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ep.1 魔法を極め、学ぶ場所。

 20XX年、欧米のある国が新しいエネルギーの開発に成功したというニュースが報道された。

 そのエネルギーの名前は()()そう、あの()()だ。よくラノベやら某有名海外映画などに出てくる魔法だ。


 世界のエネルギーは魔法にすべて変わっていった。

 大事故を引き起こしてしまったあの原子力も、

 地球に優しいと騒がれていたあの再生エネルギーもすべて魔法というエネルギーに変わっていった。


 そして魔法が変えたのはエネルギー問題だけではなかった。

 魔法は世界の情勢をもひっくり返してしまったのだ。

 魔法を誕生させた、国がある欧米諸国は軍事力、産業の両方の面で他の国との圧倒的な差を見せつけている…そして我が国日本もその魔法エネルギーによって世界での立場が変わった国の一つだ。大抵の国はそもそも魔法自体をあまり信用しておらず魔法に対して献身的ではなかったのだ。


 だが我が国、日本は上の人間たちが先進的に魔法について研究を進めたので他の国よりスタートダッシュを切れたのだ。


 それにより経済の景気は右肩上がり。

 あの昭和の時代に起きたバブルの再来だ。

 他の国に支えてもらっていた国が、今度は支える番にいつの間にか変わっていたのである。



 あとなぜだかわからないが、日本人は他の国の人より魔法に対してへの耐性があるらしい。

 普通なら魔力酔いというものを起こすらしい。

 その点においても日本という国は魔法を使うことによって起きるデメリットが少なく、産業の点で他の国との差をつけれたというわけだ。




 20XX年4月8日


 俺は15歳の高校1年生、橘朝斗(たちばなあさと)だ。


 今日は俺が新しい学校生活を過ごす、県立魔法洗練高等学校の入学式だ。



 そして俺は今…入学式から遅刻しかけています。


 これは非常にまずい。マズすぎる。


 もし今日遅刻してしまったら、入学式から遅刻して来たヤバい奴として今から始まる三年間を過ごさなければならない。いやまあ遅刻したら遅刻したで、友達が出来やすくなるかもしれないからそれはそれでいいのか?

 いや絶対駄目だろ。友だちができる保証なんてないし、むしろ先生たちからの信頼はだだ下がりだぞ?


 あと入学式まで15分。

 このまえ下見に行った時にここから掛かった時間が大体20分。

 ガンダで行けば間に合うかもしれないが…入学者名簿などの確認もあるだろうから5分ぐらい余裕は持っておきたい。じゃあもうちょい

 時間に余裕持って起きろよとか、準備に時間かけすぎだろ、とか思うかもしれないけど違うんだよ。俺は昔からたまーに朝から腹痛が襲ってくるんだよ。

 しかも大体決まった時間に。

 運が悪すぎる。まさか入学式の日にその日が来てしまうとは…



 さて、そんな言い訳はそこまでにしておいて。

 本気でまずいので俺は”あれ”を使って学校に向かいたいと思います。



 ”重力魔法”、起動。

 魔法付与対象を”自身”に設定。



 ”俺の体が宙に浮く”。


 これで移動がだいぶ早くなった!このまま一気に学校まで飛んでいこう。




 10分後


 なんとか学校についた!


 実は俺がさっき使った重力魔法を応用した空中飛行は、まだ正式に学生として認められてない俺は特別な事情がない限りの使用はいけないのだ。

 だけど入学式に遅刻するのを避けるのも特別な事情だろう。



 校門に先生が立っている。挨拶をしなければ…


「おはようございます!」


 うむ!我ながら中々に良い挨拶だ。


「はい、おはようございます。入学生の方でs…ん?]


