことに……そこでエネルギーが切れた。
桃太郎の桃よろしく、川を流れる私であった。
ホントに私ってばついてないねぇ~。はぁ。
紅蓮さん男が嫌いです。子供はそうでもないのですが…。
川にダイブしましたが、どうなることやら……