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異世界No.1―アテナ―13

 注意!


 これは妄想で書いています。真に受けないでください。それから血流表現が多少あります。注意してください。m(__)m

 魔法を放とうとした。どんな敵かも分からずに。


 今思えばそれがどんなに無謀だったか……。自分でも反省している。ちょっと天狗になっていた。




 光に包まれたかと思うと、私は意識を飛ばしていた……なんて王道……だ。




        *********






『ねえ、母さん。父さんの単身赴任?ってのは今日まで何でしょう?』

『そうだよ。』

『だから迎えに行くんだよね?』

『そう。そして明日は遊園地でも行こうか。』

『やったぁ!!』



 私は――いや、前世の私、ベルは――車を運転しながら息子のシュンと話していた。ちょうどジンの単身赴任が今日で終わり、明日は休日なので迎えに行く次いでに遊園地にでも行こうとジンと相談していたのだ。本当はジンを休ませたい。けれども、本人たってのお願いなので久し振りに家族で何処かに遊びに行くことになった。



 何年ぶりだろう…。確か二年ぶりだった。シュンが6歳の時に水族館に家族三人で行ったのが最後だったはず。



 私とは色々出掛けもしたが、ジンの仕事の忙しさからあまり遠出出来ない所為でこの子には寂しい思いをさせていた。だからこの子以上に私やジンはこの休日にワクワクしている。特にジンは。言い出したのは私だけど。全く、子供な心は抜けないんだから。私も人の事は言えないけどね。結構子煩悩で面倒見も良いから……さぞや職場ではおモテになっているだろう。顔も良いしね……何で私と結婚したんだ?謎だ……




『父さん元気にしてるかな?』

『昨日も画面越しに会ったでしょ?』

『画面と実物は違うって爺ちゃん言ってたよ。「この頃の若い者はハイテク何ぞに頼りおって……キチンと自分の目で見んと分からんモンもあるんじゃぞ!」って言ってたよ』



 お義父さんは未だに携帯が使えない。お義母さんのサポート無しに使いこなせず孫に良いところを見せれなくてちょっとヘソを曲げているのだ。何でも「ワシが見たい時に限って母さんが居らん…」らしい。


 このご時世携帯が使えないと苦労する。もう少し分かりやすい機種が出ることを祈ろう。私の母も使い方に苦戦しているし。私も使っていない機能がわんさかある。



 私の学生時代は携帯がスマホに取って代わった時代だった。今では元々在った携帯をガラケー(確かガラパゴスからきているとか聞いた(独自の進化と言う意味で))と言ってもう殆んど見なくなってしまった。タッチパネルは基本機能、付いてて当たり前。しかも、ここ数年程で飛躍的に進化した。中でも凄いのは軽さ。色々機能を詰め込めば重くなる。けれど科学の進歩でそれをクリアしてしまったのだ。


 恐ろしい、科学の進歩。



 そんな進歩したスマホは今では薄さを保持しながらも(余りに薄すぎると使い辛く壊れやすいため)画面の幅を従来のガラケーの幅にまで狭めた。それでどうやって操作するか?


 画面が浮かび上がるんだよ。透明なタッチパネルが物理的に。



 科学には詳しくないけど、一昔前のSFの映画であった浮かび上がる透明なタッチパネルって見たことない?何もないところに浮かぶアレ。何とアレを再現してしまったのだ。科学ってスゲー……



 ま、そんな訳で、スマホは小さくても大画面――設定すればテレビ並に――で相手と電話出来るのだ! そんな機能は昔からあったけど、昔ほどタイムラグが無く、どんなに離れていてもまるで窓を挟んで居るように遠くの人と話が出来るのだ。



 ジンも単身赴任中、仕事が終わってから何度も電話を掛けてきてシュンと一日の出来事を話していた。



 ま、お義父さんの言い分も分かるけどね。いくら科学の進歩でそばに居るかのように話せても、直に会って話すのとでは全く違う。


 科学の進歩は弊害も生む。科学の進歩で画面にあたかも自分が映って居るように映像に細工(全くの別人に成り済まし等)して人を騙すネット詐欺が横行している。


 ま、見極める術がない訳じゃないけどね。背景と表情の不自然を見つけられれば……ね。細工された映像は無表情に近いから……。



 あんなにコロコロ変わる表情を見せるジンは細工なんて出来ようもない。


 それに、我が家のパソコンには最新鋭のアンチウイルスソフトウェア?を搭載している。そんな事をしようモノなら一発でバレる。ミケの会社御用達の会社が作った代物らしい。ミケ、何れだけ顔が広いのだ?