 え?なになに?めっちゃ見てくるじゃん。


「どうかされましたか?」


「え、いえ。なんでもありません…入学式の会場はあちらになります。」


 何だよ。めっちゃ気になるじゃん。

 まあいいや会場に急ごう。


 会場に行くまでの間、たくさん俺と同じ入学生の子とその”両親”とすれ違った。

 そんな中俺は、”一人”で歩いていた。



 そう俺には親がいないのだ。

 保護者代理人はいるが絶望的に俺はその人達と仲が悪い。

 小学校の頃から住ませてもらってはいるが家を借りているだけの家族とは言いにくい状況。


 中学校まではその家から学校まで通っていたが家の中の雰囲気が嫌いで高校入学を機に家を出た。


 なので俺は、高校の近くにあるマンションに住んでいる。


 一人で生きていける力はあるし、そんなに困ることはないと思っている。


 俺に親がいない理由は、”魔法”にある。まず父親は軍人だった。心強くて、とても優秀な人だったと父の同僚から聞いている。でもそんな父親でもある戦場で死んでしまった。


 父は遠征チームに入っていて、ある国の内戦に支援しに行っていた。

 その支援の最中に仲間を守りながら戦っていたが敵の魔法をもろに受けてしまい、その場で息を引き取ってしまったらしい。

 父が庇った仲間の人は自分のせいで優秀な人を失ってしまったと自分を責めていた。

 だけどそれは違う。父が優秀だろうと、その場の状況的に確実にみんな死んでしまっていたらしい。

 父を殺した魔法使いは敵の最高戦力に匹敵するほどの力の持ち主だったらしい。だから父が守りながら戦わなかったら間違いなく全滅だったそうだ。俺は父を殺した魔法使いを恨んでいるわけでも、憎くもない。

 お前は父親のことが好きではなかったのかと聞かれるとそれも違う。なぜなら父がしていた仕事は戦争に介入することだったからいつ死んでも、誰かに殺されても何もおかしくないのだ。


 殺す覚悟があるやつは殺される覚悟のあるやつだ。

 父はいつもこの言葉を自分に言い聞かせていたらしい。なんとも軍人らしい言葉だ。


 次は母だ。

 母は昔から心臓が弱かったらしい。

 母が17歳の頃、魔法の技術を応用した医療方法が開発され、母はその治療法の被験者だった。

 だが母は十分な治療を受けることが出来なかった。

 なぜなら母は日本では珍しい魔力酔いを起こしやすい体質の人間だったからだ。

 ではなぜそんな人間が魔法による治療を受けることになったのか。

 それは、病院側の圧倒的な調査不足に原因があった。

 日本に魔法が取り入れられてから、魔力酔いという前例が全く無かったせいで母の体質の些細な違和感に気づけなかったのだ。


 母は治療を受けた3時間後に体に異変を起こした。

 ひどい頭痛、吐き気、締め付けられるような痛みが心臓にあったらしい。

 病院側はそれの原因が全くわからなかった。その日は一旦母の容態は落ち着いたが事件が起きたのは、その1週間後だった。


 母さんの心拍数が以上に早くなり、高熱を発症したのである。

 病院側は最善を尽くしたと言っているが、おそらくは嘘だ。

 最善を尽くすも何も前例がないのだから最善なんてあるわけがないのである。


 俺は絶対に病院側を許さない。

 当時の俺は父親を失い、母親も失ってしまった俺には借りる力がなかった。

 だから何も出来ずに病院側の意見を呑むしかなかった。


 こんな思いをするのは世界で俺だけでいい。

 そういう思いから魔法を勉強することにした。

 たくさん魔法を勉強して、たとえ魔法による治療を受けるのが困難な人も全員助ける。

 俺は自分の救える範囲にいる人は全員救いたい。だから俺は魔法を極めるし研究することにした。

 俺が魔法洗練高等学校に入った理由はそれだ。


 こんな感じで魔法は人を助けることも、産業を発達させることができるがその反面、人を殺すことも、自分たちの責任で誰かが大切な人を失ってしまうことがある危険な品物だ。



 そんなことを考えていると俺は会場についていた。


「おはようございます!入学生の橘朝斗です。」


 さ、入学者名簿を確認してもらおう。


「橘朝斗さんですね。確認が取れました!会場にお入りくだ…」


 え?どしたの全員まじでなんか俺この人にした?


