今後の要望
サブタイトル、紅蓮の我が儘
今後の要望……いや、私の件はまだ始まったばかりだが、彼女の転生は無事に終わったのだ。
ま、彼女にとってもまだ始まりなんだけどね。
『さて、無事に送り出せてよかった……あとは部下達が監視するだろう』
「私の監視は何で白神オンリーなの?」
『私の名代として各世界に派遣している身だからだ』
「つまりは派遣社員ですか…」
『まぁ、そんなところか』
「………」
《どうかしましたか?マスター》
まぁ、何て言うか……最初の世界では予め元々魂のない身体に入れたから良いんだけど、もしもそんな都合よく身体が見付からなかったら……と思ってさ。だって、場合によっては他人の身体を乗っとることになるかもしれないんだよ。白神が『自我の宿る身体には入れたりしない』とは言っていたけれど、自我が無ければ死体にでも入れるかもしれない……ってことにも繋がりそうで怖い。更に、自我崩壊した身体にも入れられたくはないよ。
多分だけど、身体にも記憶ってのは多少残っているもので、もしもそんな身体に入ったとしたら……その身体の元の持ち主の記憶に引っ張られてこっちの自我とか壊れるかもしれないんだ……恐いでしょ?
それに、すでに人間関係とか出来てるわけで……かなりややこしいことにもなりそうで嫌だ。
「―――ってな訳で、約束してほしいわけだ」
『なんだそんなことか。無論、そんなことはしない。―――うむ、そうだな。今回は手間をかけさせたし、何個か要望を聞こう。出来る範囲でなら実現しよう。ただし、世界のバランスを崩す様なものはダメだぞ』
「勿論そんなことには興味ないから心配しないで。こちとら中二じゃないし」
《チュウニ?……マスター達の言葉は時々分かりません》
「中二ってのは一旦こじらせると黒歴史に残るんだよ……五年後ぐらいに枕に顔を埋めて悶えるんだ。そんな病気」
《それは……それほどに痛むのですか…恐ろしい》
「うん、痛むんじゃなくて……まぁいいか。」
『果てしなく勘違いしてるが?』
「良いの良いの……で、話戻すけど……―――」
私の出した条件は―――
1,私の了承なしに自我の有る器(身体)には憑依させない。しかし、例外として私が事情を知った上で尚且つ、了承した場合は良しとする。
2,私の了承なしに自我の宿っていた器(死体など)には憑依させない。しかし例外(以下略)
3,私の憑依対象・転生対象は天涯孤独であること。――私が任務を全うするためには人としては幸せにはなれないから――尚更、例外は親戚・兄弟は可。
4,私に対して異性――または同性――は友情・信頼以外での親しい感情は全く無くすること。また、私自身にもそんな気は起きない様に呪いをかける。例外は家族愛のみ。――嫁さん以外愛することは器用ではないので恋愛は無理。
5,全ての力――権力・その世界の神等――の力は無効。例、術による魅了政略結婚・権力による圧力・理不尽な神による世界への介入など。例外、私が承知して従った場合とステータスUPの補助的な力。パワハラ、セクハラにも発揮。
6,記憶の保護。何かに紅蓮の記憶やニーアの記憶の大部分を管理すること。――忘れたくない記憶を上書きされたら帰ったときに苦労するから―主に嫁さんと家族関係と異世界で覚えた料理のレシピ――
7,能力の管理。各異世界で培った能力やスキルを保存して何時でも使えるようにする。――脳内通信とか、魔力を代償に物を作り出す(カカオ豆や珍しい香辛料…など食べ物が主)など。――
8,クラウドには新しく身体を与えること。――短い間だたけどよくしてくれたお礼になれば……――
―――以上。白神によれば、後から増やしても構わないそうだ。太っ腹だ。身体細いのに…勿論服越しではちゃんとはわからないけど、腹は出てないぞ。
そんな事もあって私はまた別の世界へと旅立ったのだった……激しく不安しかないが、まぁ、帰るためには仕方ないな……はぁ……
色々と条件を付けた紅蓮ですが今後特例とか異例処置とかあることでしょう。紅蓮さんそんなことは承知済です。
ですが恋愛関連では妥協する気はありません。一途って言うよりも頑固なんです。




