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異世界No.2―ノクターナル―11

 森に行ってバカな人に会って散々だったノワールです。


 今日は昨日の今日なので警戒して兄弟子も私も接客からは外されました。ま、鍛治の腕が上がるから別に裏方でもいっこうに構わない……私人嫌いに成りそう。



「しかし……」


「どうかしましたか親方?」


「?」



 今日は鍛治と言うより裁縫だと思う皮製の鎧を作ってる最中です。でも手縫いだから大変。皮自体硬いのに鎧に加工する為に更に強度を増したからミシンでも縫えない程硬い……ミシンも無いのだけどね。ミシンだって工業用のやつじゃないと針折れるし……



 繋ぎの糸も頑丈な素材で使う針も何倍も太い……こんなの勢いよく刺さったら大惨事だわ。この針も結構高いんだよね……どんな素材でも突き刺す程……もしかするとこの工房にある道具が下手な高価な武器よりも攻撃力高いよね?


 怪我しないように細心の注意をしないと……下手したら手首スッパリ……おお恐いっ!




「あの変人懲りねぇーな」


「あぁ、あの人ですね……」


「昨日のあの後ジジババの家に来たよ」


「「はあっ!?」」


「?」


「ノワールさん?何ですぐに言わないの!」


「ああ言った輩はな、断っても何言っても聞かねぇもんなんだよ……放っとくとつけ上がる…」



 うん。ばーばは塩蒔いてたけどね。勿体なかった……塩だって安くないのに……蒔くなら親方が売ってるまきびし蒔けばいいよ。ね?



「塩勿体なかった……」


「そっち!?食べ物の心配!?( ; ゜Д゜)」


「食べ物は大事だ」


「……いつも腹空かしてたもんな…」


「あぅ……ノワール……苦労してたもんなぁ…」



 方向が明後日の方向に行ったので良しとする。でも、今は前ほどお腹は空いてない……が、食べる量は増している……お金を貯めても本気出して食べたら直ぐに底をつくだろうね……燃費よくならないかなぁ…ハァ……。



「あの変人……次来たら鉄槌で絞めるか?」


「親方……」


「親方、ノワールだってそんな場面見たくないですって…ねry」


「殺るならもっと確実な方法で。且つ屈辱的な方法で……」


「の、ノワールさん?」


「おう、例えばどんなだ?」


「親方!?」


 ノリが意外に良かった親方であった。




「ま、次来て居座るって言うなら簀巻きで蓑虫……で良いとしてなぁ……お前もそろそろ16歳だろ。ほれ、道具一式だ。大切に使えよ」





 私は鍛冶道具一式を手に入れた!



 皮で頑丈に作られた鞄の中にはハンマーに火箸

簡易式の炉――魔力で熱を放出させるタイプ。小さいので1から武具は作れそうにないが修理くらいなら出来そう――に、堅いのに軽い――ある程度は重い――金床に材料の各種インゴットと他、細々としたものがびっしりと入っていた。


 それなのに重さは不思議と気にならない。これも何かしらの魔法か何かか…。生憎と私は魔法適正と言うものが無かったのでわからない。



 こういう時白神達が居ないと不便だ。





「腕の良い鍛冶師は何処でも歓迎される……もしも村から出たくなったら言えよ。紹介状書いてやる」


「鍛冶職人は独自のコミニティを持ってるから他の村や街の鍛冶屋に行って色々聞くと良いよ。何か助けてくれるかもしれないから。特に有名人の親方の紹介状があると何かと便利だし……」




 何かと有名人な親方……と言う言葉に何処か引っ掛かりを感じたが、もしもの時は頼もう……後で貰っておくのも手だな。


 あの自称勇者(変人)が町に迷惑をかけ始めたら町から出よう。兄弟子も目をつけられているが、二人よりも一人の方が何かと目立たないし、彼方も楽なんじゃないか?ほら、子守りの護衛二人とその婚約者達……彼等も大変だよね。



 仲間になる気は更々無いけどさ。






 

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