“そうそう、ミケはゲーム会社を立ち上げたんだっけか……あのゲームを作ったチームそのままに”



「そう言えば、この間のバレンタインのチョコ……誰からの贈り物?」

「お向かいの小さい子」

「あら、じゃぁ……ホワイトデーは奮発する?手作りのお菓子でも作ろうか?」

「………何でそんなに楽しそうなの?」

「だって……我が子が可愛い子からバレンタインにチョコを貰うなんて……鼻高々!……あ、でも、二股とかはダメだからね。そんな事したら母さん家から追い出すから」

「しないよ!そんな事。それにさ……俺まだ8歳なんどけど……気が早すぎ」

「今時の子はマセてるからねぇ……母さんが学生の時なんて……いや、私は恋愛に無頓着だったから例外か……」




 子供の頃なんて教室では無視されて男子はおろか女子ともマトモに話したこともなかった。所謂ボッチだ。ま、母さんが正式に離婚して転校してからも少し続いたんだよねボッチ。何せ何を話せば良いか予想も出来なかったから……


 ミケが後から転校してきて話し掛けられたのが出会いだったね……思えばミケが話し掛けてきてからだね、マトモに人と話をし始めたのは。



 ま、それでも友達付き合いは下手でそんなに親しくない人には自分から話しかけはしなかったけど。




 そう言えばミケのやつ、新しいゲームを作るとか言って、何だっけか……仮想空間であたかも自分が体験しているようなゲームを作るって自慢げに話してたなぁ……あれってどうなったのかな? 




『―――でさ、俺のこと黒王子って言うんだ……恥ずかしくて……同級生の奴らの前で言うもんだから……』



 おっと、考え事に夢中になりすぎた。運転に集中しないと。それと、シュンの話も聞かないと……話振ったの自分だもの……聞いてないじゃ悪いでしょ。



『黒王子……ねぇ……アレじゃないの? 好きな人を王子に例えた……とか。女の子はそんなもんじゃないの?』

『ないの?って、母さんも女でしょ。』

『ああ~……母さん今のところ女心がわからない。てへ?』

『それ古いよ』

『私は古い人間ですよシュン君。何せ三十路ですからね~』



 他愛ない話をしながら高速に乗る。昔に比べると何とスムーズなことか。昔なんてイチイチ料金所でお金払ってたぞ。途中からETCが出てきたけど、それでも全ての車がETCじゃなかった。


 今ではETCを付けないと高速を走れない。てか、オプションで車に付いてるのが当たり前だ。ガソリンで動く車も今では見掛けない。規制が厳しくなって今では走れないからだ。展示品なら結構見かけるけど。


 今では車は全て電気自動。一時期バイオ燃料も出回ったけどコストやら、何やら色々と問題があったのか消えていった。原料とか色々と問題があったのだろう。




 そう言えば……キャラに声をあてたあの

ゲームの続編話には度肝を抜いたよ。続編と初代をダブルパックで売り出すとか……その手は一作目で好売上を叩き出した作品だけが成功する売り方だぞ!


 しかも、「フルボイス!全部サブストーリーまでフルボイス!!」っとのたまい、私やジンに再アフレコを要求して来た。確り録られましたよ……声が枯れた……あんなに叫ぶなんてね。



『ねえ、母さん……』



 ハンドルを握る手に汗が滲んだ。何故なのかは分からない……けれど、心の奥底で「そこに近付くな」「近付いてはいけない」と危険信号が出ている。何なんだ?



『(胸騒ぎが止まない……引き返すか? でも、高速に乗ったら……何処かのパーキングエリアで止まるか?)』



 ふと、気が付くと周りの音が聞こえない……。それに比例してか頭に響いた声が大きくなる。「行くな、行くな…」「止まれ…止まれ…」と。


 空耳だ。幽霊ではない。幽霊ならもう少し分かりやすい。もしかして朝寝惚けて柱に頭をぶつけた後遺症が今ごろになって………ヤバイな。事故を起こしかねない。直ぐに車を道の端に止めて……



『―――さん?母さん?どうかしたの?』

『(口が……動かない……体が……言うことを聞かない!!)』



 不安がるシュンに声を掛けたくとも体の自由が利かない。どうしよう……本当にこのままでは……事故を……起こしてしまう!!