「どうしました?」


「い、いえ何でもないですよ!もう少しで入学式が始まります。会場にお急ぎください…」


 なんなんだよ一体…こえーよ。



 みんなめちゃくちゃ緊張してんなー

 まあでも中学から一緒のやつもいるみたいだな…俺仲良くできるかな…?


「おはようございます。入学式はあと5分ほどで始まります。もうしばらくお待ち下さい。」


 放送が入った。まあとりあえず今のうちに仲良く出来そうな子を探すことにするか。

 こういうときの相場は、大体隣の子なんだろうけど…

 生憎俺の両隣は中学から一緒のグループの奴らがいるらしい。

 まずったな。

 まさか俺の高校生活いきなりボッチでスタートかよ…。


 てかなんだろうさっきから後ろからの視線がめちゃくちゃ気になる…

 いっそ話しかけてやるか。


「どうかしましたか?」


 後ろを振り向くとそこには女子が居た。


「は、はい!すみません…私周りに友達がいなくて、少しおどおどしちゃってて…。」


 なんだ俺と一緒じゃん。


「そうなんですね。実は僕もこの春からこっちに越してきたばかりで友達が居ないので良ければお友達になってくれませんか?」


 初対面女子に友達になろうというのは中々にハードルが高いが…


「はい!もちろんです!私は矢野志遠(やのしおん)といいます。君は?」


「僕は橘朝斗といいます!ここにいるってことは多分クラスが一緒ってことだよね?これから1年間よろしくね!」


 ふっ。完璧なスタートダッシュ。勝ったな。


「そうだね。橘くんって呼んでいい?」


 橘くん…なんかいいな。


「もちろん大丈夫だよ!俺は…」


「志遠で大丈夫だよ!私あんま気にしないから!」


 名前呼び…プレッシャーやば。

 ま、いいか。


「わかった!じゃあ志遠って呼ぶね。」


「うん。そうして!」


 初の友達は女子。中々面白いじゃん?


「これより第30期生入学式を行います。第30期生起立!礼!着席してください。はじめに校長先生のお話です。」


 俺等は第30期生。この学校ができてからもう30年も経つのか。


「皆さん、おはようございます。校長の二階堂文哉(にかいどうふみや)です。今年も我が校の入学式を迎えれたことが私はとても嬉しいです。今年は昨年より30人も多く入学希望者を取ることが出来ました。そこで私はこの高校の存在意義についてもう一度考えました。この高校からは毎年ありがたいことに自衛隊や市の警察官、魔法の研究者などに就職してくれる生徒が多数います。なので私はこの高校の存在意義は街のため、国のためにあると私は思っています。何かを守るために魔法を極め、夢を叶えるために魔法を学ぶ。私はこの高校をそんな学校にしていきたいです。短いですが私からの挨拶とさせていただきます。改めましてご入学おめでとうございます。」


 この学校の校長先生である二階堂文哉先生。話によると二階堂先生は日本の魔法研究にずっと携わってきた方らしい。


 そこからは保護者会の代表や、生徒会長、来賓の方のご挨拶があった。

 そして、この240人の入学生の代表の挨拶の番がやってきた。

 だが入学式の前日まで代表の人には連絡がいかないらしい。だから当然俺等も代表が誰なのか知らない。


「新入生代表挨拶。代表の矢野志遠さんよろしくおねがいします。」


 !!!!!?????

 え?志遠って主席合格者だったのかよ。これはやべー人と仲良くなってしまったかもしれない。


 俺は驚きのあまり志遠の話が何も入ってこなかった。


 志遠が戻って来る時に

 え?首席だったの?

 と言わんばかりの視線を彼女に送ると彼女はにまっと笑った。



 こうして俺の魔法を極め、魔法を学ぶための学校、魔法洗練高等学校での学校生活が始まった。



























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