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異世界No.1―アテナ―11

 厄介な幼馴染みこと厄介さんとエンカウントしそうになること約12回ほど……何れだけエンカウントしたいんだよ厄介さん。


 クラウドの指示でエンカウント回避はバッチリだった。が、疲れた……精神的に疲れた……


 クラウドが居なければ即エンカウントしてたよ……このエンカウント率は主人公補整と言うやつか……厄介だ…厄介この上無い。



『お前も主人公だろう……』

《この話では主人公ですね》

(はいはい…メタ発言は控えようねぇ…)



 お陰で連れ回してしまったよ……アレだけ歩いたのにメリルは疲れていないようだ……流石主人公。彼女にも主人公補整がついているのか……



『だからお前も主人公補整がついているだろ…』

《厄介事が寄ってきますからねぇ……》

(そんな主人公補整要らねぇよ。だからメタ発言……もういいや)



『(-""-;)』

「ごめんなネロ。もう剥ぎ取り屋に直行して迷子を置いてくるからな」


「わ、私は荷物扱いですか!?」


『フンッ……( ̄^ ̄)』

「そんなもんだな」


「肯定された!!」



 みんな丸っと厄介事は荷物以外の何者でもねぇよ。多分ネロが喋れたら言ってたかもしれない。そんな顔だった。馬って結構表情豊かだね。


 そして若干落ち込んでいるメリルに「ま、気にすんな、事実だし」と言って更に落ち込ませたのは……ハハハ……私も本心だ。



「あら?また来たのニーアちゃん」


「その顔と頭の色でちゃん付けするな。殺気以外沸かねぇぞ」


「きゃ~、ニーアちゃん機嫌悪~い。あら?親方のお嬢ちゃんじゃないのよ。もう、お父さんとヘタレッぽい男の子が探してたわよ?」


「え?お父さん達が探してたの?」


「そりゃもう血眼になって………」


「ここにいた方がいいだろ。あ、店の奥に置いといてやってくれ。ストーカーに追っかけられてんだその娘。」


「(ストーカー……アイツノコトカ……)」


「あら、そうなの? 世の中には変態が居るからねぇ……いいわよ、お嬢ちゃん。うちの娘も居るから奥で待ってて。ストーカーが来たら私が捻り潰してあげるから♪」


 文字通り捻り潰す事だろう。外見と言葉使いはこんなだが腕がたつのだこの親父。


 厄介さんをストーカーと言うことにして、奴の特徴「キラキラの主人公みたいな奴(笑)」と教えておいた。メリルも納得していた。大体あってるだろ。


 そういえば、外見の説明は一切してなかったかも。よし、ここで改めて説明しようかな。



 先ずは私。私の外見は……黒いサラサラストレートの長髪に暗めの紫の目。顔立ちは女顔の中性的。身長は180㎝だ(ヒャッホー♪念願の長身)日頃着ている服は勿論男物だよ。前世が女でも女装なんてしないからね。あ、顔立ちは紅蓮コウレンをそのまま大人にした感じ。父さんの色違いだね。


 次はメリル。肩より少し長めの黒髪にブラウンの目をした日本人よりの童顔。15には見えない。よくて13辺りに見える。身長は145ほど(クラウドの見立てでは)。派手ではない落ち着いた緑のエプロンドレス?を着ている。もしかしたらフリルが着いたワンピースかも。落ち着きが有るけど、やっぱり何処かおっちょこちょいな所があるみたい。


 メリルの親である親方はブラウンの髪と目に大きなガタイ。母親は細身の黒目黒髪。どっちに似たのかな?




 厄介な幼馴染みは金髪碧眼の王子様かって外見。もうお前が主人公だよ。私に降りかかる厄介なフラグはみんなお前が受けてくれよ切実に……。これぞ主人公だよ。もうそれだけで説明つくよ。


 オマケに他も説明しようかな。


 食堂「熊の手」女主人はブラウンの長めの髪を密編みにして垂らし、目は髪よりも暗めのブラウン。顔立ちは気の強そうな美人。身長は高めの170に届くくらい。年齢は不明。腕っぷしも強い。名前は不明(私が知らないだけ)