 何かに操られたか、悪霊に取り憑かれた時のように体の自由が効かない。例えるなら金縛りだ。幸い目は動く……それに勝手に腕がハンドルを操作している様で……不気味だが目だけで何か打開策を見付けないと……



 ……あぁ、本当に、私はついてないな……ジンやミケに出会ってマトモな人生を送れると思っていたのに……せめてこの子だけでも……シュンだけでも助かる道を探さないと!! お願いします……シュンだけは……ジン……助けて………―――――




『母さん、ま、前の車が……反対側の道路からこっちに向かってっ!!』

『(分かってる……分かってる!……けど、腕が…動かないっ……)』



 体を低くして身を隠せとシュンに言いたい。けれど喉が出すのはヒュー…という息だけ。そしてまた、周りの音が聞こえなくなった。



 そして、これは………走馬灯だろうか。周りの景色がスローモーションで流れていく……


 前から突っ込んでくる車は大型のトラックだ。あぁ、……運転手の顔が見える。恐怖に引きっている……もしかして……私と同じように何かに操られたの?


 あ、私の車に乗っている家族がトラックに巻き込まれる……ダメ!……幸せそうな家族を壊さないでっ!! あっ……あぁ………あの家族……お向かいの……あぁ、………



 もうだめ……もうダメなの? すぐそこまでトラックが迫って……ジン………ご免なさい……我が儘で……シュンを………危険に……ご免なさいっ………




“そう、助けたかった……シュンを……でも、ちっぽけな私には何も出来なかった………”





 もうダメかと思った時、体が動かせることに気がついた。気がついたらシュンを庇う形をとっていた。せめて……少しだけでも助かる可能性があるのなら!!




 意識はそこで一旦途絶えた……



 目を覚ますと平日で交通量の少なかった普通の高速道路は火の海になっていた。しかし、私達の車の近くは幸いにも火の手は回っていなかった。


『……シュン?………シュンっ……』



 横転している車の中はメチャクチャで、何かは分からないが……背中に激痛が走る……何かが背中に刺さっている……それでも……助手席に乗っていたシュンに手を伸ばす……



『シュン………っ……』



 シュンは、気を失っているのか、それとも……



 考えたくない最悪の状況を想像して涙が零れる……泣いている場合か?泣くなら後でも出来るだろ……今は……今だけは、シュンのそばにいたい。無事なのか確かめたい……けれど怖い。



『ぅ………』



 か細く小さな声が……確かに聞こえた……。神様なんて信じてないけど、声を確認した時は神様に感謝したくなった。



『…………』

『シュン、今、そっちに…行くから……ね』

『………』



 シュンは頭を強く打ったらしい。シートベルトで支えられ宙吊りになっている頭から……血が滴り落ちていた……。お願い、無事でいて



 あの衝突からどれ程経っているのか分からないが、これだけの大事故だ。救急車や消防車がもう駆け付けていることだろう……。まだ昼間だ……もうすぐ来るからね……だから、もう少し………



『シュン……っ!』



 背中の痛みが激しさを増した。それに血が流れた所為で体温が低下している……今の季節は真冬。雪は無いけれどそれなりに寒い……このままでは子供の、それも怪我をして血が出ているシュンは助からない。………痛みを我慢して助手席に移動しよう…。移動してシュンのシートベルトを外して外に出よう。



 ガソリンで走る車はガソリンに引火して危ないが、この電気自動車は果たしてどうだろう……?


 まさか放電しないだろうな?普通ならそんな事もないだろうけど、今は普通の状態ではない。色んな事が浮かんでは消えていく……不安を煽りに煽って。



 悩んでいても仕方無い。このまま逆さになっていればシュンも危ない。私の……多分命は残りわずか。不思議だ。自分の命より、子供の命を当たり前の様に優先するなんて……私って、多少は親らしい事が出来たんだな。



