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淡雪の記憶

作者: 菜の花


誰かが作った雪だるま

その横に並んだ雪うさぎ

結露した車の窓に

指で落書きしたような跡


絵本の中のような

冬の景色に目を細める

憧れた冬が

今まさに此処にあり

今まさに此処で息をしている


炬燵に入る

その中で足を擦り合って

冷たいから向こうにいけと

笑い合う家族の姿


和やかな空気は

心地よさを連れてきて

冬の寒さを吹き飛ばした

寒さなんて物理的距離しか

ないんだから


外では街灯が

ぽつりぽつりと

辺りを照らしはじめた

真っ白の雪が

淡く淡く光り出す


雪だるまの帽子に

雪が積もってゆく

車の窓の落書きが

ゆっくりと消えてゆく


炬燵の中で合わせた足は

冷たかったはずなのに

どんどんと

あたたかくなっていった


冬の光と影が

世界の中心に溶け込み

寒さと孤独は

世界の隅に遠ざける


雪は静かに

されど、確かに

今日の記憶を

純白に染めてゆく

ご覧いただきありがとうございました。


真っ白の雪


誰かに届きますように。

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