 この街に蔓延る(笑)不良?の元締めトレントは中肉中背のちょっとヘタレ気味な外見。よく見ればイケメンの部類かな?暗めの金髪に緑の目をしている。年は……二十代前後かな。


 ああ、剥ぎ取り屋のオヤジは省く。説明は不要だ。



 あ、ヘタレ狼忘れてた。ラルフだっけか? アイツは……ショートカットの腕白坊主を地でいきそうなヤツ。赤毛に見えるブラウンの髪に金目。ヘタレの匂いがプンプン匂ってきそうなヘタレ。以上。


 ん?イケメンか? イケメンなんじゃない。ヘタレだからそれも打ち消されてるけど。




「あの!ニーアさんありがとうございました。」


「恩を返しただけだ。(それに、エンカウントさせないために連れ回してしたからプラマイ0でしょ)」



 さっさと奥に引っ込むように言いメリルが店の奥に隠れたのを確認して店を出た。さて、買い物をしてさっさと帰ろう。もうこの街には当分来れないだろうし……ヤツがいる限りは。


 必要な品を買って私はネロと家路に着いたのだった。



 あ~~、疲れた…








 日にちは替わり二日後。





「貴様の実力は所詮はその程度か」


「初心者に何れだけ高望みしてるんだよ……」


 高慢ちきなエルフが何故か訪ねてきた。どちらかと言えば訪問よりも襲撃に近い。



「フン……だが、筋は悪くない。」


「誉めたいのか貶したいのかどっちなんだよ」


「貶されたいのか?」


「お断りする。」


 もしも謂れのない誹謗中傷ならドワーフの親方から貰ったハンマー(鍛冶用)で滅多打ちにしてやんよ。


 で、何をしているかと言えば……



「人様のおやつタイムに乱入してくるとは……ガメツイな」


「フンッ……アップルパイはジャスティス!」


「あんたただの大喰らいのバカだろ……」



 我が家のおやつをタカりに来たのだ。ワザワザ山奥の集落から……おやつのためなら人里に降りるような奴だ。街よりも近い私の家は格好の餌食だ。


 この前なんて冷ましていたミートパイをコイツにクスネられて泣きを見た。ま、エルフの族長に直談判して元手は取り返したけど。


 ん?そのエルフ自体に何もしなかったのか?


 そりゃ勿論泥棒には容赦なんて要らないよ。死なない程度に木刀で凝らしめました。私の物を盗んだのが運の尽きだな。



「またボロボロのぼろ雑巾に成りたいか?」


「今日は等価交換だ!これを見ろ!」



 食いしん坊のエルフは背負ってきたのだろう大きな袋に手を入れて何やら取り出そうとしている。何だろうか……時に、その袋はサンタよろしく背負ってきたのか?いや、コイツには泥棒の袋がお似合いか。



『また来たのかコイツ……』

《懲りませんね……今日で20回目ですよ。全く懲りてませんね。マスター、私は簀巻きにして吊るしておくことを提案します。》

(あぁ……前にやったら族長に「それだけは勘弁してやってくれ、これ以上頭がイカれたらヤバイ」って懇願されたから自重する


 その時のエルフ族長は真っ青で哀れだった。族長に免じてそれだけはしない。色々優遇してもらってるし? フフフ……只では起きんよ私は。


 代償としてエルフの作る矢を格安にしてもらっている。他にも優遇してもらってる。


 この食いしん坊はエルフの中でも浮いた存在らしくて……族長達もお手上げ状態なんだってさ。詰まりは私は丁度よく使われているものなんだが……ま、破格な優遇でいいかなと、諦めている。