 そうと決まれば有言実行。自分のシートベルトを手探りで何とか外した。外した瞬間頭から落ちたが、何とか首はガード出来た。しかし、背中の痛みは増かだ。


 シートベルトを外し動きが取りやすくなったが……横転している車の中はメチャクチャに物が散乱している。用意に助手席には移動できない。



 仕方無く自分の方―――運転席側のドアを開けようと試みる。が、



『うっ!……あ、開かない……ちっ!明けっ!』



 ドアが歪んだのか故障の類いかドアは開かない。諦めるものか!そう思い私は座席の脇を手探りであるものを探した……あ、あった。



『………ジン、人生って色々だね……まさかこれが役に立つ日が………来るなんてっ!!』



 見付けたものは五寸釘よりも少し太めの――何だろう?ま、釘でいいか――と 金づち。前にテレビで「九死に一生特番」なるもので特殊なガラスを壊す方法で、車のガラスを壊す物をやっていた。それに出てきたのが先の尖った鋼鉄と金づち。


 特殊に加工したガラスは衝撃に強い。割れてもバラバラにはならず、乗っている人間に降り注ぐことはない。けれど、こういう場合は仇になる。


 テレビではその手の事故で万が一閉じ込められた場合の事をやっていた。本当に出来るかなんて分からないが、何もせずに黙って子供が死ぬのを見ているよりも、何か何でもいいからやっていた方が……良いでしょ?



 先の尖った太い釘をガラスに当て、金づちを力一杯ぶつける……ジン、こんな狭い場所はこんなこと出来ないよ。普通は……出来れば……ガラスカッターが欲しがった。



 それでも痛みに耐えながらも何度も打ち付ける。一ヶ所ではなく、何ヵ所か。もうテレビでやっていたことなんて忘れかけている。どうすればよかった?



 我武者羅にガラスを破壊していたが、端っこを重点的に叩いていたのが功を奏したのかベコベコになりながらもしつこく窓枠に張り付いていたガラスが全体的に剥がれ落ちた……疲れた。背中の痛みが麻痺してきた。そしてとても寒い………血で濡れて背中から温度がどんどん奪われていくのがわかる。


 息も上がっていた。それでも何とか這いずりながらも車からの脱出には成功する。後は助手席に乗っているシュンを助け出さないと……何のためにここまで頑張ったのだ。


 貧血でふらつきながらも反対側の助手席にのドアまで辿り着く。私が乗っていた運転手側のドアよりは歪んではなく、何とか開けることが出来た。けれど、


『シュン!……いま、そこから出してやるからね……』



 窓から出るときにかなり力を使った所為か腕が重く感じる……。もう少しなんだ、もう少し。


 寒さに体が震え始めた。それを無視して座席の横を調べてシートベルトを外す。大丈夫。まだシュンは息をしている。大丈夫。大丈夫………



『か…ぁ……さん……』

『大丈夫だからね……寒い?』



 シートベルトから外して小さくても今の私には十分重いシュンの体を何とか支え首を強打しないように車から引きずり出す。そして後部座席に置いてあった荷物の中から衣類を取りだし目一杯シュンに被せた。頭にはバスタオルを巻き、少しでも出血を抑えようとした。


 私は申し訳程度にカーディガンを肩に掛けシュンを抱き締めた。本当はこんな寒い道路に居るのは得策じゃ無いけれど、横転している車はとてもじゃないけど中に居れない。炎上している車の側なら暖かいだろう…けれど、車の中には………とてもじゃ無いけれどシュンには見せられない。私も見たくない……。



 車のぜる音以外何も聞こえない……救急車はまだ? 市街地も近いのに……どうして来ない?


 痛みも寒さも分からなくなり始めた……震えが止まらない。ダメかもしれない……本当に、運がない。


 シュンはあれから動かない。言葉も話さなくなった。けれど、呼吸はしている。



 お願いだから!……早く、助けて!!!











 火の海と化した高速から一転して暗闇に包まれた。今まで感じていた寒さから来る震えと虚脱感、そして爆ぜる音と何かの焦げた匂い……全てが無くなっていた。すべては過去の事………もうあれから……8年は経っているのか……







「……ン……レ………レン!」

「あ、え?何?」


 しまった。記憶と知識の書片手に物思いに耽っていた。語るのをすっかり忘れていた。藍苺ランメイにはボンヤリ何しているんだよ、と思われたことだろう。私も精神的にはオバサンだ。過去を回想するほど老けたのだ。昔を懐かしむのは年を取った証拠だと誰が言っていたな……。


「もしかして……疲れてるのか?仕事辛いか?」


 藍苺が言う仕事とはこの雑貨屋の事ではなく、もうひとつの国からのパシリの方だ。どうもこの頃やけに騒動が巻き起こる……お陰様で私の睡眠時間はホラーならSAN値ゼロで発狂するほどガリガリと削られている。ま、多少寝なくとも平気ではあるのだけど……ここ一週間ほどマトモに寝ていないのだからそろそろ疲れも来るだろう。