 どんなに凝らしめてもこのエルフの食いしん坊男はGのごときしぶとさで来るのだから。あきらめた。




「この魔力を込めて織った透明になれるマント……」


「それ貰った。もう持ってるぞ。」


「………ならば、これ。優れた伸縮性と強度、背中にも背負えて腰にも掛けられ何本も収納できる矢筒!」


「この前矢を無限に収納出来るようにして貰ったばかりだ」


「………ならば、……刃こぼれしにくいこのミスリル銀のナイフは……」


「……もう持ってる」


「………」


 えぇ、なんで持ってんだよ……と言っている目で此方を見てくる。仕方ないだろ、みんなお前がやらかした代償で貰ったもんばかりだもん……詰まりはお前の所為だよ。



「何故だ、何故なんだ!」


「それだけお前が俺に迷惑かけてんだよ」



 チッ、抜かったわ……と言いながらもアップルパイに手を伸ばそうとする。ここまで来ると凄いな食い意地の悪さ……



 誰がやるか。と奴の手を叩きながら阻止する。恨めしそうな目で見るな。もう既に3切れほど食べただろ。いつまで食べる気だ。



「ウ~ム……仕方ない、とっておきのこれはどうだ!あだっ!!」


 奴のとっておきを出した時点で頭を叩いた。拳でないだけマシだと思え。手加減はした。



「お前なぁ……それはエルフの宝だろ。持ち出すな。元の場所に戻してこい!」


「しかし、これくらいしかもう無いぞ?」


「良いからさっさと戻してこいッ!!」



 なんと奴はエルフの宝、聖弓を持ち出してきたのだ。これほどにバカだとは……あぁだから族長も匙を投げてたのか……コイツが入れないようにしとけって……はぁ……



「それを元の場所に戻すまで来るな。てか、戻ってくるな永遠に。戻ってきたら……口を縫い付けて二度と食べ物食べれないようにしてやる。」


「な、なんと恐ろしい……悪魔!」


「悪魔ですけど何か?」


「く、…覚えてろ!!必ずやお前の菓子を全て食べてやるらなー!!」



 ………どっちが悪役だよ。ま、いいけどな、居なくなったし。


(しっかし……聖弓か。フラグだな)

『まさにその通り……後々の「これを集めないと倒せない」フラグだな。あと、ドワーフ達も持っているぞ、確か……聖鎚ジャッジメントがあったはず』

《にゃんとも…いえ、何とも痛そうな》


 クラウドの壊れ具合が気になるが……まぁ良いとして。集めないと倒せない……ねぇ。


 所で、この世界の元になったゲームのストーリーってどんなの?


『うむ、簡単に説明すると、最果ての地に住んでいる魔王さん(推定30歳)を過って人間たちが殺してしまう……と言う何ともなストーリーだ。』


 話を短く縮小し過ぎでなにがなんだか……これで分かるか?





 半分以上無くなったアップルパイに魔法で加熱して熱々の状態にしてバニラアイスを取りだし上に盛る。熱々のアップルパイにバニラアイスを乗せるのは昔から好きな食べ方だった……ジンとよく食べたなぁ……ジン、シナモンが嫌いで市販のはあまり好きじゃなかったんだよなぁ


 懐かしさに浸りながら寂しく食べるアップルパイは……ちょっと味気なかった。



 はぁ……あの食い意地の悪いバカも、摘まみ食いしなければアイスも食べられたのにな……つくづくバカだな。




『む?もう一切れは誰の分だ?』

(あぁ、これね……藍苺の分。渡せないけど何となく……何だかお供え物みたいだけどさ……何となく……食べたかったらどうぞ。どうせ食べさせられないから……)

《……前に聞きましたが……藍苺様とは離ればなれですよね? 人は寂しいと思う感情があるのでしょう?大丈夫ですか?……私は機械です。感情は有りませんから……羨ましい?ですね。》


 クラウドの言葉には少し疑問がある。だってクラウド、怒りって感情はちゃんとあるんですもの。主に白神の無茶ぶりに私の頭がエラーを起こしたときとか……凄く怒ってたよね? それともそれは元になった人格を模した……いや、キリがないな。



『………食べても良いのか?』


 光とともに現れた白神は「ホントに食べて良いのか?」ともう一度聞いてきた……本当は……



「どうぞ。私はこの一切れだけで一日持つからね……ホントは一日一食で足りるから。腐るよりは誰かに食べてもらいたいし?」


『……あぁ、貰おう(夢の中でなら……渡せるか……)持っていっても良いか?』


「どうぞどうぞ。今日のは特に上手くいったら全部持っていきなよ。」



 どうせ味なんて私の体には関係など無いのだから……本当に味が分かる人に食べてもらいたい。



 ……いや、私にも味は分かる……



(何だろうねぇ……ホームシックだろうか……スッゴク悲しい……)

《マスター……》

『(私は……何も出来ない……)』



 はぁ、早くこの茶番が終わることを祈ろう。











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