「疲れたなら休めよ? 何のために俺がいるんだよ。頼れ、な?」

「ふふっ……はいはい。そうだね」

「怪しい気配に術をかました……ってところ辺りからボーッとし始めたから心配になったぞ。もう止めるか?」

「ここまで話したらな最後まで話すよ。店番ももう少しだし」






 私は回想していた事故の話は端折った。もう忘れてもいい頃だと思うからだ。シュン本人も

気にするなと言っていたのだ。


 ……いつか…話そうと思う。シュンの事、あの子の転生先の事も……。



 その時の藍苺の反応を思い浮かべながら話の続きを再開した……



「悪夢を嫌と言うほど見せられた私に男とも女ともつかない不気味な声が私に話しかけてきたんだ……」


 端折りはしたが悪夢という単語に何か思うことがあったのか聞いては来なかった。多分察しがついたのだろう。悪夢が事故の事だということに。





 



“そう、結局助けは来なかった。死んだ後に来たのかもしれないが、意識のあるうちには誰も来なかった。私もシュンも死んだ。”


【オマエサエイナケレバ……ダレモ……シナナカッタ……】


“かもしれないね。でも、シュンも生まれなかった”


【ヒトガウマレルノハヒツゼン……オマエガイナクトモ……ウマレテイタ……オマエハヒトヲフコウニスル……ソレガキサマノツミ…】



“何が言いたいの?”



 闇の中で突如聞こえた声は不気味で、聞き覚えのない声だった。




【…………オマエハ…ウマレテハ…イケナイソンザイ……】


“ハッ……勝手な。どうせあんたが神様なんだろ?勝手なこと抜かすな”


【………ナゼダ……ナゼココロガオレナイ……】



 心が何で折れないかって? 愚問だよ。



“人っていうのは見たくもない過去を見たくらいじゃ、心は折れない。人はそれほど弱くない”


【………】



 それに、私はそこまで可愛気のある性格ではない。図太いのだ。こんな異世界をさ迷う事に同意したのだ……今更……怖いだの、苦しいだの言っても仕方無い。


“それにしても、よくもまぁ……自分で開けられない鍵を開けてくれたね。そこには感謝するよ。ずっと、喉に支えていた物が取れた気分だ……”


【ソノワリニハ……イカリヲアラワニシテイルヨウダガ?】


“あたり前だ。鍵を開けてくれたのは感謝してるけど……勝手に見られるのはいい気分じゃない”



【……】



“さて、さっさとこの精神攻撃を止めたらどうだ? さもなくば……お前が痛手を負う”



【…………!?】




 さっきまでの暗闇にヒビが入った。そのヒビからは光が漏れている。ここは卵の殻の中の様になっていたのだろうか?



『よもや、こんな所で油を売っているとはな……』


【な、なぜここに……】



 今までの不気味な声は鳴りを潜め、普通の……神的には普通の声で話始めた。どうした。



『待たせたな』



 暗闇にと思っていた物はやはり殻のような物で、その声と共に光輝く姿の白神が仁王立ちしていた。腕組みして。



(はぁ、もう少し早めに来てよ。ま、私としては前世の記憶を一つ取り戻せたから良いけどさ)

『…そうか』



 光輝く姿の白神は本当に神に見えた。


『まだ安心するのは早いぞ。未だに精神世界の中だ。油断するな』

(まだなのか……さっさと出してくれない?親方とネロ待たせてるんだから……)

『あぁ……それなら安心しろ。私がリモートコントロールでお前を操り村まで送っておいた。』

(あ、そうなの?ありがとう。手間が省けた……って、そんなに長い時間寝てたのか…)



 意外な事実とネロたちの無事を知ってひと安心。さて、さっさとこの神様らしきモノをどうにかして帰らないと……ね♪








 悪夢というなのトラウマでした。迎えに行くと言ったのはベルさんでした。遊園地に行こうと提案したのはジンさんです。この理由が二人の心に強く残っています。例え記憶がなくても……



 そして、二人の前世は日本ですが私達の時代よりも未来ということになっています。そして少し違います。色んな物やアニメや歴史が無かったりあったり……。


 ま、雲猫’の妄想でございます。




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